ツイッター小説 お気に入りセレクト 2012/08/20

今日読んだついのべの中から個人的にお気に入りの作品を選んでみました。 ついのべ #twnovel とはツイッター小説、つまり140文字以内で書かれた短いお話です。
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(ゆないキズト) @Kyzt__

#twnovel 「ついのべが正義だというコトを、今お前に教えてやろう」「…ふん。そんなコトできるのか?」「簡単だ。こうやって会話しているだけで、ついのべが生まれるんだ」「それが、どうした?」「だから今、お前もついのべ作りに協力しているんだ。望んでなくともな」「…なん、だと!?」

2012-08-20 01:40:15
かなりひこくま @kanarihikokuma

「すべて想定の範囲内よ。不気味なくらいにね」そう言って女は量子銃をとりだすと男を分解した。女自身は気づいていなかったが、彼女の周囲には予定調和フィールドが発生しており、このフィールドに囚われた者は例外なく、予定調和的な行動しかとれなくなるのだった。  #twnovel

2012-08-20 01:42:40
明宏訊 @aliceizer

#twnovel 起床すると、午前9時をとうに超えていた。時計が壊れていたことにしようと、二度寝を試みたが、母親によって阻害。なんということだろう、母は旅行に行っているはずなのに、目の前にいるこの凶悪な人物は何者だろう?と目を凝らすと姉だった。彼女は言った。「起きろ!このバカ!」

2012-08-20 07:06:34
浅葉積木 @tsumiki_a

#twnovel これからの時期、夏の収集係たちは忙しい。ところどころで秋の気配が漂いはじめたから。熱心な係員は暑い屋外に出て雲の形や色の濃い木陰を記録に残す。怠け者の係員は涼しい家の中で小学生の絵日記なんかを記録している。 仕事の合間のかき氷がおいしいのも、あと少しの間だ。

2012-08-20 07:06:39
すなお @Svnao

#twnovel 人目を忍び、共に外出する事も儘ならぬ関係がもう幾年続いたろう。どうだ駆け落ちでもするかと冗談めかして尋ねると、そうですねえと彼女は笑った。「それじゃ箱根へ三日ほど」それは旅行というのだ。だが確かに、それが今出来る精一杯だった。駆け落ちは老後の楽しみとしておこう。

2012-08-20 16:04:14
birdboiled @birdboiled

#twnovel 信号待ちをしているわたしの頭を、大鷲がひゅっと掴んで飛んだ。抗議の間もなく、あっという間に交差点が、街が、都会が、眼下に遠ざかっていく。大杉の上の巣では、母と妹が正座して待っていた。大鷲が厳かな声で告げる。「では、家族会議を始める。議題は、姉の門限破りについて」

2012-08-20 19:19:01
すわぞ @suwazo

#twnovel 旧都市管理コンピュータの瓦礫から発見された、人型旧式コンピュータ少女は都市を縦横無尽に動き回る。自由に。新システムは少女を捉えられない。なぜなら少女はネットワークに繋がらない。失われた言語で動く少女とシステムは兌換性がない。システムは少女を妖精の項目に分類する。

2012-08-20 20:06:00
miecha @miechorz

#twnovel 心をこめた言葉は塊になってしまい誰の耳にも届かない。彼に告げた、さよなら、たった四文字もぼとりと地面に落ちた。仕方ないから、さで刺してよで四等分に切り分け、なで殴ってらを巻きつけ楽にした。塊になった言葉も、相手にぶつければ伝わると知った十五の夏。

2012-08-20 21:35:29
よしのちほ @chiho_yoshino

バスが角を曲がるまで見送った。作り笑いが剥がれて、涙がこぼれた。何かが終わった気がする。だってあなたは帰ると言った。東京に帰る、と。そうやって少しずつ向こうの人になっていくんだ。またねと笑顔の顔文字でメールが来たから、同じ顔文字を返した。あなたも泣いているの? #twnovel

2012-08-20 21:42:47
添嶋譲 @literaryace

夜中、学校のプールに忍びこむ。全部脱いでゆっくりと泳ぐ。思ったより暗くて君の姿はよく見えない。初めてこんなことしたけどなんか楽しい。君の声が笑う。もっと真面目かと思った。そういう俺に、チャンスがなかっただけだよと抱きついてくる。キスしようか?いたずらっぽい声。 #twnovel

2012-08-20 21:43:50
七歩 @naholograph

読み聞かせさんは仕事を終えた。仕える少女が本を読めるまで成長したのだ。これは悲しみ、いいえ喜び。次の少女の元へと向かい季節は巡る。#twnovel 新しい絵本を手に取り読み聞かせさんは驚く。この本の主人公は自分のよう。作者名を確認する。懐かしい名前に一層優しい読み聞かせが始まる。

2012-08-20 22:47:10
篤。 @ishia2011

「じゃ、今度は暮れにね」そういって君は出発ゲートで振り返り俺に手を振った。短い休みが終わって、街へと帰る君。俺は出来るだけ平然と見送る。卒業から三年。帰ってくる毎に君は強く綺麗になっていく。一方この町で置いていかれる、俺。「いくな」の一言は、今回も言えなかった。 #twnovel

2012-08-20 23:09:09
roardel @roardel

イリス王国の若き王が白磁の肌の娘の夢を見た。目覚めた王は、美しき夢の残り香に打ち震えた。王国中から情報通が集められ、夢の女探しが始まった。王の夢を紡いだ魔王の娘は地底の宮でほくそ笑んだ。自らを手に入れるために、栄華を極めた王国が1つ、没落してゆく未来を夢想して。 #twnovel

2012-08-20 23:55:41