丸山天寿先生の『「魯迅先生と西村真琴先生」について』

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丸山天寿 @tenjumaruyama

さて日曜日のお楽しみだが、本日は真面目な話。中日国交正常化40周年を記念する「魯迅と日本の友人展」が15日、日本・東京の中国文化センターで開幕した。私は日本や中国、東洋の古代を研究する者として最近の隣国との関係を憂う。本日のお題は「魯迅先生と西村真琴先生」について。文中敬称略→

2012-09-16 08:05:10

魯迅 - Wikipedia

http://goo.gl/QL7ZQ
魯迅は、中国の小説家、翻訳家、思想家。本名は周樹人で、字は豫才。
ペンネームの魯は母親の姓だという。

西村真琴 - Wikipedia

http://goo.gl/4tA56
西村真琴は、日本の生物学者。元・北海道帝国大学教授。
マリモの研究や、人間型ロボット「學天則」の制作などで知られる。次男は俳優西村晃。

丸山天寿 @tenjumaruyama

かつて西村真琴という人格的に優れた科学者がいた。当時、その幅広い活動から「日本のダ・ヴィンチ」とも称された人である。昭和三年、京都で開催された昭和天皇即位の記念博覧会に、西村が製作したロボットが出品された。西村はロボットの顔を世界の各人種の特徴を総合してデザインしたという。→

2012-09-16 08:07:06
丸山天寿 @tenjumaruyama

ロボットの胸には世界平和を願ったコスモスをあしらい、光があたるとにっこり優しく微笑み、右手で字を書き、左手で「霊感灯」を持つ動きをするような設計。金色に輝く仏像にも見えるロボットの名は「学天則=ロボットも人間も科学も天則、すなわち自然の一部である」平和の祈りを込めた名前だ。→

2012-09-16 08:08:34
丸山天寿 @tenjumaruyama

昭和六年、満州事変が勃発すると、西村は医療奉仕団を組織して中国に渡り、戦争の被災者を救援した。彼は戦禍で廃墟となった町で飢えて飛べなくなっている小鳩を拾い町の名にちなみ「三義」と名付け、日本に連れ帰り大阪の自宅で日本鳩と一緒に飼育した。三義は日本鳩ともよく慣れたそうである。→

2012-09-16 08:09:56
丸山天寿 @tenjumaruyama

西村はこの三義をともなって各地で講演を行い、国境を越えた人間同士の友好を訴えて回った。三義と日本鳩の間に子鳩が生まれたら平和友好の象徴として中国に送るつもりだったらしい。だが、残念な事に三義は死に西村は庭に塚を立て、三義を描いた自筆の絵と和歌を上海在住の魯迅に送った。→

2012-09-16 08:11:19
丸山天寿 @tenjumaruyama

「西東 国こそ違え 子鳩らは 親善あえり 一つ巣箱に」。この和歌と絵を受け取った魯迅は感激して西村に「三義塔に題す」という詩を返したそうだ。その三年後に魯迅は亡くなったが、西村は「民国窮民孤児援護会」「隣邦児童愛護会」などを作り、中国の戦争孤児を受け入れる事業に力を尽くした→

2012-09-16 08:12:49
丸山天寿 @tenjumaruyama

西村の二男であった「西村晃」は、戦後、俳優になり映画・テレビで大活躍した。水戸黄門を演じていた事もある。1988年公開の映画「帝都物語」では、実父の西村真琴役を演じ、映画用に再現された「学天則」を操作している。万感の思いであったそうな。見られた方も多いのではないか。→

2012-09-16 08:13:55
丸山天寿 @tenjumaruyama

日本と中国の間に不幸な過去があったのは間違いない。日本人が反省すべき点は多い。今も両国の政府間には確執があるが、国民の一人一人とは理解しあえると思う。私にはたくさんの友人がいるし、日常の取引もある。もし、問題があるとすれば、民を指導する各国の政府の思惑と教育ではないだろうか。→

2012-09-16 08:17:44
丸山天寿 @tenjumaruyama

私は邪馬台国に取りつかれて、日本、中国、韓国の古代の「庶民」の歴史を調べている。2000年さかのぼれば、東洋の民族は、みんな親戚のようなものだ。互いに行き来し、混じり合い、助けあって(時に諍いもあるが)生きて来たではないか。政府同士が対立していても個人に出来る事はあると思う。→

2012-09-16 08:20:06
丸山天寿 @tenjumaruyama

日本という国は、東洋の様々な民と文化融合して成り立っている。その昔「倭」と呼ばれたが、これは国家名ではなく、対馬海峡・東シナ海で生きる海洋民全体を指す名ではなかっただろうか。私はその歴史物語を書きたい。利害を一致させて生きる道はきっとある。「魯迅と日本の友人展」の成功を祈る。了

2012-09-16 08:22:02