キャラクター利用した政治活動について

興味深くと思ったゆえ、@chasyan @BigHopeClasic 両氏の議論を勝手にまとめました。 @BigHopeClasic氏の意見は、「気持ちはわがるが法律はこうなってるんだ」的な感じ。 追記1:@BigHopeClasic氏の弁護士資格についての情報は誤解でした。 ご迷惑をかけて非常にすみませんでした。 続きを読む
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BigHopeClasic @BigHopeClasic

ネットゲームの場合は、主催者との事前の契約において、利用規約に同意している。もちろんその同意が契約として有効か否かには様々な議論があり、民事法系の学者は大体無効で固まってるんだが、それを言うとネットビジネスなんで一切成立しなくなるのでここでは論じない。

2010-07-15 22:52:19
BigHopeClasic @BigHopeClasic

しかしながら、契約の双方当事者において有効な同意があったとしても、その内容が公序良俗に反するものなら民法90条に従って無効となる。この観点から、愛人契約とか殺人依頼契約とかはアウトになる。ではネットゲームの利用規約はどうか。なぜ私はこれが公序良俗に反しないというのか。

2010-07-15 23:01:49
BigHopeClasic @BigHopeClasic

それは端的にいえば、「よそでやれ、できるだろ」ってことに尽きる。そのネットゲーム以外にも、ウェブ上で同じくらい多くの人が集まって政治的行為を禁止していないサイトは多くある。とすれば、そのネットゲームに限って政治活動を禁止したとしても、禁止された者にとって大きな不利益とはならない。

2010-07-15 23:03:51
BigHopeClasic @BigHopeClasic

さて、この「よそでやれ、できるだろ」理論は、実はミクで言うと「白いクスリ」事件の時にも論題となった。あれは実に多くの法的議論を含んでいるのだが、その中のひとつ、EULAの「公序良俗に反する歌詞は歌わせられない」というこの条項、はたして民法90条に違反していないのだろうか。

2010-07-15 23:05:46
BigHopeClasic @BigHopeClasic

自分は一貫してヤマハとクリプトンが公序良俗に反する歌詞を拒否できる、と言ってきた。もちろん、問題はある。一番大きな問題は、「公序良俗に反する」という基準が極めてあいまいなことだ。時と場所、文化によって公序良俗の線引きは様々だ。その基準をヤマハとクリプトンに預けていいのか?

2010-07-15 23:07:57
BigHopeClasic @BigHopeClasic

でも、公序良俗違反な内容というのは、ネガティブなんだよね。そして、それ自体が言論の自由を制限できる理由として法的にも裁判上も確定している。それが問題という立場もあるけどそれは措く。勿論公序良俗違反を言い過ぎれば権利の濫用となるけどその定めを契約に置くことが直ちに90条違反ではない

2010-07-15 23:15:13
BigHopeClasic @BigHopeClasic

さて、ネットゲームでの政治的活動禁止、EULAでの公序良俗違反歌詞禁止をともに認める自分がなぜミクの政治的利用の禁止を否定するのか。別にご都合主義でも詭弁でもない。これこそが「事案ごとに妥当な解決を導く」ということになるのだけど。理由は二つ。契約がないしあっても無効。

2010-07-15 23:18:49
BigHopeClasic @BigHopeClasic

契約がない、っていう点については、特に問題とはならないだろうね。もちろん著作権とか排他権が最初からある部分は別よ。去年「ミクのEULAには著作権のことは書いてないからミクの絵には著作権はない」っていう凄い俺様論理を見て唖然としたことがあるけど、そういうのは論外。

2010-07-15 23:28:41
BigHopeClasic @BigHopeClasic

で、問題は仮に今回の件に懲りたクリプトンがEULAに政治的利用の禁止を入れたとき。それがネットゲームや公序良俗違反の歌詞と何が違って、契約無効と考えるべきなのか。まず、「政治的主張がしたいならミク以外でやれ」という理論。うん、これは確かに一見するともっともだ。

2010-07-15 23:32:05
BigHopeClasic @BigHopeClasic

ところがさ、実は「政治的主張」ってそんな狭いもんじゃないんだよね。例えばミクの歌で、恋愛を歌う作品て凄く多いよね。いい歌もたくさんある。けど、「未成年者の自由恋愛は不純異性交遊」って立場の人には受け入れられない。アナクロニズムも極まってると思うけど、まあ、不当とまでは言えないかな

2010-07-15 23:41:57
BigHopeClasic @BigHopeClasic

そうするとここに、価値観の対立が起きている。つまるところ、政治ってのは、それ自体は正当性を持ちかつ合法な複数の価値観の対立をどう調整するかってことだから、ここには政治が発生している。そうすると、特定の価値観を顕彰する歌詞は、政治的利用ということになりそうだね。

2010-07-15 23:44:04
BigHopeClasic @BigHopeClasic

これは別に極論でも詭弁でもないんだよね。日本国憲法が表現の自由を保証している理由は二つの価値を守ることにある。一つは言論活動を通じて自己の人格を発展させるという個人的な価値。もうひとつは言論活動によって国民が政治的意思決定に関与するという、民主政に資する社会的な価値。

