つっちー先生に学ぶATMのしくみ

中の人は3人とも300人とも噂される"出雲の国のWikipedia"つっちー先生によるATMのしくみについて。
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(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

で、これらの業態別のキャッシュカード提携システムは、基本的には業態別の業界団体が運営しているが、法的には加入する金融機関が、個別にすべての金融機関と提携契約を締結している。そして、システム自体は非営利的なので、手数料に関しては固定の手数料を規定している

2012-08-02 21:07:28
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

しかも、実際のネットワークの運用はNTTデータが担当していて、ネットワークやハードウェア、ソフトウェアを含めたシステムそのものの所有権がNTTデータが保有して、一定の契約期間にサービスを提供する、いわゆるデ通サ形態での運用である。これは、クレジットカードにおけるCAFISでも同じ

2012-08-02 21:09:34
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

つまり、MICS提携取引というのは、単なるEDIネットワークであるATM網の運用に対して、非営利的に運用する業態団体がサービス提供し、実際の運営はNTTデータに長期・固定運用契約(デ通サ)デ丸投げされているため、手数料体系に柔軟性がまったく存在しない。

2012-08-02 21:18:06
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

平日昼間提携で105円、時間外で210円という手数料がどこの銀行でも同じなのはそれが理由なのだが、ほかにも24時間サービスが提供できないなどの問題がある。コア時間の規定は、非営利団体である業界団体の協約によって規定されるわけだし

2012-08-02 21:22:07
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

これは、ATM提携サービス以外でも、クレジットカードのCAFISや、内国為替決済システムである全銀ネットでも同じ。運営主体は非営利で、運用そのものはシステム丸ごとNTTデータのデ通サによる。J-DebtもCAFISを流用しているので、システム的には同じ基盤を使っている

2012-08-02 21:25:13
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

なので、コンビニATMみたいなシステムは、営利を目的とした会社が運用してるので、コスト的にはかなり安いわけである。もちろん、現金という現物、ATMや現金補充という現場が存在するので、そのあたりのところコストがかかるんだけど、そういう業務を外部化できるので設置コストは激安なんですわ

2012-08-02 21:27:54
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

んじゃ、海外ではどうなのか? いろいろあるんですけど、割と日本と同じで適当です。言えるのは、日本みたいに、「どこでも、ある程度決まった時間に」利用できる仕組みってのがあんましないんですね。適当ですから

2012-08-02 21:31:06
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

例えば、米国を例にしてみましょう。つまり、「特殊な例」です(世界的に一般化できないという意味)。米国では、クレジットカードの発行主体(イシュワー)は、日本のようにノンバンクではなく、大半が銀行です。大抵の銀行は、VISAやMasterブランドのクレジットカードを発行してます

2012-08-02 21:36:28
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

なので、銀行間のキャッシュ提携サービスは、クレジットカードのネットワークを流用した提携サービスが主体で、例外的にNYCEのような銀行間のキャッシュ提携サービスが存在します。なので、キャッシュカードには、クレジットカードと同じように16桁の番号が振られていたりします

2012-08-02 21:39:30
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

例えば、中国(本土)を例にしてみましょう。つまり、「特殊な例」です。中国では、キャッシュカード提携システムを目的とした、PBC系の企業として中国銀聯があります。キャッシュカードの相互利用を目的に設立された決済システムで、デビットカードのシステムもこのシステムに乗っていいます

2012-08-02 21:42:21
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

クレジットカードのシステムも、ついでに乗ってる感じで、中国では米国とは逆にクレジットカードはあんまし中心的な決済手段ではないです。国際的な銀聯決済システムが、Unionpayなんですが、これはこれでなかなか面白いですね

2012-08-02 21:43:44
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

これが香港になると、さらにカオスです。香港はそもそも通貨制度自体が、「米ドルを裏づけに、HSBCやSCB・BOC(HK)をはじめとする民間銀行が紙幣を発行する」という制度なんで、ATMシステムにしても、圧倒的な勢力を誇るHSBCとその系列銀行間でのネットワークが主流です

