江本伸悟さん 自然観について

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江本伸悟 @shingoemoto

身体や地域に刻まれたローカルな思想に興味があるな。グローバルに誰もが摂取できる思想、検索を通じて誰もがアクセスできる思想というものではなくて、たまたまその人に、その土地に出会ったからこそ触れられる思想というような。

2012-09-14 19:45:39
江本伸悟 @shingoemoto

その人の身体を通じて話されたからこそ、その土地において語られたからこそ、響いてくる言葉というのがある。

2012-09-14 19:54:07
江本伸悟 @shingoemoto

言葉そのものではなくて、その言葉を受けて自分がどう響くのかということを考えたとき、その響きに影響するのは言葉の意味内容そのものよりも、その言葉が乗せられた身体性や土地性といったものだったりする。言葉をその意味内容ではなく、その作用の面から捉えていくならば。

2012-09-14 19:56:10
江本伸悟 @shingoemoto

森田真生氏(@orionis23)が推薦しているデザインのデザイン第七章に書かれた「あったかもしれない万博」ですが、これは僕も若いころに読んで大きな影響を受けた一節で、是非いろいろな人に読んでみてもらいたい文章です。僕の自然観と物理観は、実際ほとんどこの文章に依っています。

2012-09-15 00:40:55
江本伸悟 @shingoemoto

その中に引用されている、中沢新一さんが書いた「新しい地球創造:自然の叡智」と題する文章には以下のような一文が記されています。「二十一世紀に私たち人間が取り戻さなければならないものは、自然と生命との共感にみちた、叡智のふるまいなのです。」

2012-09-15 00:43:47
江本伸悟 @shingoemoto

人間が自然の造形に敬意を持って懸命に写しとろうとしている、その息づかいが生々しく伝わってくる。今なら写真を撮れば済むだろうが、当時は手で描くしか方法がなかった。ひたすら目と手を鍛錬して自然を克明に描きつくそうとしている。そこには自然の創造性を崇拝する真摯なまなざしがある。原研哉

2012-09-15 00:48:45
江本伸悟 @shingoemoto

僕にとって物理というのは、自然を描いていくこと、なぞること、そうすることによってこの自然への愛を深めていくことに他なりませんが、こうした僕の物理観はまさに、先ほどデザインのデザイン7章から引用させていただいた原研哉さんの言葉に、その直接の影響を受けています。

2012-09-15 00:52:44
江本伸悟 @shingoemoto

自然保護の発想はともすると「手つかずの自然」を神聖視しがちであるが、元来は人も自然の一部であり人と交流する森もまた豊かな自然なのだ。むしろ薪炭林としての利用が減り、人為による林床管理が行われなくなった山林は荒廃していくことが指摘されている。原研哉

2012-09-15 00:55:03
江本伸悟 @shingoemoto

この言葉も二十歳のころからの僕の自然観を大きく規定している言葉のひとつです。

2012-09-15 01:02:04
江本伸悟 @shingoemoto

それまではどうしても、自然を保護し整えるという感覚が強かったのですが、この文章にであってからは、自然と共生し共感する作法について考えるようになり、その作法の1つとして、自然を描くことで自然に対する眼差しと愛情を深めていく、物理という営みが僕にとって重要なものとなってきました。

2012-09-15 01:02:55
江本伸悟 @shingoemoto

人為と自然がほどよく作用しあうこのような「里山」には原生自然よりもむしろ豊富な生物の多様性が観察されるという。原研哉

2012-09-15 01:04:04
江本伸悟 @shingoemoto

こうした言葉を受けて、実際に里山復興プロジェクトをしている方に、その実情を伺わせていただいたことがあります。そこでは里山復興プロジェクトにおける二つのケースを教えていただきました。

2012-09-15 01:05:16
江本伸悟 @shingoemoto

1つは失敗例なのですが、住民に里山を保護してもらうような方策を試したケースでした。里山を保護する対象として扱い、住民にその里山の世話をしてもらうという方策では、住民と里山との間に交流がうまく巡らずに、結局うわべだけの世話をされた里山は衰えていったそうです。

2012-09-15 01:07:54
江本伸悟 @shingoemoto

成功したケースは、住民の方々に里山を保護してもらうのではなく、里山を住民や子供達の遊びの場として解放していったケースでした。この場合は、住民と里山との間に深い交流が生まれ、住民に里山を管理しようという意識がなくとも、里山のコンディションが良好に保たれていったとのことでした。

2012-09-15 01:10:31
江本伸悟 @shingoemoto

この原研哉さんの「デザインのデザイン」という本と、甲野先生の推薦書「ハチはなぜ大量死したのか」は、僕が科学者としてこの自然と如何に交流を深めていくかということを考えていく際の原典となっている本ですので、ぜひ多くの方に読んでいただきたいなと思っています。

2012-09-15 01:18:49