現代音楽におけるオリジナリティについて

作・編曲家として活躍し、また雑誌の連載講座などで後進の育成にも尽力されている藤巻浩先生の一連ツイートまとめです。 話の前後等追えてない部分について他の方の編集を希望いたします。 まとめるに際し快諾くださいました先生に御礼申し上げます。
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まとめ内で言及のあった書籍

ヒロシマン (藤巻 浩) @macky164

じつは「アレンジ」というものには印税が発生しません。作曲者には印税が発生しますが、編曲者(アレンジャー)には発生しません。契約にもよりますが、これは一般的にあまり知られていないようです。

2012-09-30 12:21:46
ヒロシマン (藤巻 浩) @macky164

つまり「羽ばたけ楽天イーグルス」の印税は定期的に発生するのだけれども、数年前に「幻想水滸伝アレンジ・コレクション」ではいくら売り上げ枚数があったとしても、当方への印税は発生しません。

2012-09-30 12:22:23
ヒロシマン (藤巻 浩) @macky164

作曲者は著作権が持てるけど、編曲者は持てない。すなわち、編曲者の立場とは、作曲者よりも1歩下がった立場と言えるでしょう。

2012-09-30 12:22:50
ヒロシマン (藤巻 浩) @macky164

このように捉えると、作曲者の方が良いように感じられますが、編曲できる能力を育てておけば、よりたくさんの仕事へのチャンスが開かれるのは言うまでもありません。この「白麒麟」のCM音楽は僕がアレンジしていますが、元は小林旭さんの「自動車ショー歌」http://t.co/mmsTBVgP

2012-09-30 12:34:23
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ヒロシマン (藤巻 浩) @macky164

つまり、あるメロディを色んなジャンルへアレンジできるなら、それだけで仕事になってしまう部分もあるわけです。

2012-09-30 14:40:50
ヒロシマン (藤巻 浩) @macky164

っで「アレンジ」というものに、もう少し説明を加えると「コード編曲法」では、チャイコフスキー「弦楽セレナーデ」のメロディを12種類のジャンルにアレンジをしていますね。「○○のような曲を作りたい」「××のように仕上げたい」の○○と××の中にジャンル名が入るのは問題ありませんが→(続)

2012-09-30 14:58:46
ヒロシマン (藤巻 浩) @macky164

アーティスト名が入ってしまうのは問題があります。ジャンル的なアレンジの踏襲というのは大丈夫ですが、特定のアーティストの踏襲というのは、先ほど話した著作権の領域へと踏み込んでしまいます。当方がまだ学生で、音大へ通っていた頃は、色んなジャンルへのアプローチ的な授業はありましたが、

2012-09-30 15:00:20
ヒロシマン (藤巻 浩) @macky164

特定のアーティストを模倣するような授業は一切ありませんでした。つまり、教える側の意識もあるのではないかと、これはやってはダメという「線引き」をきちんとしておかないと、特に若い学生さんたちは誤解してしまわないように願います。つまり商業音楽の世界は「何でもあり」の世界ではないのです。

2012-09-30 15:01:08
ヒロシマン (藤巻 浩) @macky164

同じようなメロディで、同じようなアレンジを施したら、ソックリな曲になるのは当然で、そこを避けるべく「それなら自分はどうしたら良いのか、自分のオリジナリティって何なのか」って考えないとマズいわけです。

2012-09-30 15:02:13
ヒロシマン (藤巻 浩) @macky164

過去に生み出された曲の踏襲ではなく、自分で新しいジャンルを生み出す、自分が新たな流行を生み出す、今まで聴いたことのない音楽を生み出してやるぞ、くらいな「意気込み」を持って、コピーに留まってしまうのはもったいない話ですから、本当に気をつけて欲しい部分です。

