〔AR〕その11

東方プロジェクト二次創作SSのtwitter連載分をまとめたログです。 リアルタイム連載後に随時追加されていきます。 著者:蝙蝠外套(batcloak) 前:その10(http://togetter.com/li/361662) 続きを読む
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BIONET @BIONET_

とまぁ、そのような思惑を内心に秘めながら、さとりはやんわりとした言葉を出した。この場にいる全員が、複雑な事情をすんなり理解できるタイプではないからだ。故に説明は簡素で、幾分か正確さは欠けていた。

2012-09-15 23:07:56
BIONET @BIONET_

「もしその時がきたら、お風呂を改築しましょうか。空が常温核融合で、うまく温度調節できるようになれば、お風呂も便利になるでしょう」 「それは楽しみねー。おくう、早く常温核融合できるようになってよ」 「うにゅ。がんばります!」 「頭で覚える必要がなければいいんだけどねぇ」

2012-09-15 23:18:46
BIONET @BIONET_

「はいはい、それじゃ、お燐の用意したご飯をちゃんと食べましょうか」 「……あれ、これ、タルボサウルスの大和煮じゃない!」  こいしが食卓で手に取った缶詰には、力強い書体で「おいしい地底恐竜・太琉墓裟羽流巣の大和煮」と書かれていた。

2012-09-15 23:24:51
BIONET @BIONET_

「ああ、それ、この前勇儀姐さんにもらったんですよ。最近シめたばかりだって」 「その恐竜も災難なものね、おおかた地底湖で酒盛りしてた勇儀に喧嘩売っちゃったんでしょう」

2012-09-15 23:31:55
BIONET @BIONET_

幻想郷とその周辺には、かつてこの地球上に存在したが絶滅した動植物がいるのだが、地底には伝説上の龍とは別の系統樹に属する龍族……恐竜が息づいているエリアがある。

2012-09-15 23:36:13
BIONET @BIONET_

「うにゅー、恐竜さんだったら、私が丸焼きにしたのに」 「たぶん、スペアリブのあたりはその場で追加のつまみになったろーね」 「違いないわね……こいし、それ、スプーン一杯分をご飯の上にちょうだい。勇儀の作る保存食は癖になる味なのよね」 「はーい」

2012-09-15 23:40:21
BIONET @BIONET_

「はーい」  さとりが茶碗をこいしに向けて差し出すと、こいしは手際よく缶詰から甘辛いねっとりとした肉をすくい上げて、さとりの茶碗によそった。 「ところでさとり様ー」 「何?」

2012-09-15 23:44:44
BIONET @BIONET_

受け取った大和煮を箸で崩すさとりに、空が声をかけた。 「地霊殿にもばいおねっとって機械があるんですよね」 「端末なら、私の書斎に置いてあるけどそれがどうかしたの?」 「私もあれ、使ってみたいです」 「そりゃまた、どういう風の吹き回しだい?」

2012-09-15 23:53:19
BIONET @BIONET_

空が守矢神社に出張している際、空を直接世話をしているのは、守矢神社の風祝、東風谷早苗である。何度か会ったことがあるが、博麗の巫女とはまた別系統のあけすけさ加減であり、扱いやすさと面倒臭さが同居しているようなタイプだった。心を読むさとり相手に物怖じしない貴重な人間でもある。

2012-09-15 23:59:58
BIONET @BIONET_

……ここ最近さとりが直接会った人間の多くは、さとりに心を読まれてもさして動揺していない者ばかりであるが。

2012-09-16 00:10:11
BIONET @BIONET_

「あ、私も使ってみたい。命蓮寺ではマミゾウさんが操作を一手に引き受けてたから、私も使えるようになったら便利だと思うの」 「……それは初耳ね。マミゾウって、確か噂に聞く二つ岩大明神じゃない。ずいぶんな古株なのに端末を使う担当なのね」

2012-09-16 00:16:35
BIONET @BIONET_

「外の世界の機械に似てるから、取っつきやすいって言ってたよ。早苗も元々は外の世界から来たそうだから、よく使っているんじゃないかな」

2012-09-16 00:24:48
BIONET @BIONET_

さとりの認識として、バイオネット端末の操作は、今の幻想郷や地底の文化水準としてはかなり複雑な部類に入っている。地霊殿で端末を使っているのはさとりだけだが、実際に操作に馴染むのはそれなりの苦労を要した。

2012-09-16 00:25:02
BIONET @BIONET_

「お姉ちゃん、命蓮寺や守矢神社と連絡するのに使ってるでしょ? 使い方教えてよ。それに、お姉ちゃんの部屋にずっと置きっ放しで、お姉ちゃんだけが使っているのはずるいよー」  瞬間、さとりの頬が僅かに震えたが、この場に居る者達はその意味には気付かない。 「そ、そうね……」

2012-09-16 00:33:11
BIONET @BIONET_

「さとり様、よければあたいにも教えてくださいよ。最近地上に遊びに行くと、よくバイオネットの話を聞くんですよねー」 「じゃあ、ご飯食べ終わったら、みんなでさとり様のお部屋に行けばいいんじゃないかな」 「いいねそれ!」

2012-09-16 00:53:17
BIONET @BIONET_

「う、うん……ちょっといま部屋散らかっているから、ご飯が終わったら先に片付けておくわね……その間、貴方達で食器とか片付けておくように」 『はーい!』

2012-09-16 00:53:51
BIONET @BIONET_

さとりは、大和煮のたれが良く染みこんだ白米を口にしたが、味がよく分からない。彼女の思考は、これからどのように自分の秘密を守るかという対策にリソースを費やしていた。

2012-09-16 00:55:52
BIONET @BIONET_

白米を噛み締めながら、さとりはしみじみ思う。地霊殿の主である限り、自分の心労の種の総量が減ることはないのだと。

2012-09-16 00:58:33