知人に、ジャンル小説の作家へのインタビューをずっと続けている人がいて、以前、面白い話を教えてもらったことがあります。作家へインタビューする際には、必要最低限の前準備として、相手の作品を読んでおくわけですが、
2010-07-13 12:30:42インタビューでの質問内容を決めるときに、「この作品には何が書かれているのか」と考えるだけでなく、「この作品でこの要素が書かれていないのはなぜだろうか」ということも、同時に考えておくのだそうです。
2010-07-13 12:31:05なぜかというと、「ジャンル小説の文脈で考えたら、こういう書き方がなされていないのは変だ」とか「ジャンル小説なのに、なぜ、この要素が書かれていないのだろうか」とか「エンターテインメントなら(あるいは純文学なら)こう処理されるはずだが、そうなっていない」と感じられる部分は、
2010-07-13 12:32:29ジャンルに対する著者の無理解やミスと考えるのではなく、「この著者は、自分の意思で××しないという選択をした」「積極的に枠から外れる選択をした」と(仮に)見なしておくらしい。こういうことを頭の片隅に置いておくと、「作品内容を読み外す危険性が減る」のだというお話でした。
2010-07-13 12:33:08インタビュアーの中には、「作品内のここに書かれている、この事柄の意味を教えて下さい」とか「この作品のテーマについて語って下さい」と言う人は多いが、
2010-07-13 12:33:26「これをこうすることもできたはずだが、あなたがそうしなかった理由は何か。そこにこそ、あなたが書きたかった何かがあるのではないか」と訊ねる人はほとんどおらず、この方は、もしかしたら、ものすごく特殊な方なのかもしれません。
2010-07-13 12:33:43でもまあ、これを読んだからといって、うちにインタビューに来る方が、こういう質問ばかりするようになっても困るのですが(笑) これはあくまでもこの話を聞かせてくれた方の「芸」であり「個性」であって、他の方には、きっと他のやり方があるのでしょう。
2010-07-13 12:34:26