2012-09-30 15:03:17
ヒロシマン (藤巻 浩) @macky164

だから拙著「コード編曲法」では著作権の切れたクラッシックのメロディを色んなジャンルへとアレンジしているわけで、その理由は上記の配慮からです。アレンジが似ているのはセーフだけど、アレンジとメロディが似ていたらアウト、くらいに思っていてちょうどイイでしょう。

2012-09-30 15:04:07
ヒロシマン (藤巻 浩) @macky164

このような意識の持ち方が、音楽を生み出す上で非常に重要ではないかと。コードハーモニーでアボイドノートを遠ざけるように、常日頃から危険を遠ざける考え方を身につけておくことが懸命ではないでしょうか。

2012-09-30 15:07:01
ヒロシマン (藤巻 浩) @macky164

ガーッと喋っちゃいましたけど、保育園のお友達がお誕生日なのでケーキを買いに出かけます。。。

2012-09-30 15:13:59
ヒロシマン (藤巻 浩) @macky164

それで昨日の続きですが、バッハの曲を分析して、バッハのような曲を作るのは、著作権切れているし怒られませんが、AKB48の曲を分析して、AKB48のような曲を作るのは、作曲家と秋元康さんに怒られる可能性があります。

2012-10-01 09:33:05
ヒロシマン (藤巻 浩) @macky164

この違いによって「線引き」をしないといけないわけで、模倣を助長する流れには危険が潜んでいます。

2012-10-01 09:33:17
ヒロシマン (藤巻 浩) @macky164

特に、同時代に生きている売れている人の模倣と言う発想が最も危険であり、そんなことやっても自分のためにはなりません。音楽家として、自分自身のオリジナリティの追求とは真逆の方向へ進んでいるわけですから。このように難しい問題をはらんでいるため、当方はクラッシックを用いて解説するのです。

2012-10-01 09:44:18
@i3kenta

@macky164 学校や教則本側が作曲を教える場でそういった曲を取り上げると、作曲の過程でそれらを参考にするのが当たり前の事だと思う様になってしまう危険がある、と言う事でしょうか。

2012-10-01 10:06:04
@i3kenta

@macky164 自分も仕事やプライベートで物を作る事があるのですが、やはり、凄いと思った人、作品の影響はどうしても受けてしまう様に感じます。ただ、商業の世界ではそれではただでは済まないのですよね。外部からの刺激も必要だと思うので、線引きが難しそうです。。

2012-10-01 10:09:20
ヒロシマン (藤巻 浩) @macky164

そうですね、コレはやってもいいけど、コレはNGみたいな「線引き」はしっかり習慣づけておかないと、マズいと思うのです。@i3kenta 学校や教則本側が作曲を教える場でそういった曲を取り上げると、作曲の過程でそれらを参考にするのが当たり前の事だと思う様になってしまう危険がある、と

2012-10-01 10:09:27
ヒロシマン (藤巻 浩) @macky164

@i3kenta 好きなアーティストを分析するのはリスペクトからの心の中での作業ですから問題ありませんが、○○さんっぽい曲を作ろう、みたいな流れは著作権で問題となる可能性が高いです。デザインの世界でも、大きな○の上に小さい○を左右に1つずつ並べたら、ミッキーに怒られるでしょう。

2012-10-01 10:19:17
@i3kenta

@macky164 確かに、○○に個人名が入ると、何と言うか楽しようとしているズルい感じが強くなりますね(笑)お話を伺っていると、作品に確固たる「自分」がある人であれば、そういった危険も冒しにくそうだなと思いました。勉強の過程はその「自分」を探す過程でもある様に感じます。

2012-10-01 10:25:21
ヒロシマン (藤巻 浩) @macky164

@i3kenta そのとおりと思います。リスペクトがあって、本当に好きなものは自分の作品にも「にじみ」出てしまいますよね。それは既に自分自身のオリジナリティの1つであるでしょう。ただ、若い人が、何でもマネしちゃってOKであると誤解したらいけないのではないかと老婆心からの呟きです。

2012-10-01 10:30:59