「人に勧めるには注意を要するミステリ」作家別シリーズ

mysteryEQ様の「人に勧めるには注意を要するミステリ」シリーズを まとめさせていただきました。意外な視点からの作家別レビューです。 特別ゲストの参加もあり。 <2010年7月~2012年11月までに取り上げられた作家> 続きを読む
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ないとー @schizophonic

その2『人獣裁判』タイトルがかっけー。アル中症状が嵩じて、幻覚まみれの頃に書いた。掲載誌が超変態雑誌にもかかわらず「頭がおかしい」と読者に罵られた。「こりゃ先生の作品の中でも相当キテるに違いない」と思って読むと、いささか当て外れ。ただし、併録の拷問エッセイは必読なので重ねて注意。

2012-04-30 23:18:17
ないとー @schizophonic

その3『幽霊屋敷』過剰な肉体の破壊描写を封じた正統的なホラー作品ゆえに初心者にも安心して薦められる……と思ったら大間違い。変わって破壊されたのは作品の完成度。他の作家でも書けるような話を書いてもつまらないんですな。それもまた既存の枠で括るには友成純一という器はデカすぎるという証。

2012-04-30 23:19:23
ないとー @schizophonic

その4『無頼漢』『狼の子守唄』『ナイトブリード』『バベル伝説』etc。所詮、読み捨て書き捨て娯楽作品。やっと面白くなってきたってところでも、どんなに面白くてこれからどうなるんだって思わせようが、予定の枚数がきたらぶった切る。三部作だろうが、売れなきゃ続きは出さない。まだ話が終わっ

2012-04-30 23:20:08
ないとー @schizophonic

つぎは、おすすめを。処女刊行物にして友成スプラッタの頂点「狂鬼降臨」。死を目の前にした人間どもの狂宴、徹底した肉体の破壊描写がもたらす無常感。これ以上はこれからも存在しないであろう精緻を極めた解体描写。スプラッタにしかできないなにかを知りたければ、これさえ読んでおけばよい。

2012-04-30 23:22:22
ないとー @schizophonic

なお、「狂鬼降臨」はいくつかの版で読めるが、ショートショート連作「へんたい千夜一夜」を完全収録した幻冬舎版『獣儀式』をおすすめ。バカバカしい殺人餓鬼も、いつもの友成テーゼがそのまま投げ出されてるような作品もあるが、「少女パノラマ」の解体幻想の美しさは格別。

2012-04-30 23:22:37
ないとー @schizophonic

実在の人物をモデルにした天才拷問処刑人して清廉で人道的な主人公が、変態だらけの友成世界にあって異質の存在感を放つ『新人獣裁判』では、盗賊に身をやつし暴虐の限りを尽くす兄や、血に飢えた民衆や盗賊との対比も相まって、人か獣かという問いが切実に迫ってくる。

2012-04-30 23:23:30
ないとー @schizophonic

感情のない戦闘機械」鬼道と狂科学者に変質されていく少女との凄惨なボーイ・ミーツ・ガールの物語ともいえる『陵辱の魔界』は、死体遊戯に殺人ファック、友成エンタテインメントならではのおもてなしを受けられる快作(ちなみに眼窩ファックの存在を知ったのはこれが最初)。

2012-04-30 23:23:53
ないとー @schizophonic

いったんスプラッタ表現のもたらす圧倒的なパワーによる友成エンタテインメントの虜になったら、どれもこれも楽しくってしょうがないのが「土竜の聖杯」三部作と権藤&今村、雄高&百合子、『宇宙船ヴァニスの歌』のシリーズもの。これら連作は無茶苦茶やってるのに、話がちゃんとまとまってる!

