廃炉作業は「安全」なのか(2)――植松青児氏による《廃炉作業「安全」説への批判》
(1) 今から、被曝労働についての「安全デマ」といって過言ではないツイートを取り上げます。発言者のbcxxx 氏は発言当時、首都圏の反原発運動でコアな位置にいました。
2012-08-16 13:46:30(2) このツイート群の問題は、その内容はもとより、首都圏の反原発運動の人間からなされたこと、発言者自身が「今後の日本の脱原発を考える上で最も重要な情報」として拡散キャンペーンしていることですが、さらにそのキャンペーンの動機も大きな問題だと思います。
2012-08-16 13:48:25(3) 発言の主は@bcxxx氏です。批判の対象は彼個人であり、彼が中心的位置にいる(いた)twitnonukes、首都圏反原発連合への批判ではないことは予め明言しておきます。また、反原連の運動への妨害と曲解される恐れがあるため、3か月ほど批判は控えていました。
2012-08-16 13:50:27(4) また、私が彼のツイート群を問題にする動機は、反原発運動全体(とりわけ被曝労働問題の運動)にとって明らかに有害な情報キャンペーンを意識的に行ったからです。私の意図が矮小化されないよう、ここで明記しておきます。
2012-08-16 13:51:49(5) 問題のbcxxx氏のキャンペーンを以下(6)〜(11)に紹介します。彼にブロックされている人は、 http://t.co/P8CQl6ZE の20:35:18から21:12:36をお読みください。
2012-08-16 13:52:22(7) 「過去に貼ったことがあるけど、海外の廃炉作業は一応人間は現場に入るものの、徹底してロボット化されている。」(続く)
2012-08-16 13:55:08(7続き)「専用の作業アームを備えたロボットで原子炉を解体し、建屋などのコンクリートは爆破解体ではなく細かいブロックに切り出して運び出す。その後除染工場?に運んで一つ一つ超音波?で洗う」 http://t.co/aR5HWiSz
2012-08-16 13:55:44(8) 「なるほど。核燃料移送後は放射線濃度が99%低下する、と。 http://t.co/j2veMy8e … 思った通り、廃炉労働は稼働中の原発で働くよりも被爆が遥かに少なそうだぞ。」 https://t.co/A4BbFHHu
2012-08-16 13:56:03(9) 「ざっくり結論。核燃料を取り出した後の廃炉作業は格段に安全。労働者もほとんど被爆しない。雇用は長期間確保される」 http://t.co/5J9oBFes
2012-08-16 13:56:27(11) 「これ拡散してください。→ https://t.co/A4BbFHHu 今後の日本の脱原発を考える上で最も重要な情報だと思います」 http://t.co/lB0lchx4
2012-08-16 13:57:19(12) 以上、一読しただけで呆れている方も多くおられると思いますが、これらのツイート群をbcxxx氏自身が「今後の日本の脱原発を考える上で最も重要な情報」なので「拡散してください」と述べている以上、批判を加える必要があると考えます。
2012-08-16 14:00:03(13) @bcxxx氏が「労働者もほとんど被曝しない」の論拠としたシュピッツナーゲル典子氏の記事はドイツのミュルハイム・ケールリッヒ原発(以下KMK)の廃炉計画についての記事だが、記事中にあるように、同原発の稼働期間はわずか13か月!(87年8月?〜88年9月)
2012-08-16 14:01:00(14) 画像2のキャプションに「核燃料移送後は、放射線濃度が99%低下するそうだ」とあるが、これも「わずか13か月しか稼働しなかった原発」についての話。しかも、この電力会社(ライン・ヴェストファーレン電力会社)の説が正しいという裏付けはない。
2012-08-16 14:01:57(15) @bcxxx氏の主張は「わずか13か月しか稼働しなかった原発の廃炉作業では被曝しない」=「(何十年も稼働させた日本の原発も)燃料を取り出した後の廃炉作業は格段に安全。労働者もほとんど被爆しない」という短絡的なもの。原子力ムラの安全デマゴギーと同次元の酷さです。
2012-08-16 14:04:31(16) ご存知の方も多くおられると思いますが、長年稼働させた原発には、金属が「放射化」現象を起こす、という問題があります。これは2009年10月11日(日)放送『NHKスペシャル|原発解体~世界の現場は警告する~』でも紹介されています。
2012-08-16 14:06:21(17) 同番組はweb上で文字起こしが公開されています。http://t.co/y6aBi1jp http://t.co/00D84uTs http://t.co/JsJa5bCC 以下、同じドイツのビュルガッセン原発の廃炉作業についてのナレーションを紹介しましょう。
2012-08-16 14:07:16(18) 以下引用;「原子炉は運転停止から14年経っても強い放射線を出し続けています。それは、放射化と呼ばれる現象のためです。核燃料から出る中性子にさらされたため、金属の性質が変化し、自ら強い放射線を出すようになっているのです。長い間運転した原子炉は全てこのような状態になります」
2012-08-16 14:08:52(19) ちなみに社民党の福島瑞穂氏によれば、ビュルガッセン原発は1972年運転開始、94年にひび割れ発見、廃炉決定。つまり、稼働は最大で22年。 http://t.co/7IrxJGt5
2012-08-16 14:09:39(20) つまり(13ヶ月だけ稼働の)ミュルハイム・ケールリッヒ原発と、長期間稼働したビュルガッセン原発では、同じドイツの原発であっても状態が全く違うわけです。「核燃料を取り出した後の廃炉作業は格段に安全。労働者もほとんど被爆しない」などと安易に断定できるわけがありません。
2012-08-16 14:10:20(21) ドイツの原発に限ってもこんな状態です。( シュピッツナーゲル典子氏の記事を論拠に) 日本の原発について「核燃料を取り出した後の廃炉作業は格段に安全。労働者もほとんど被爆しない」などと安直に断定するのは、もはや山下俊一の「安全デマ」と大差ありません。
2012-08-16 14:11:38(22) また、先述のNHKスペシャルでは、日本の原発が「解体を考慮した設計ではない」こと、東海原発では原子炉に人が入れる状態でないこと、しかも必要な図面すら揃わず、原子炉を解体する無人ロボットを操作するのが現状では困難であること等も紹介されました。
2012-08-16 14:12:37(23) その他、原子炉部分以外でも危険であることも同番組で紹介されていました。bcxxx 氏の言う「核燃料を取り出した後の廃炉作業は格段に安全。労働者もほとんど被爆しない」という発言が、いかに無責任であるか、3年前に放映され(多くの人が視聴した)NHK番組が示しています。
2012-08-16 14:15:33(24) さて最後に、反原発運動の内部から、このような「安全デマ」と言って過言ではないキャンペーンがなされたことについては、その意図を含めて批判する必要があると思います。
2012-08-16 14:17:44