2012-08-02 21:50:20
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

そのHSBCに対してけしからん! と息巻いてるのが、BOCで中銀香港を中心に、系列銀行と結成したATMネットワークが銀通なんですが、本土の銀聯と相互接続を売りにしてたものの、不正引き出しが続発して、結局ネットワークを遮断。銀聯カード所有者に限って、上限を決めて再開してますけど

2012-08-02 21:53:30
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

ユーロ圏はコミュニスト圏ですから、なんかよくわかんないけど、大陸系の国で固まってMasterのネットワークで無料でATM提携してたりしますが、国によってわけがわかんないくらい複雑な関係がるので、泥酔してるんで個別に説明するのはめんどいです。勘弁して

2012-08-02 22:00:27
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

そういうわけで、各国の決済システムなんてのは、あんまし標準的なもの、っていえるものがないんですよね。日本が特殊かっていうと、そうでもないんですけど、バックグランドシステムの仕組みはわかりやすくても、顧客目線での国際提携という面では鎖国的ですね。でも日本だけが特殊ってわけじゃないし

2012-08-02 22:03:08
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

CAFISとはなんぞや、という話をする前に、ちょっとクレジットカードの決済の基本について。クレジットカードは、顧客に与信を与えて、カードを発行するイシュアー。加盟店に与信を与えて、加盟店からの請求業務を処理するアクワイヤラーの二つがあります。

2012-08-03 20:50:44
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

で、クレジットカードの情報の流れで重要なのが、与信照会(オーソリゼーション)と売上集計(ギャザリング)の二つがあります。オーソリーとは、顧客にカードを提示された加盟店で、代金を引き落とすだけの与信枠があるのか確認する処理です。

2012-08-03 20:53:18
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

ギャザリングとは、売上を集計してアクワイヤラーに渡すという業務をいいます。電子化されていない前の時代で説明するとちょっとわかりやすいと思います。これは今でも残ってる処理ですが・・・。

2012-08-03 20:54:47
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

例えば、家電量販店でエアコンを買うとします。顧客からカードを受け取った店員は、まずこの顧客に支払い能力があるかどうかを確認するために、カード会社に電話して十分な支払い枠があるかどうか確認します。これがオーソリーです

2012-08-03 20:56:52
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

枠があることを確認して、売買手続きを行い、売上伝票にサインすると、伝票はまとめて、家電量販店が加盟しているアクワイヤラーに送付されます。アクワイヤラーは、イシュアーごとに伝票を振り分けて代金を請求し、請求が支払われると、手数料を差し引いて加盟店に代金を支払います。これがギャザ

2012-08-03 21:00:02
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

昔は、オーソリーは電話。ギャザリングは紙の伝票で行っていました。最近のクレジットカードは、RFID用のアンテナを埋め込むために、エンボスレスのカードがあったりしますが、クレジットカードには基本的にカード番号がエンボス加工されています。

2012-08-03 21:06:39
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

複写伝票に、カード番号を転記するためにインプリンタという手動式の器具を使って、カーボン転写することで、コンピューター端末がなかった1970年代以前でも、大量のクレジットカードのギャザリングを伝票によって効率的に処理する仕組みがありました。昔の人はかしこいですね

2012-08-03 21:08:34
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

今じゃすっかり珍しくなったインプリンタで処理された伝票です! 地方のタクシーだと現役ですね http://t.co/nfBkQ3Ci

2012-08-03 21:14:24
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(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

話が変わりますが、「じゃあVISAとかMasterとかAmexとかってなに?」と思われるかもしれません。顧客に与信を与えて、カードを発行するイシュアーがたくさんあると、イシュアーごとにアクワイヤラーが存在して、このカードは使えます、使えませんとなると面倒なわけで

2012-08-03 21:25:42
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

そういうイシュアーとアクワイヤラーを相互認証する協同組合的な組織が、VisaとかMasterといった国際ブランドで、もともとはイシュアーやアクワイヤラーの出資によって設立された協同組合でしたが、株式会社化されて現在は上場しています

2012-08-03 21:26:53