【長瀧重信氏と山下俊一氏のリスコミ経験】②

宗教学者 島薗進氏の連続ツイートをまとめました。 ①も最初に付けました。今後も続いたら、まとめます。多分。
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①はこれです。

まとめ 【長瀧重信氏と山下俊一氏のリスコミ経験】① 原発事故の被曝リスク評価に関する二人の重要な人物のリスクコミュニケーション経験についての、宗教学者 島薗進氏による連続ツイート、第一部です。 3685 pv 141 1 user 11

島薗進 @Shimazono

1【長瀧重信氏と山下俊一氏のリスコミ経験】②長崎大学で山下俊一氏教授の前任者であり甲状腺の専門家である長瀧重信氏は福島原発以後政府の対策の中心人物(首相官邸HP)http://t.co/cyCO3KRU 。12/15に報告書を出した「低線量被ばくのリスク管理に関するWG」の座長。

2012-08-13 09:39:44
島薗進 @Shimazono

2【長瀧重信氏と山下俊一氏のリスコミ経験】②長瀧氏はまた現在行われている「原子力被災者等との健康についてのコミュニケーションにかかる有識者懇談会」の座長でもある。では、同氏は原発災害によるリスクの評価とリスクコミュニケーションにつき、どんな経験をもちどんな考え方をもっているのか?

2012-08-13 09:40:20
島薗進 @Shimazono

3【長瀧重信氏と山下俊一氏のリスコミ経験】②同氏著『原子力災害に学ぶ―放射線の健康影響とその対策』丸善(本年1月刊)を見ると同氏のリスクコミュニケーションの経験と考え方が分かる。同氏は長崎大教授として甲状腺への放射線の影響について研究蓄積がある。1987年には核医学会会長に。

2012-08-13 09:40:29
島薗進 @Shimazono

4【長瀧重信氏と山下俊一氏のリスコミ経験】②だが長瀧氏の放射線被害との本格的関わりはチェルノブイリ事故後。同事故への日本政府と連携した笹川祈念保健協力財団の医療協力(1990年8月より)に長瀧氏が参加した事による。この企ては笹川陽平団長、重松逸造副団長(当時、放影研理事長)が先導

2012-08-13 09:41:08
島薗進 @Shimazono

5【長瀧氏と山下氏のリスコミ経験】②長瀧氏は重松氏の依頼によって調査団に参加。最初の訪問ではモスクワでソ連政府要人と会議。「とくに子どもの甲状腺疾患、白血病、遺伝に対する影響を心配している」と。「とくに原爆を経験した日本の学者の協力を得たいとの気持ちが随所で感じられた」p43

2012-08-13 09:41:49
島薗進 @Shimazono

6【長瀧氏と山下氏のリスコミ経験】②一行は続いてベラルーシのゴメリへ。汚染地帯にあるゴメリ州立病院訪問。病院関係者、患者、家族の声を聞く。長瀧氏曰く「ここで強く感じたのは、事故が汚染地帯住民の精神に非常に大きな影響を与えている、ということであった。」p44ここでの体験記は要注目。

2012-08-13 09:42:17
島薗進 @Shimazono

7【長瀧重信氏と山下俊一氏のリスコミ経験】②長瀧著より引用「まず、入院している患者のほとんどはチェルノブイリ原発事故によって病気になったと信じていた。[ある]患者はバセドウ病であるが、原因はチェルノブイリ原発事故で、原爆の専門家の先生はすぐに治してくれると期待しているといわれた」

2012-08-13 09:42:38
島薗進 @Shimazono

8【長瀧重信氏と山下俊一氏のリスコミ経験】②「また病院で出産した新生児の母親は、自分たちの子どもに奇形はないか、いつ白血病あるいは癌になるのか、いつまで生きらえっるのかなどと大きな不安に駆られており、まさに半狂乱の状態である。今まで政府の350mSvまでは安全であるとの話を」

2012-08-13 09:43:16
島薗進 @Shimazono

9【長瀧重信氏と山下氏のリスコミ経験】②「信用してきたが、最近海外からの報道関係者は、この地域は汚染されており、放射線による病気でたくさんの人が亡くなり…と報道している。自分たちはどうしたらよいのか。子どもだけは助けてほしい。ここで原爆の調査治療の経験のある日本の専門家が」

2012-08-13 09:43:49
島薗進 @Shimazono

10【長瀧氏と山下氏のリスコミ経験】②「来てくれたことは本当にうれしい。本当に頼りにしていると医者冥利に尽きるほどの信頼の眼で見られたことは忘れられない。また、医療協力としてもっとも大切なことは、この住民たちの不安に応えることにあると確信した」著者のリスコミ観を方向づけた経験。

2012-08-13 09:44:15
島薗進 @Shimazono

11【長瀧重信氏と山下俊一氏のリスコミ経験】②90年8月の長瀧氏の経験の叙述から浮かぶ疑問。まず「不安」に強い印象を受けたのは分かるが「不安こそ問題」という「確信」に医学的根拠はあったのか? バセドウ病を放射線被曝の影響と誤解する患者のように過剰な不安があるという認識は理解できる

2012-08-13 09:44:39
島薗進 @Shimazono

12【長瀧重信氏と山下俊一氏のリスコミ経験】②しかしそれが「もっとも大切なこと」と「確信」するのは科学的な慎重さに欠けてはいないか?こうした文章には予断を持ちこむことに躊躇しない態度が現れている。事実、長瀧氏は3.11後も「不安こそ問題」という「確信」を貫き通してきている。

2012-08-13 09:44:54
島薗進 @Shimazono

13【長瀧重信氏と山下俊一氏のリスコミ経験】②長瀧氏は言うp47「「何をすべきか」については、先ほど述べた現地での経験から、医療協力としてはなによりも住民のパニックともいうべき不安状態に対応することが最重要であると考えた。そのために「何ができるか」としての調査団の結論は」

2012-08-13 09:45:21
島薗進 @Shimazono

14【長瀧重信氏と山下氏のリスコミ経験】②「人道的には親の前で子どもを診察し、少なくとも現在心配すべき病気はないと親に告げることであった。これが、一番早くこの極端な不安を取り去る方法であると考えた。またさらに、可能な限り」たくさんの子どもを診察すると同時に、その診察した結果を

2012-08-13 09:46:13
島薗進 @Shimazono

15【長瀧重信氏と山下俊一氏のリスコミ経験】②「科学的な調査結果としてまとめ、被曝の状態を明らかにし、子どもに検診を受けさせられない親たちの不安を取り除くことを目的とすべきであるということになった」。科学者はこれを妥当な調査方針と考えるか?「不安を取り除く」という目的がまずあり

2012-08-13 09:46:29
島薗進 @Shimazono

16【長瀧重信氏と山下俊一氏のリスコミ経験】②その目的にそった調査を行うという。また、子どもを検診するのも「不安を取り除く」のが目的だという。原爆被災地から来た医師として、子どもを診察して他にできることはなかったのか?被爆者医療に取り組んできた人たちはこれに批判的だった(続)

2012-08-13 09:46:51