「人に勧めるには注意を要するミステリ」作家別シリーズ

mysteryEQ様の「人に勧めるには注意を要するミステリ」シリーズを まとめさせていただきました。意外な視点からの作家別レビューです。 特別ゲストの参加もあり。 <2010年7月~2012年11月までに取り上げられた作家> 続きを読む
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麻里邑圭人 @mysteryEQ

その2「それはKISSから始まった」/「アイドルは名探偵」シリーズ二作目。宝石探しに暗号、ギャングに誘拐されたマネージャーの救出劇と見所は多い反面、一作目に比べるとミステリ要素は低い。また話の纏め方が強引で明らかに頁数が足りてない印象がありこれもまた大目に見てもらえれば(汗)。

2012-03-25 21:07:11
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その3「名探偵を起こさないで」/「少年探偵セディ・エロル」シリーズの一作目。探偵役の設定は面白いと思うものの「アイドルは名探偵」シリーズの一作目同様ミステリとしては特に語るところはない。どちらかと言えば本作はシリーズキャラの顔見せ的なものとして割り切って読むことをお勧めしたい。

2012-03-25 21:07:41
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その4「怪盗デニスの眠れない夜」/「少年探偵セディ・エロル」シリーズに登場する怪盗デニスが主人公の番外編的短編集。本編がロジカルな本格ミステリであるのに対し本作はデニスのキャラを活かした出色のサスペンス小説に仕上がっている。故に本作は謎解き要素は求めずに話のみ楽しむのが吉だろう。

2012-03-25 21:08:11
麻里邑圭人 @mysteryEQ

以上四作品。ちなみに井上ほのかのミステリは「アイドルは名探偵」シリーズと「少年探偵セディ・エロル」シリーズがあるが前者は三作目から、後者は二作目から化けるので、両シリーズを読まれる際は長い目で見てもらえれば幸いである。そして、ここからは井上ほのかのお勧めミステリを幾つかご紹介。

2012-03-25 21:08:58
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その1「スコットランド古城殺人事件」/『ローランドの奥方』と呼ばれる人魚伝説が伝わるグランウィル城の当主が謎の死を遂げたのを皮切りに次々と城の住人が殺されていく。暴徒と化した村人たち。顔を潰された死体。城の奥の迷宮……果たして名探偵「セディ・エロル」はこの謎が解けるのか?

2012-03-25 21:09:22
麻里邑圭人 @mysteryEQ

「少年探偵セディ・エロル」シリーズの二作目。本格ミステリとしての雰囲気作りもさることながら、最も感心したのはその構成だ。真相に至り初めて作者がプロローグの段階から読者を騙すために入念に仕掛けていたことが分かり大いに唸らされた。

2012-03-25 21:09:44
麻里邑圭人 @mysteryEQ

しかもそれが犯人に対する絶妙なミスディレクションになっており、仮にトリックの一部が分かったとしても事件の全体像まで見抜くことはちょっと難しいのではないだろうか。本作は少女小説とコード型本格を上手く両立させた佳品である。

2012-03-25 21:10:05
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その2「ロンドン園遊会殺人事件」/ラコシと呼ばれる怪物に呪われたウィンタース家を襲う連続殺人の恐怖。テロリストによる爆破事件が起こった最中に人間技とは思えぬ方法で殺された医師。だがそれから間もなく死体は消え、代わりに「二人目は水、三人目は火で死ぬ」と書かれた予告状が――。

2012-03-25 21:12:05
麻里邑圭人 @mysteryEQ

「少年探偵セディ・エロル」シリーズの五作目は上下巻に渡る著者渾身の力作。次々と起こる不可解な殺人劇も魅力的だが、本作の見所は何と言っても呪われた一族の秘密に挑む名探偵だろう。それらが真実の陽の下に晒された瞬間、館の崩壊と共に一族が呪いから解き放たれる様は正に圧巻の一言に尽きる。

2012-03-25 21:12:30
麻里邑圭人 @mysteryEQ

また上巻のラストで作者は犯人の一人を明らかにするという破格ぶりを見せるが、それが却って真相のミスディレクションになっている点が面白い。個々のトリックは決して目新しいとは言えないが、丁寧に張り巡らされた伏線や犯人の動機が光る、王道本格ミステリの秀作である。

2012-03-25 21:12:48
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その3「愛してるっていわせたい」/真名子と克樹のアイドル探偵コンビの今度の依頼人は日舞の名門桜童子流宗家のお嬢様。何でも桜童子流次代の家元に決まっていた彼女の許婚がパーティー会場で乾杯の音頭をとった直後に謎の死を遂げたという。彼女は許婚は毒殺されたのだと主張するが――。

2012-03-25 21:13:09
麻里邑圭人 @mysteryEQ

本作の成功はこの毒殺トリックを思い付いた段階で約束されたといってもいいだろう。作中の探偵役に「たとえトリックがわかっても、この犯罪は絶対に立証できないんだ」とまで言わしめたこのトリックは人間心理の盲点を突くものであると同時にある意味少女小説であることを最大限に活かしたとも言える。

