フクシマの不確実性問題(『ネイチャー』7月18日) http://t.co/apblIKVV 科学者は放射線被曝を心配する人々にとって確実な答えをほとんどもっていない、とジェフ・ブランフィール。/日本の福島第一原子力発電所における同時発生的なメルトダウンから1年以上
2012-08-03 08:38:24続)が過ぎた。そして私たちがその影響についてどれだけ知らないのかは注目に値する。/この事故の健康影響について数値を提示しようとして、昨日公表された論文による事実が私の頭によぎった。カリフォルニア州にあるスタンフォード大学のエンジニア、ジョン・テン・ホーブとマーク・ジェイコブソン
2012-08-03 08:44:09続)によるこの論文は、一見、包括的な分析であるようである。しかし、この危機をめぐる不確実性の意味するのは、この研究は、フクシマ事故によって生じうるがん死者の数字の桁を推測ことさえできない、ということだ。同発電所から放出された放射性物質への被曝の結果として、15から1100まで
2012-08-03 08:55:44続)のどこかの数の人々が死ぬだろう、とその研究は見いだしている。また、死ぬことはないものの、24から1800もの人々が、がんによる消耗的な影響を経験するかもしれない。/ほとんどの人々にとっては、39のがんと2900のそれとの間には大きな違いがある。なぜ科学はもっとまし
2012-08-03 09:01:27続)なことができないのか? 問題は、この種の推計はモデルや仮説に依存していることにある。いいかえれば、これは当てずっぽう(guesswork)なのだ。深い学識にもとづくものではあるのだが、にもかかわらず当てずっぽうである。〔とりあえずここまで。続きはいずれ…。〕
2012-08-03 09:05:10〔昨日の続き。 http://t.co/apblIKVV の上のほう〕最良の推測/まず、同発電所はどれだけの放射性物質を放出したのか、という疑問がある。テン・ホーブとジェイコブソンは、ヨウ素131がおよそ6.5×10^16ベクレル、セシウム137が17.×10^16ベクレル
2012-08-04 08:51:32続)と推測した。1ベクレルとは何であるかということ、これらが推測にすぎないということを忘れてはならない。実際のところ、メルトダウンを引き起こした津波は、発電所周囲のモニタリング施設のほとんどを破壊した。世界的なモニタリングのネットワークによって、科学者らはおおまかな推測を行うこと
2012-08-04 08:55:56続)ができたのだが、推測は2つの要因によって変化する。/第二に、誰が、いつ被曝したのか、という疑問がある。(リアルな天候データにもとづく)大気輸送モデルによって、放射性物質がどこへ行ったのか、大気からどこへ落ちたのかがわかる。しかし地震と津波に続く混乱のなかで、福島県民
2012-08-04 09:06:11続)が実際にどこにいたのかは誰にもわからない。この著者らのモデルは、避難者の習慣(たとえば、彼らは1日12時間ちょうど屋内に退避した、など)やその所在について憶測を立てており、彼らは同発電所の周囲から完全に均一に拡散していたと仮定している。世界保健機関(WHO)
2012-08-04 09:14:36続)による別の報告書の前提は、わずかに異なるのだが、この危機が始まったとき、誰がどこにいたのかを確信できる者などいない。〔とりあえず、ここまで。続きはできるだけ早いうちに…〕
2012-08-04 09:17:36〔昨日の続き。 http://t.co/apblIKVV の中程〕最後に最も根本的なレベルでは、低線量放射線被曝は人体にどんな影響をもたらすのか、という疑問がある。対象が100ミリシーベルト(mSv)以上の放射線に被曝したときには、小さいものの、検出可能ながんの増加があること
2012-08-05 08:58:11続)を、研究者らは認識している。しかしそのレベル以下では何が怒るのか、彼らはエビデンスを何も持ち合わせていない。WHOによる最良の推測は、福島で50mSv以上の線量を被曝した市民はほとんどいないことを示唆している。科学における最良の推測は、人への被曝における直線しきい値
2012-08-05 09:06:21続)なしモデルと呼ばれるものであり、低線量被曝を推定するために、既知のリスク(known risk)を外挿する。すべての者がこのモデルを信じているわけではない。低線量被曝は、予想されるよりも悪いという者もいれば、実際には人をより健康にするかもしれない、という者もいる。私たち
2012-08-05 09:09:30続)のもっているデータで知る方法はない。/既知の未知/まとめると、この事故によって生じるがん〔発症数、死亡数〕の幅はきわめて広い、ということに行き着く。しかも、どの調査が正しいかを知る方法もない。〔とりあえず、ここまで。続きはいずれ…。〕
2012-08-05 09:14:28〔昨日の続き。 http://t.co/apblIKVV の終わりのほう〕日本のような先進国では、がんの発症率は高く、たとえもし何千人かが病気になっても、がんの比率(人口の約40%がある時点でがんになる)は、バックグランド率を超えて検出可能なほど高くはならないだろう。たとえそう
2012-08-06 09:59:48続)なったとしても、彼らのがん、愛する者のがんが昨年3月の核災害によって起きたものなのかどうかをいうことができる者など誰もいないだろう。/苛立たしい事態であり、変化しそうもない状況である。現在のところ、このモデル(仮説)においてエラーを実質的に減らすのに必要なデータセット
2012-08-06 10:13:29続)はないようだ。たとえもし存在するとしても、直線しきい値なし仮説(モデル)にまつわる不確実性が意味するのは、その数値は実際からはかけ離れているだろうということである。(このモデルを向上させるための興味深い試みがいくつかあるにもかかわらず、近い将来に劇的に訂正されるようなこと
2012-08-06 10:21:44続)はありそうもない。)せいぜいのところ、WHOや個々の研究者、日本政府によるさまざまな推測は、重なり合うといわれうるようだ。/いわれるべきことはもっとあるという願望にもかかわらず、私は、この状況が科学の失敗だとは思わない。膨大な個々の推計をめぐる不確実性が大きいままである
2012-08-06 10:28:58続)にもかかわらず、総合すれば、これらの推測は実際のところ、フクシマによる健康リスクについてきわめて強いコンセンサスに行き着く。つまり、放射線によるリスクは比較的低く、フクシマ事故が引き起こすがんはおそらく、バックグラウンドから拾い上げられることはない。これはおそら
2012-08-06 10:33:23続)く、元気づけるメッセージではないが、正直なメッセージである。〔この記事、了。以上、同じ論文に言及した記事を4本紹介しましたが、微妙に力点が違いますね。まあ、元の論文が所詮は机上の推計なので、記事比較にも、それほどの重要性はなかったりしてorz〕
2012-08-06 10:39:04