◆ザ・ヴァーティゴVS地底科学世界◆その3◆

ニンジャスレイヤー番外編?
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ダイハードテイルズ広報局 @dhtls

『博士をとにかく殺せ』火星人は言った。『転送装置を停止されたり、ハッキングされては、元も子もない。ゴラン、お前を生かしておる理由は転送装置だ。しっかりと認識せよ』「……」ゴランは歯を食い縛った。『火星の座標設定の進捗はいかに?』「順調です。自動計算させています。もうすぐです」23

2012-08-23 18:24:27
ダイハードテイルズ広報局 @dhtls

『おお……母なる火星』火星人はうっとりと言った。『美しき7つのリングと14の衛星に護られた、まことの王の星。みずみずしい果実と水と生き物たち。それに引き換え、この星の汚らしきことよ。ゆけ、カラマス。博士を処刑せよ。戦士は引き続き騙しておけ。晩餐の鉱石ワインに、眠り薬を混ぜよ』24

2012-08-23 18:29:28
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「承知しました」カラマスは言った。「我が子らは……本当に無事ですか」『くどい』火星人は言った。真空管モニターが点灯した。積み木で遊ぶ六人の子供が映し出される。『宮廷の西の塔の9階、獅子の部屋から動かしておらん。見ての通り危害は加えておらん。忠誠の原動力ゆえ』「……」 25

2012-08-23 18:46:30
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『おかしな真似を考えるでないぞ。獅子の部屋の前には火星アーマーを配備してある。貴様らの貧弱な武器など一切効かぬからな。粛々と私への忠誠を上塗りせよ』「勿論です」『ゆけ!そして、ゴランは私と来い。地下3階の蜥蜴の間だ。転送機の進捗を確かめる』「承知しました……」 26

2012-08-23 18:49:52
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「随分待たせる事じゃないか」プテラノドン発着場でウエスギ達は焦れていた。「どうか。どうか今しばらく」兵士達は彼らを取り囲み、動かそうとしない。「我々は言わば英雄ではないのかね?貴公も何とか言ったらどうだ」ザ・ヴァーティゴを見る。「ああ……うん……こいつは参ったなァ」 28

2012-08-23 19:07:30
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◇よし、今から皆のアドバイスを遡ってみるぜ。しかし、このまま待たされると、何かマズイのかなあ?◇

2012-08-23 19:22:10
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◇まいったな。大臣の他に、ほんとうの火星人がいるってのか。鉱石ワインは薬入り?しかし、ウエスギに詳しく話すには人目が多いなあ◇

2012-08-23 19:33:59
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ザ・ヴァーティゴは懐から紙とペンを出した。「この後、図書館で借りておいて欲しい本のリストだ」「うむ」ウエスギは受け取った。衛兵達は様子を見守ったが、取り上げる事は無い。実際ギョームと博士をこうして捕らえてきたのだから。「大変お待たせしました」と新たな衛兵が走ってきた。 29

2012-08-23 19:50:50
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「こいつらは、牢獄に連れて行くんだな?」「ええ、そうです」「俺が連れて行こうか?」衛兵達が言葉をかわした。「いえ、貴方がたには晩餐の席が用意されます」 30

2012-08-23 19:56:29
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「晩餐か。イイね」ザ・ヴァーティゴは陽気に言った。「早く一杯飲みたいぜ。もっと急ごう」衛兵を急がせる。衛兵の数人が分かれ、ギョームと博士を護送。別の方向へ去って行った。31

2012-08-23 20:07:50
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「いかん。プテラノドンに忘れ物だ」ウエスギが踵を返した。「なんだ?着いて来るのか?」衛兵が一人、その後を追った。「一応……」「まるで囚人だ。奴らと同じではないか」「いえ。でも一応……」「まあよい。ならば来い」「後でな!」ザ・ヴァーティゴは手を振った。 32

2012-08-23 20:19:18
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廊下を足早に歩き進み、やや小さな部屋に案内される。長いテーブルには銀の皿が並ぶ。それから不可思議な果物類。向かいの席のカラマスが立ち上がり、両手を広げた。「よくぞ戻られた。素晴らしい成果です。これで我が国の憂いは絶たれ申した。何とお礼を申し上げたらよいか」「いやいや」 33

2012-08-23 20:23:17
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ザ・ヴァーティゴは椅子にドッカと座った。「ウエスギ卿は?」「忘れ物です。喉が乾いた!もう我慢できない!」ザ・ヴァーティゴは侍女を急かした。ゴブレットに鉱石ワインが注がれる。「マナーとか、いいよな?疲れちまってるんだ」「なんと……そうですか」カラマスは瞬きした。「そう仰るなら」34

