「人に勧めるには注意を要するミステリ」作家別シリーズ

mysteryEQ様の「人に勧めるには注意を要するミステリ」シリーズを まとめさせていただきました。意外な視点からの作家別レビューです。 特別ゲストの参加もあり。 <2010年7月~2012年11月までに取り上げられた作家> 続きを読む
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ないとー @schizophonic

葉村晶シリーズの『プレゼント』『依頼人は死んだ』では、若竹短編の特徴であるトリッキーな仕掛けを堪能できるのはもちろんだが、ずばり、このシリーズの読みどころはどれだけ葉村が酷い目に遭うか。サプライズとともに待ち受ける数々の受難に歯ぎしりしながら、お楽しみあれ。

2011-10-30 17:03:45
ないとー @schizophonic

船上にて』はノンシリーズ物の作品集。「タッチアウト」「手紙嫌い」「優しい水」等はマスターピースと呼ぶにふさわしく、全体にかなりハイレベル。アンソロジー等に散らばって収録されているノンシリーズ作品にも傑作・佳作が目白押しなので、ぜひ一冊にまとめていただきたい。

2011-10-30 17:04:01
ないとー @schizophonic

クールキャンデー』軽快な語り口でサクっと読めるスリムな作品ながら、後に残る衝撃は重量級。入門書としてもおすすめしたい作品だが、できれば『遺書』を先に読んだ方が楽しみは増す。『死んでも治らない』コミカルなクライム・コメディだが、ノワール初心者にもおすすめしたいクールな連作集だ。

2011-10-30 17:04:15
ないとー @schizophonic

引き続いて長編。角川ホラー文庫で書き下ろし出版された『遺品』は、ホラーとしても勿論のこと、ミステリとのハイブリッドとしても非常に完成度の高い作品なので、若竹長編の最高傑作を選べと言われたら、ためらわずこれを推す。

2011-10-30 17:04:41
ないとー @schizophonic

若竹七海には『水上音楽堂の冒険』のように、若さゆえの鬱屈や潔癖、パワーが印象的に描かれている作品も多く、それに共感する人は多いと思う。そんな人にはぜひ企みに満ちた『心のなかの冷たい何か』『スクランブル』や、『閉ざされた夏』といった作品を読んで欲しい。

2011-10-30 17:04:53
ないとー @schizophonic

近年は架空の都市・葉崎市を舞台にした作品を書き続けていて、長編もいまのところ三作ある。1作目の『ヴィラ・マグノリアの殺人』はコージーな空間の中に、プロットのひねりも毒もたっぷり入った作品。(こら、そこっ!こんな黒いコージーあるかよとか言わない!

2011-10-30 17:05:17
ないとー @schizophonic

もし若竹の読み過ぎで、いいかげんガツンガツンヤラれすぎた頭を休めたいときには、船上ミステリ『海神の晩餐』『名探偵は密航中』で、ホッと一息ついてみるのもいいかもしれない。

2011-10-30 17:06:32
ないとー @schizophonic

おすすめ上級編として、歴史の闇に葬られた伝説的な映画作品「東京一夜」を巡るストーリー『東京一夜」故事之』連作を最後に。単行本化されてないため、雑誌『小説王』(角川書店)を探すしかないが、ファンならばおなじみのメンツが集う垂涎の連作集ですよ!

2011-10-30 17:06:57
麻里邑圭人 @mysteryEQ

本格ミステリを読む時、あなたは何を最も重視するだろうか。トリック?ロジック?それとも奇想?自分はといえば何より伏線と構図を重視する。そして、その妙手として今回紹介するのがこの人である。……というわけで、久々の人に勧めるには注意が必要な作品シリーズその41は、梶龍雄編をお届けする。

2012-02-25 22:35:10
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その1「透明な季節」/梶龍雄のデビュー作にして第23回江戸川乱歩賞受賞作。入手困難として知られる梶作品の中で唯一入手が容易な本作は戦時下を舞台にした青春小説としては間違いなく傑作である。だが伏線と構図の妙を期待すると物足りなさは否めない為その辺は割り切って読むことをお勧めしたい。

2012-02-25 22:35:57
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その2「殺人者にダイアルを」/梶作品の中ではぶっちぎりの駄作。前作「天才は善人を殺す」も本格としてはお世辞にも出来がいいとは言い難かったが継母に仄かな恋心を寄せる主人公など見るべき所はあった。だが本作にはそういった要素は皆無。タイトルの意味を知った時の脱力感が半端ない作品である。

2012-02-25 22:36:53
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その3「奥信濃鬼女伝説殺人事件」/現代を舞台にした作品だとしばしば聞いたことがない若者言葉――通称カジタツ語を多用する作者だが本作はその中でも特にカジタツ語が酷い。どれくらい酷いかというと酒でも飲まないと読了できなかった人がいる程である。我こそはと思う人は是非挑戦するノダ!(爆)