2010-07-15 23:47:37
BigHopeClasic @BigHopeClasic

つまり、表現活動というのはそれ自体が民主制の根幹をなすものであって、どうしようもなく政治とは分かちがたいものなんだよね。でも、そんなに大事なモノを、じゃあなんでネットゲームは禁止できるのか。これは前も書いたとおり、他の場所でできるから。

2010-07-15 23:50:07
BigHopeClasic @BigHopeClasic

また、公序良俗違反の歌詞を歌わせられないのは、それ自体が言論の自由の制限事由とできることが確定しているから。でも、「政治的利用の禁止」となるとそうはいかない。もう、ミク自体を使うことがほぼ困難になるからね。あとは消費者が買わない自由を行使するだけ。何のために売ったんだかw

2010-07-15 23:52:44
BigHopeClasic @BigHopeClasic

さて、そうすると、対象範囲を狭めればいいのではないかという考えも出てくると思う。だけど政治家って何さ。公職選挙法によって選出された人?だとすると落選した元職や次の選挙を狙う新人はOKだよね。でもそれじゃザルだ。目的は達成できてない。

2010-07-16 00:03:01
BigHopeClasic @BigHopeClasic

よろしい、では選挙運動における使用を禁止しよう。でも、「選挙運動」ってのは文字通り、選挙期間中に行われる選挙のための運動だ。それ以外の政治活動は野放しだし、現に今回の藤末議員のも選挙運動ではなく政治活動扱いだ。だからこの基準も実質ザルで無意味。

2010-07-16 00:04:57
BigHopeClasic @BigHopeClasic

じゃあ、政治活動での使用を禁止しよう。となるとこれはさっき語ったとおり、表現活動は政治活動と重なる部分が極めて多いので、製品を作る意味がなくなる。では、「選挙に出馬する意思のある者」の政治活動での使用を禁止しよう。駆け込み出馬なら意味ないよね。やっぱりザルだ。

2010-07-16 00:07:00
きゃしゃん@てつや @chasyan

VOCALOIDやキャラ利用の規約が緩やかに作られているのは柔軟に対応する為。締め付けようと思えばいくらでも出来るが、締め付けをすればするほどVOCALOIDで表現できる事が狭まっていき、それは楽器としての欠点となる。

2010-07-16 00:09:41
BigHopeClasic @BigHopeClasic

「政党の使用の禁止」は?政党って基本的に法人じゃないんだよね。法的には任意団体で、法的な主体にはならない。なので、「政党による利用」は基本的に観念しえない。政党助成法上で法人になることはできるけど、選挙によって変動しうる議席数の差で区別することに合理的な理由はあまりない。

2010-07-16 00:09:45
BigHopeClasic @BigHopeClasic

というわけで、「政党の利用」ということはなく、法的には「政党の構成員による利用」ということになる。では、「政党の構成員の政治活動における使用の禁止」はどうだ?これもぱっとしないなあ。例えば山本一太参院議員の趣味としての音楽活動は有名だけど、あれ、政治活動じゃないとは言い切れない。

2010-07-16 00:12:12
きゃしゃん@てつや @chasyan

しかしながら、楽器であるがゆえに、本来のユーザーであるミュージシャンがいかなる政治的メッセージを乗せた曲にでもミク(VOCALOID)に歌わせることが出来るように、技術やVOCALOID製品自体は政治的中立を保たなければならない。ゆえに政治結社、政党による使用は制限される。

2010-07-16 00:14:12
BigHopeClasic @BigHopeClasic

「私人としての使用」っていう逃げ道があるのでここもザル。あからさまな政治活動に限る、としても、じゃあ無所属ならいいのかと。世界経済共同体党の又吉イエスがミクで「理由は選挙公報で熟知すべし」はアウトで、無所属の外山恒一が「奴らはビビる、私もビビる」と言うのはOK、というのは非合理的

2010-07-16 00:14:51
BigHopeClasic @BigHopeClasic

結局、どう切り分けても「法の下の平等の侵害」や「権利濫用」を逃れられないし、そうでなければ意味のないザル規制になる。どっかで聞いたような話だと思ったら、非実在青少年規制批判と同じだよこれ。どっちもいい勝負だねこれは。

2010-07-16 00:17:59
きゃしゃん@てつや @chasyan

自然人に、自分の政治信条を決める自由があるように、法人であるクリプトン社にも自らの政治的信条を決める権利があり、特定の政治信条に染まる事は強要されない。

2010-07-16 00:21:23
BigHopeClasic @BigHopeClasic

んで、そもそもこの規制を行う目的は「政治的中立を守る」ことだとすると、そうすることで利益があるんなら全ての政党が同じようにできる権利があるのでそうすればいいだけの話だし、それを止める権利もないのだから政治的には既に中立なので特に問題はない。

2010-07-16 00:27:22
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