画家の山田正亮氏逝去。81歳。各紙訃報記事の「人物紹介」を読み比べると面白い。http://bit.ly/bG1hih、http://bit.ly/dD1vvh、http://bit.ly/c5WjXI
2010-07-22 21:21:48「静物を題材にした具象絵画を経て、1950年代から画面を厳格なストライプや格子などで構成する「Work」シリーズに取り組んだ。戦後の抽象画家を代表する一人として活躍。05年度に文化庁長官表彰を受けた。」(毎日新聞)
2010-07-22 21:22:55「セザンヌ的な静物画から出発し、抽象化を進めた。1956年頃、形や色などを純化するシリーズに着手し、60年代前半には赤、青、灰色などの色彩を横方向に反復するストライプ絵画に到達した。モダニズム絵画の可能性を独自に探求した軌跡は80年代以降、高く評価された。」(読売新聞)
2010-07-22 21:23:34個人的には共同通信のものがもっともが好み。その短い一文がまったくもって「山田正亮」以外のなにものでもないというところに、暴力的なまでの美しさと残酷さを感じてしまう。
2010-07-22 21:24:28昨日のつづき。山田正亮の訃報記事における氏の「略歴」が面白いのは、それが紛れもなく「山田正亮」であるにも関わらず、彼の絵についてはマッタク何も語っていないに等しいという点にある。そして、そこにこそ山田正亮の絵画の本質はあるのだと思う。
2010-07-23 20:47:32たとえば山田正亮の絵を「多彩色のストライプの絵画」と簡潔にまとめられてしまう違和感から、逆に我々は彼の絵を目にしているとき実際に見ているものは単純な「ストライプ」ではなく、色層間を縦断する絵具の滴りであり、ストライプの線の微細な震えであったことに気付く。
2010-07-23 20:49:19山田正亮の絵画を絵画たらしめている本質は、数行の「略歴」では記しえない部分にこそある。その事実こそが山田正亮の絵画の豊かさや奥深さを証明しているのではないだろうか。
2010-07-23 20:50:40どんな作家、どんな作品、あるいはどんな人生だって、僅か数十文字の「略歴」に纏め上げることはできる。しかし問題は、その「略歴」と実際の作品や人生の間にどれだけの「誤差」や「違和感」を築けるかなのだろう。
2010-07-23 20:54:05