渡邊先生のつぶやき 「性格のビッグファイブはなんの構造なのか」

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渡邊芳之 @ynabe39

実は私の修論は「性格表現用語の因子構造は実際に観察された性格の因子なのか言葉の意味構造の因子なのか」というのがテーマだった。性格評定データを因子分析しても「意味の似ている言葉を並べてください」みたいな距離データを分析しても因子構造はほぼ共通だった。

2012-08-24 12:43:26
渡邊芳之 @ynabe39

もちろん「言葉の意味が近い」ということが「言葉の意味対象の実際の共通性や共変動」を反映しているのは当然なのだが,「言葉の意味の因子構造」が「それによって記述されるものの実際の構造」と常に同じかには考えるべき部分がある。

2012-08-24 12:45:53
渡邊芳之 @ynabe39

むしろ「言語の構造が先にあってその枠組みから現実を捉えている」という部分もかなりあるだろうという話。そしてこれば「性格のビッグファイブはなんの構造なのか」ということともつながる。

2012-08-24 12:47:04
渡邊芳之 @ynabe39

ビッグファイブの因子構造については文化や言語を超えておよそ共通であることがわかっている。このことは「人の性格の構造が文化や言語を超えて共通」なのか「人は文化や言語を超えて共通の性格をとらえる言語的な枠組みを持っている」なのか。同じことのようだが違うところもある。

2012-08-24 12:50:05
渡邊芳之 @ynabe39

個人を超えてかつ文化や言語も超えて共通なものにはわれわれは「生得性」や「根源性」を仮定したくなる。われわれが「人の性格をとらえる共通の枠組みを持って生まれてくる」としたらそのことの機能はなにか。

2012-08-24 12:51:53
渡邊芳之 @ynabe39

私はこれは「人の性格が5因子構造である」ことよりむしろ「人が認知する必要のある他人の行動特性には5つの側面がある」ことなのだろうと思っている。実際には人の性格には他の側面もあるが,それらは人類の進化の過程ではあまり認知する必要のないものだったのかもしれない。

2012-08-24 12:54:52
渡邊芳之 @ynabe39

機能主義者としての心理学者が適応の考え方や進化論と親和的なのは当然。進化心理学が現れるずっと前からスキナーは「進化とオペラント条件づけは変異と選択による適応という共通のシステムの別の側面」だと言っていた。

2012-08-24 12:58:48
渡邊芳之 @ynabe39

ぜったいそうよ。だって心理学や精神医学に「適応」の概念を最初に導入したのはフロイトといってもいいくらいだからね。 RT @TanTanKyuKyu: フロイトも生きてたら進化心理学に興味を示したろうな

2012-08-24 13:01:27
渡邊芳之 @ynabe39

じっさいビッグファイブを進化心理学的に考えるみたいな議論は何人かの人がすでにやっているはず。

2012-08-24 13:02:44