2012-02-25 22:38:32
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その4「影なき魔術師」/本作を一言で言えば梶龍雄ミーツ少年探偵団。子供向けミステリということもあり、いつもの梶作品と比べると子供騙しなトリックばかりで物足りないものの、伏線の張り方はそつなく綺麗に纏めている。むしろ本作は作者の新たな一面を知ることができるという点で非常に興味深い。

2012-02-25 22:39:22
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その5「浮気妻は名探偵」/梶作品の中には濡れ場の多い所謂エロミスが幾つか存在するが、本作もその一つである。だが所詮エロミスだと侮るなかれ。例えば本作なんかは「読者への挑戦」まで用意されているガチっぷりなのだ。エロをやりつつもあくまで本格であろうとするその姿勢には実に頭が下がる。

2012-02-25 22:40:01
麻里邑圭人 @mysteryEQ

以上五作品。ちなみに梶作品に登場する主なカジタツ語としては「処置無し(ショチレス)/不在学生(エーリアン)/魅力(チャー)/しらけ(ホワイトキック)/慌て(ガクッ)た/芋(ポテト)チック/ワザトラマン/~なのダー/ママ・プリン/イエテルー」などがある。

2012-02-25 22:40:41
麻里邑圭人 @mysteryEQ

そして、いつもならここで恒例の自分の好きな梶作品三作を挙げるところなのだが、今回はスペシャルver.としていつもの倍の六作品をご紹介。「海を見ないで陸を見よう」「龍神池の小さな死体」「ぼくの好色天使たち」「清里高原殺人別荘(ビラ)」「リア王密室に死す」「鎌倉XYZの悲劇

2012-02-25 22:41:20
麻里邑圭人 @mysteryEQ

この六作はどれもこの作家の持ち味である伏線と構図の妙が堪能できる傑作・秀作ばかりだが、中でも「龍神池の小さな死体」の伏線の量は尋常ではなく、読者は解決編を読んでいて驚き疲れるという稀有な体験をすることになるだろう。

2012-02-25 22:41:53
麻里邑圭人 @mysteryEQ

最後に参考として、自分のこれまで読了した梶作品のランク付けをば。まだ未読が5作品ほどありますが、前述したように氏の作品は入手困難ゆえ、大目に見て頂ければ幸いです(汗)。

2012-02-25 22:45:27
麻里邑圭人 @mysteryEQ

A「海を見ないで陸を見よう」「龍神池の小さな死体」「ぼくの好色天使たち」「リア王密室に死す」「灰色の季節」「鎌倉XYZの悲劇」「清里高原殺人別荘」

2012-02-25 22:48:46
麻里邑圭人 @mysteryEQ

B「奥鬼怒密室村の惨劇」「幻狼殺人事件」「蝶々、死体にとまれ」「淡雪の木曽路殺人事件」「奥秩父狐火殺人事件」「奥信濃鬼女伝説殺人事件」「銀座連続殺人手帖」「殺人者は長く眠る」

2012-02-25 22:52:55
麻里邑圭人 @mysteryEQ

C「大臣の殺人」「殺人リハーサル」「若きウェルテルの怪死」「金沢逢魔殺人事件」「青春迷路殺人事件」「裏六甲異人館の惨劇」「真夏の夜の黄金殺人」

2012-02-25 22:55:28
麻里邑圭人 @mysteryEQ

D「透明な季節」「影なき魔術師」「連続殺人枯木灘」「殺人魔術」「毛皮コートの死体」「浅草殺人ラプソディ」「野天風呂殺人事件」「女名刺殺人事件」「殺人者は道化師」「浮気妻は名探偵」

2012-02-25 22:58:30
麻里邑圭人 @mysteryEQ

E「天才は善人を殺す」「殺人者にダイアルを」「殺人への勧誘」「女はベッドで推理する」「殺しのメッセージ」

2012-02-25 23:01:25
麻里邑圭人 @mysteryEQ

以前ラノベ本格の雄として久住四季と田代裕彦を紹介したが、今回取り上げるのは少女小説の知る人ぞ知る本格ミステリの書き手である。島田荘司推薦でデビューしたこの人もある意味新本格第一世代かもしれない。というわけで人に勧めるには注意が必要な作品シリーズその42・井上ほのか編をお届けする。

2012-03-25 21:06:14
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その1「アイドルは名探偵」/大作映画の主役の代役を巡る殺人事件を描いたデビュー作だがミステリとしての出来は厳しく犯人特定の根拠が弱い、トリックに捻りがない、ダイイングメッセージがあからさま過ぎるなど欠点を挙げたらキリがない。「長い家の殺人」みたいなものと大目に見てもらえれば……。

2012-03-25 21:06:44
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