橘川幸夫氏の古い原稿「1973年のジャニス・ジョプリン論」
ジャニスは<歌手>という職業を望む事によって自己の内面に秘む混濁とした狂気を表現する契機を与えられたが、それは、望む事によって、与えられた事によって、幸と不幸といった相対論の枠を越えて一つの確実な<不幸>を背負う事に他ならなかった。
2012-09-10 23:45:22ジャニスは自からを裁断する自からの声に懸命に耐えていた。よく耐え得るほどにジャニスという女は強かった。あまりに強かった。強すぎた。だからジャニスの叫び声はますますラジカルにならざるを得なかった。
2012-09-10 23:45:33ジャニスの声は決して<野獣のように吠えている>のではない。何かの対称があってそれに向かってコミュニケーションしたいが為に叫んでいるのではない。
2012-09-10 23:45:44呼んでいるのではないのだ、ジョンが虚空(ヨーコ)に向けて一生懸命に呼んでいるものを、ジャニスは希求し、それ以上に本能的なまでに絶望していた。その声は自分の内側へ向うしかなかった。
2012-09-10 23:45:57ジャニスを論じるのに詞を云々するのは私の発想ではないが、ここには男と女の関係の辛い車輪に疲れ果てた一人の投げやりな居直りがある。中途半端な愛を許さないジャニスの強さがある。歌謡曲風に言うと<しょせん他人と知りました>というあのふてくされたリアリズムの認識に他ならない。
2012-09-10 23:46:19<その純情に偽りがなく、故につねに別離を思ってゐねばならぬやうな女であった。その多情じゃ空極の純情の如くにも見える。>と書いたのは、無数の男を愛した和泉式部を語った保田与重郎である。
2012-09-10 23:46:31ジャニスが人一倍に奔放であったのは、ジャニスが人一倍に辛かったからであるという事は、自明に思われる。諦めていながらも、求めなければならないという自己矛盾によってジャニスは更に自からを裂いたのである。
2012-09-10 23:46:48@metakit ジャニスファン。橘川さんツイを読ませていただき、久しぶりにたまらなく彼女を思い起こし愛おしく感じています。
2012-09-10 23:56:41Janis Joplin (ジャニス・ジョプリン) Move Over: http://t.co/tLvCBt2J
2012-09-11 00:19:08