(承前)t「mixingaleさんが『プライベートライアン』とか『宇宙戦争』で、射線上にいるかいないかみたいな話に言及してた時と似たような話だと思うんですけど、お話を考証で突き詰めた時の“たまたま”感をどう“たまたま、のもの”として抽出するか、というのは、わりと難しい」
2012-08-16 04:28:00m「さっきの『ループものの語り口では語りづらい』って話にも通じるかな」t「ですね」m「労働経済学の分野で、年ごとに個人がパートナーと出会うかどうかを判定して、それによる世帯収入の変化を推定するという作業があるんだけど」t「あー、それ凄く近い。その中の一回性の話ですよね。
2012-08-16 04:32:46m「そういえば、あれって寿命だったんじゃ……」t「ええっ?」m「とすると、最後に生き残るのは……」t「おお、後の展開についてのイメージが全然話変わってくるじゃないですかw」
2012-08-16 04:35:06m「このへんでまとめると」t「前に書いた考証上のトラップ群 https://t.co/W2aVdYcI を除くと……」
2012-08-16 04:38:25t「a.家族観・育児観・片親・性規範・個人の業や呪いなどに関する批評者側の視座 b.時間描写が家族経営SLGときどきRTSであること c.確率的事象を一個の表現から“たまたまのもの”として抽出すること d.曝露的な諸々を取り扱うこと e.個別特殊解としての家族経営を物語ること」
2012-08-16 04:42:28m「そのへんきちんと書いてよw」「厳しいですねw ただまあ、最後のほうでパートナーとの遭遇に関する推定の話が出ましたが、ああいうのはすごくゲームデザイン的に興味ありますね」m「そういうの既存のでないの?」t「すごろく的なキャリアパスは類例がありますが、推定ほど厳密ではないです」
2012-08-16 04:44:14そういえばおおかみこどものベーシックな感想を書きそびれていたので今書きます。以下ネタバレ注意。
2012-08-16 08:39:31一文で言うと「二児を抱えたまま若くして旦那さんに先立たれて頭おかしくなりそうなレベルまで追い詰められたインテリ肌の女の人が、おかしくなりそうに追い詰められたなりに必死に子供を巣立たせようとして結果幸運にも成功するまでの様子を、じーっとカメラを回して観察してる」作品だなと思いました
2012-08-16 08:40:28続き)で個人的にはそういう観察してる感じの温度、生老病死の幸福と不幸のバランスの取り方はすごく好みだったんだけど、じゃなんで男性の細田監督がそんな”観察”をしてるかというと、一つにはもちろん自分の好み、でもう一つにはなんというか「東映動画的使命感」(造語)があるんじゃないか、とか
2012-08-16 08:41:18続き)この「東映動画的使命感」ていうのが何かというと、おジャ魔女どれみ等々、休日の朝に全国の子供達や家族世帯に向けて延々キッズorファミリーアニメを作っている中に醸成された「なにか日本全国のそういう層に向けて作らねば!発信せねば!」ていう使命感、責任感(想像)のことです。
2012-08-16 08:42:38続き)昔はもっと漠然と広く日本のアニメ業界を覆っていた空気の、その最後の残滓みたいな。
2012-08-16 08:43:10「ああいう女性が、ああいうことになったら、ああするよなあ」という感じはあったなあ
2012-08-16 08:46:06結婚して子供作って死ぬことを我が事のように描くとか、それを讃歌として歌い上げるかどうかとかそういうのじゃなくて、それをハタから他人事なりによく「観察して」描こうとする様に異様な熱意を感じて、その必死さに愛を感じた、というか。
2012-08-16 08:50:53細田監督はデティールの人なんだろうなあ。そういう観察するかのような「瞬間」のデティールをつなぎあわせて、上手く10年ぐらいの時間を描いてるなー、と。
2012-08-16 08:54:54あと、それで人生のいろんなステージが一本の映画の中でそれぞれ描かれてるというのも、お得な感じだったw
2012-08-16 08:56:26でもそれでいて細田監督は映像の綺麗さに飲み込まれないで、ちゃんと道具として使えてるのはいいなあ、と。よくある「ジブリ病」作家とは違うな!みたいな。
2012-08-16 08:59:18あと今回ネットが一切出てこないのはやっぱ意識的にやってたんだろうな。やたら本が出てくる画面作りだった。
2012-08-16 09:01:38そうそう、おおかみこどもの本描写といえば、本棚『の広辞苑』と『黄色い本』が妙に印象に残ったなー。あれわざとあそこに描いてるんだろうな…
2012-08-16 09:17:18いやそりゃまあアニメの画面なんてぜんぶ「わざと描いてる」に決まってるわけですが
2012-08-16 09:18:06おおかみこどもはネットで見ると割と賛否両論両極端なようだけど、それは隙というか穴というか余白が多くて、そういう行間を好意的につなぐと気持よく観れるし、逆にミステリを読むかの如くその穴をつぶしながら観ようとすると「ツッコミどころ満載!」となるからじゃないかと思う
2012-08-16 09:25:36そりゃ現代を舞台にファンタジー要素を投入して10年以上の子育てを描こうっていうんだから余白も増えるよ、って気はするんだけど
2012-08-16 09:27:12自分は基本的に「行間が広くて、それを好意的につないでいけばそれでいい」って作風が隙なんだなろうなあ
2012-08-16 09:28:42