2012-03-25 21:13:39
麻里邑圭人 @mysteryEQ

また探偵役が毒殺であることに気付いたきっかけなど、トリック以外の部分もよく練られている。毒殺物の隠れた良作として本作を是非お勧めしたい。

2012-03-25 21:14:03
麻里邑圭人 @mysteryEQ

以上三作品。他にもアリバイトリックに挑んだ「ニューヨーク摩天楼殺人事件」や「セディ・エロル」の設定を使って「アイドルは名探偵」をやってみた「ロマンチックな恋したい」も捨てがたい作品である。

2012-03-25 21:14:19
麻里邑圭人 @mysteryEQ

近年日常の謎を扱った作品は数あれど、日常の謎を扱ったまともな本格ミステリは数少ない。そんな中でハルチカシリーズなどで日常の謎を扱いつつ現代本格の最先端をいくこの人は貴重な存在と言えるだろう。……というわけで人に勧めるには注意が必要な作品シリーズその43は、初野晴編をお届けする。

2012-03-29 21:51:59
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その1「初恋ソムリエ」/ハルチカシリーズ二作目の本作は一部では前作「退出ゲーム」よりもミステリ度は劣ると言われていたようだが、実際は前作以上に技巧的な作品である。特に一月のうちに三度も行われた奇妙な席替えと熱血教師の謹慎が絶妙にリンクする「アスモデウスの視線」は一読の価値あり。

2012-03-29 21:53:03
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その2「漆黒の王子」/次々と眠るように死んでいくヤクザたちと、地下の暗渠に隠れ住む七人のホームレスたちと記憶を失った「わたし」の物語――本作はハルチカシリーズしか知らないと仰天するだろう飛鳥部勝則と小川勝己のハイブリッドのような作品である。作者のまた違った一面をお楽しみあれ。

2012-03-29 21:53:42
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その3「トワイライト・ミュージアム」/脳死と診断された患者。だが実は魂が過去を彷徨っているだけだとしたら?本作は「新感覚タイムトラベル・ミステリ」と銘打たれているがミステリとしては肩透かし感は否めず細かい部分でも粗が目立つ。故に細かいことは気にせず読むことをお勧めしたい。

2012-03-29 21:54:10
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その4「1/2の騎士」/アーチェリー部主将でレズビアンの女子高生・マドカは女装癖のある美少年幽霊と共に四人の異常犯罪者と対決することになる本作は設定だけ見るとかなり色物だが、実際はかなり正統派な怪人対探偵物の本格である。お勧めは収録作中随一の狂気が忘れ難い「インベイジョン」。

2012-03-29 21:54:46
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その5「ノーマジーン」/終末論が囁かれる荒廃した世界で言葉を話す赤毛のサルと暮らすことになった車椅子の鞄職人。まず断っておくと本作の設定はトリックの要請によるものではない。故にミステリ特有の「やられた感」はないが「水の時計」のような寓話的雰囲気が好きな人なら気に入る作品である。

2012-03-29 21:55:44
麻里邑圭人 @mysteryEQ

以上五作品。そして、これまでの「人に勧めるには~」の流れだと、ここで自分の好きな初野作品を挙げるところだが、今回はちょっと趣向を変えて、短編の名手である初野晴の私的お勧め短編を紹介しようと思う。

2012-03-29 21:56:29
麻里邑圭人 @mysteryEQ

【私的お勧め短編】「退出ゲーム」「エレファンツ・ブレス」(「退出ゲーム」収録)/「アスモデウスの視線」(「初恋ソムリエ」収録)/「ヴァナキュラー・モダニズム」(「空想オルガン」収録)/「失踪ヘビーロッカー」(「千年ジュリエット」収録)/「インベイジョン」(「1/2の騎士」収録)

2012-03-29 21:57:39
麻里邑圭人 @mysteryEQ

このうち「インベイジョン」のみ短編とは言えない長さだが、そこは大目に見てもらえれば(汗)。なお「空想オルガン」「千年ジュリエット」の表題作は連作物のオチとして秀逸な作品のため、くれぐれも個別で読まないようご注意を。

2012-03-29 21:58:11
ないとー @schizophonic

「人に勧めるには注意を要する」シリーズ友成純編をお送りします。綾辻行人や竹本健治が心粋し、少々のことじゃ動じない書評家連を顔色なからしめてきた、スプラッタ描写にかけて右に並ぶ者のない作者のこと、もうどっから注意したらいいんだか分かんないけど、いくぜ!

2012-04-30 23:17:06
ないとー @schizophonic

その1『魔族創世記』考えてもみて欲しい。切れ味鋭い刃物で瞬殺されるのと、なまくら刃で死ぬまで寸刻みされるのと、どちらが恐ろしいか。何人死んだかなんて数えてられない友成が、一章に一人じっくりと液状になるまで!もう友成スプラッタにも慣れた……と思ったあなたも本作には注意が必要である。

2012-04-30 23:17:54
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