Fukuoka night

人生の悲哀
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monk_jp @monk_jp

ぼくらは、男四人韓国料理屋でマッコリをしこたま飲んで気持ち良くなっていた。雨降る福岡の夜を帰る方向が同じ三人でタクシーで帰宅することになった。一人は自転車できており、タクシーに乗せてもらって帰ることになった。

2010-06-28 17:13:16
monk_jp @monk_jp

タクシーに乗りこんであのアーティストがかっこいいだの、あのライブがよかっただの、他愛のない話をしていた。 会話の間隙をぬって運転手が、「あー肩が痛かー、最近肩も上がらん様になってきた。」と、ぼやきはじめた。 ぼくらはなんとなく笑っていた。

2010-06-28 17:17:39
monk_jp @monk_jp

運転手は続ける、話し方もあまりはっきりしておらず、自分も随分酔っ払っていたのであまりはっきりとはしないが、こんな話をしていた。 最近債務整理をしてから、全部現金支払いが必要っちゃんねー。やけど金がなかもんね。 あの自転車よかね。高かったろ?いくらやった?

2010-06-28 17:33:47
monk_jp @monk_jp

さらに運転手は続ける。俺はやられるのがうまかろーが。問題をおこして、最終的には保険屋を使って金貰うと。そりゃそうやろうもん。なんでも使って金貰うさ。やるかやられるか、そんな覚悟でやりよるけんね。 もう、上の歯が全部なかもんね。

2010-06-28 17:47:18
monk_jp @monk_jp

それに俺これやろうが、とおもむろに出した左手は、暗闇の中で妖怪人間ベムベラを思わせる、指の本数が少ないものだった。運転手は続ける、最近の若いもんは恐かろうが、何するかわからんけんね。最近もこの辺で刺した事件あったろうが。俺も最近はさみば持っとるけん、緊張するんか肩が凝るもんね。

2010-06-28 18:00:30
monk_jp @monk_jp

でも、今日は大丈夫やね。3人も若いもんがおれば、俺もやられんやろ。やっぱ、誰でも良かったって言うけど自分より弱いやつにやるもんね。自分より強いやつにはやらんと。うちの嫁さんはもうそんなすんなって言うもんね。

2010-06-28 18:12:56
monk_jp @monk_jp

散々、挑発とも若さへの嫉妬ともとれる言葉を続けた運転手は、自転車をうらやみ、財布をよかねぇとうらやましがっていた。間違いなく、くせ者であった運転手は、自転車につけるドリンクホルダーの新しいものが流行ると言い残し闇へと消えていった。

2010-06-28 18:21:43
monk_jp @monk_jp

人生の悲哀を感じた出来事@福岡の夜 「タクシー運転手」でした。短編小説にでもなりそうな異次元空間を作り上げた運転手。運転手が若く、我々も分別ないくらいに若ければ話は変わっていたかもしれません。

2010-06-28 18:28:04