2012-04-30 23:25:39
ないとー @schizophonic

が、上記のシリーズはいずれも入手困難。かわりに、これらの作品の雰囲気を知るために、手に入りやすい近作の中から、『樹夢』を試してみるのもあり。最盛期に比べたらずいぶんおとなしいものだが、友成の多用するモチーフやテーゼが盛り込まれた一冊なので、これが面白ければ、あとは宝の山だ。

2012-04-30 23:25:54
ないとー @schizophonic

単発の長編では最っ高にバカバカしい笑いを体験できる『暗黒細胞』『ホラー映画ベストテン殺人事件』。血沸き肉踊るヴァイオレンスだぜぇ!な『獣欲の系図』。個人的には、枚数が足りなくなって無理やりつけたとしか思えないオチに唖然とした『吸血山脈』は友成クエストのきっかけとして想い出深い。

2012-04-30 23:26:52
ないとー @schizophonic

「ワッと殴り書きし目つむって出した本の方が出来も評判もいい」友成が、じっくりと恐怖を盛り上げるホラーに挑戦しながら、奇跡的に成功させちゃった『黒魔館の惨劇』は「あんまり痛いのは……」って人にもおすすめできちゃう幽霊屋敷もの。

2012-04-30 23:27:24
ないとー @schizophonic

バブル期の作品のような過剰ぶりは影を潜めてるものの、90年代以降の作品でも、変態さんたちが嬉々として解体行為に勤しむのが頬笑ましい『ストーカーズ』、恬淡とした描写や構成がイヤさ加減を醸してる『電脳猟奇』などは、いずれ友成にしか書けない作品であることには変わりない。

2012-04-30 23:28:31
麻里邑圭人 @mysteryEQ

近年ミステリとしての可能性を感じさせる作家は誰かと問われたら自分は歌野晶午とこの作家を挙げるだろう。ジャンルの越境とメタ的(もしくはラノベ的)手法を駆使した作風は斬新の一言に尽きる。……というわけで久々の人に勧めるには注意が必要な作品シリーズその44は、野崎まど編をお届けする。

2012-11-10 18:32:39
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その1「パーフェクトフレンド」/後述する「2」ほどでないが本作もまた最初に読む作品としてはお勧めできない。というのも本作の仕掛けは作者のデビュー作である「[映]アムリタ」を読んでいること前提のものであり、故に本作を読む前に先に「[映]アムリタ」を読んでおいてほしい次第である。

2012-11-10 18:32:57
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その2「」/メディアワークス文庫でこれまで出た作品の集大成……というのは決して比喩ではない。文字通りこれまで出た作品全てが本作の伏線となっており、それらを全て読んでいればフェアなミステリとして成立するという何とも捻くれた作品なのだ。故に読む順番は本作が最後なのは言うまでもない。

2012-11-10 18:33:18
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その3「野崎まど劇場」/作者初の短編集。これまでの作品と違い非ミステリであるのもさることながら、かなり作者がやりたい放題やった作品である為、本作から野崎まどを読んだ人は唖然とさせられることだろう。あくまで作者のファン向けの内容であり、電撃文庫から出したのは失敗だったように思う。

2012-11-10 18:33:38
麻里邑圭人 @mysteryEQ

以上三作品。ちなみに「2」について補足しておくと、作品によっては物語だけではなく表紙までも伏線として取り込んでいるので要注意。また「野崎まど劇場」は収録作の殆どが非ミステリである中、唯一例外なのが「首狩島容疑者十七万人殺人事件」で、タイトル通りなかなか素敵なバカミスとなっている。

2012-11-10 18:33:54
麻里邑圭人 @mysteryEQ

ギャグ物としては「魔王」「森のおんがく団」も素晴らしいが、発想の面白さという点では「Gunfight at The Deadman city」「幻想大蒸気村奇譚」が抜きん出ている。

2012-11-10 18:34:15
麻里邑圭人 @mysteryEQ

個人的なお勧めを三作挙げるとするなら「[映]アムリタ」「死なない生徒殺人事件」「」。「野崎まど劇場」でお勧め短編なら「Gunfight at The Deadman city」「首狩島容疑者十七万人殺人事件」「幻想大蒸気村奇譚」になる。

2012-11-10 18:38:09
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