行列のn乗の方法が9種類ある… という話 http://t.co/GhmPWOGH http://t.co/TPhcxe1e http://t.co/MPurBk5j http://t.co/QQdmPqvp
2012-09-21 18:35:48この中から、今日は「スペクトル分解」の話をする。かなり回りくどいやり方だが、このやり方を強制させられる問題もそこそこあるので、心してかかるべし。
2012-09-21 18:37:23【スペクトル分解って?】2次の行列Aなら、A=aX+bYというようにして、二項定理でn乗を求める方法。ハミルトンケーリーの定理と、固有値を用いる。 X,Yの条件は、XY=YX=O, X²=X,Y²=Y。
2012-09-21 18:44:17【スペクトル分解って?】このような行列X,Yを「射影子」という。射影子の性質により、二項定理から、 Aⁿ=(aX+bY)ⁿ=aⁿX+bⁿY というように計算できる。
2012-09-21 18:49:32スペクトル分解の問題では、あらかじめ射影子が問題側で与えられている場合が多い。以下では、その射影子の導出法を、行列の例とともに記す。
2012-09-21 18:57:22A=[[-2,2],[2,1]] とする。固有方程式det(A-λE)=0を解くと、固有値λ=2,-3となる。 「射影子は、(A-λE)のスカラー倍である。」 この場合、X=s(A-2E),Y=t(A+3E)とする。s,tはスカラー。
2012-09-21 19:05:30そして、X²=X,Y²=Yから、s,tの値を決定する。 (A-2E)(A+3E)=Oから、 (A-2E)²=(-3-2)(A-2E) , (A+3E)²=(3+2)(A+3E) より、 X= -1/5 (A-2E) , Y=1/5 (A+3E) と求まる。
2012-09-21 19:12:55ここからAⁿを求める。XY=YX=0、X²=X,Y²=Yから、 (-3X+2Y)ⁿ= (-3)ⁿX+2ⁿYとなるので、 Aⁿ= -(-3)/5 (A-2E) + (-2)ⁿ/5 (A-3E) となる。おわり。
2012-09-21 19:24:18正しくは Aⁿ = -(-3)ⁿ/5 (A-2E) + 2ⁿ/5 (A+3E) ですね。修正します。