2012-08-23 20:26:43
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「ワオーッ!」ザ・ヴァーティゴは勢いよくゴブレットを逆さに傾け、浴びるように身体を仰け反らせた。そのまま勢いよくテーブルに突っ伏した。「……」カラマスがおずおずと身を乗り出した。「ザ・ヴァーティゴ殿?」「グオーッ、グオオーッ!」彼はうつ伏せのまま鼾をかきはじめた。 35

2012-08-23 20:30:05
ダイハードテイルズ広報局 @dhtls

「……ザ・ヴァーティゴ殿?」「グオーッ!グオオーッ!」「ほほう……何という事だ。よほどお疲れだったか」カラマスは低く言った。彼は侍女に命じ、衛兵を呼ばせた。「彼を地下三階へ」「ハイ」「グオオーッ!グオオーッ!」「それから、早くウエスギ卿を呼びなさい。彼にもワインを振舞わねば」36

2012-08-23 20:34:41
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「カマラス様!ウエスギ卿が!」そこへ一人の衛兵が血相をかえて現れた「おお、来たかね?お通ししなさい……」「いえ!ご乱心です!」「乱心?」カラマスは眉をひそめた。 37

2012-08-23 20:38:38
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カーン、カーン、カーン!パオーウー、パオーウー!半鐘とサイレンが中庭にうるさく鳴り響く。「やれやれ、これは意外に早い事よ」ウエスギはサーベルを死んだ衛兵の服に押し当て、血を拭った。それからギョームと博士の拘束を切断した。周囲に衛兵の死体が転がる。彼は敵に容赦しない男だ。 39

2012-08-23 20:45:06
ダイハードテイルズ広報局 @dhtls

ウエスギは着いて来た衛兵を容赦なく殺し、それからギョームと博士の後をこうして追ったのである。「私とて、もう少し穏やかな解決方法が好みだが」彼はザ・ヴァーティゴから「図書館で借りておいて欲しい本のリスト」として渡された作戦メモを見、躊躇なく実行に移した形だ。 40

2012-08-23 20:50:00
ダイハードテイルズ広報局 @dhtls

「貴公らの処刑を急いでいるという話が本当ならば、悠長をしてもいられん」ウエスギは言った。「だが、よいか?貴公らの正統性を担保するのは、現時点では、あの狂人のテレパスだけだ。たった今、私の剣術を目の当たりにしたな?もし謀っておれば……わかるな」「信じてくれていい」とギョーム。41

2012-08-23 20:54:43
ダイハードテイルズ広報局 @dhtls

ウエスギは新情報を手短に説明した。火星人、子供の人質、それゆえの謀反。「よいか?つまり、人質を先に押さえれば事態を打開できるやも知れん。軍隊とやり合うのは骨だ。西の塔はどちらだ」「あれだ」「よし。身を守れ。さらば」彼は疾風怒濤の勢いで駆け出した。パオーウー!パオーウー! 42

2012-08-23 21:07:30
ダイハードテイルズ広報局 @dhtls

バリバリバリ、見張塔から戦闘ヘリが降りて来た。「フン!この城にもあるのじゃないか」ウエスギは走りつつオーバーテクノロジー拳銃の引き金を引く。POWPOWPOW!「ギャーッ!」乗り手は無惨な悲鳴を上げて死に、ヘリを墜落させた。ウエスギは殺到する衛兵を斬り殺し、西の塔に飛び込む。43

2012-08-23 21:13:51
ダイハードテイルズ広報局 @dhtls

エレベーター?遅い!ウエスギは踊り場までひとっ飛びする勢いで階段を駆け上る。木箱を抱えた職員が階段をおっかなびっくり降りて来る。「あっ!え?わ!わ!」「邪魔だ!」風のようにそのすぐ横を駆け抜けると、あわれな職員は木箱を下にぶちまけて粉砕した。 44

2012-08-23 21:19:42
ダイハードテイルズ広報局 @dhtls

9階だ!ウエスギは回転跳躍してフロアに着地した。この階には無数の部屋がある。蠍、狼、竜、獅子、猿、鸚鵡、蟷螂、鼠、猫、鷲、兎、蛙、甲虫。「ムムムーッ!」ウエスギは唸った。目的の部屋はどこだ!「キキーン!」そこへ、甲高い叫び声!ドシドシと足音を立てて近づく巨大な甲冑あり! 45

2012-08-23 21:23:40