タイバニSSまとめの長いやつ

苗床とジェイク様関係と琉夏関係が入ってます。
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クリスマスあたりのジェイク様と虎徹さん

微糖 @cEzE_LYAarhou

[─火の手が上がった。ポートレスタワーの最上階付近が、見る間に炎に包まれていく。一部リーグのヒーローたちが招集されて次々と現場へ駆けつける中、二部の面々は避難してきた人々を誘導するために待機命令を受けていた。しかし、それで黙っていられないのがワイルドタイガーである。]

2011-12-26 16:22:50
微糖 @cEzE_LYAarhou

[「虎徹さん、命令が出るまで待ったほうが」「ンなモン待ってられるか!行くぞバニー!」制止するバディの声を無視して、彼は地を蹴った。能力が衰えたとはいえ身のこなしは一流のヒーローだ。手元のワイヤーを駆使し、あっという間にタワーの最上階へと身を躍らせる。]

2011-12-26 16:25:15
微糖 @cEzE_LYAarhou

[耐火性のスーツを今ほど頼もしいと思ったことはない。窓を割って押し入ると、出火したらしき場所は一段と炎の勢いが強く、熱い魔の手に焼かれた人々の肢体がところどころに転がって見える。虎徹は歯ぎしりをした後に、瓦礫を持ち上げて人の姿を探した。まずは人命救助が最優先だ。]

2011-12-26 16:28:53
微糖 @cEzE_LYAarhou

[ふと、視界の端でかすかに動く人影をみつけた。慌てて駆け寄った先には、瓦礫に身体を挟まれ身動きの取れなくなった男がいた。燃え盛る炎の熱気に充てられ、頼りなげに呻いている。「今助ける!」虎徹は咄嗟に身を翻し、男のすぐ傍まで駆けつけた。]

2011-12-26 16:32:38
微糖 @cEzE_LYAarhou

[背後から鋭く響いた声に虎徹は思わず動きを止める。どこかで聞き覚えのある響きだ。しかも、ぶよぶよと妙な不快感を掻きたてる声だ。辺りを用心しながら、ゆっくりと振り向くと、そこには。]

2011-12-26 16:38:19
微糖 @cEzE_LYAarhou

[真っ黒いスーツに黒いネクタイ、黒い髪に黒い目。その愉快そうな瞳と、笑みの形に歪められた熱い唇には覚えがある。トランプ柄の洒落たシルクハットを、虎徹は以前にも見たことがあった。]

2011-12-26 16:43:04
微糖 @cEzE_LYAarhou

[「ジェイク・マルチネス?」この場にいるはずのない人物の名を己の唇が紡ぐ。轟々と勢いを増す炎の中、男はポケットに両手を突っ込んだまま涼しげな顔をしてこちらを見ている。「おまえ、死んだんじゃ」「アン? まぁ、そうとも言うな」茫然とした問いには何とも適当な答えが返ってきた。]

2011-12-26 16:48:06
微糖 @cEzE_LYAarhou

[男は軽い足取りで虎徹の横を通り過ぎると、瓦礫に潰されて呻く被害者のもとへ跪いた。そこで弾かれたように虎徹も片膝をつく。「今助け、」「手ェ出すなっつったろ」虎徹の言葉をジェイクが遮った。思わず頭に血が上り、言葉より先に拳が出る。ジェイクはそれを軽くかわして。]

2011-12-26 16:53:00
微糖 @cEzE_LYAarhou

[「コイツは元々、半年前の交通事故で死ぬはずだった男だ。くたばる様を一緒に見てようぜぇ?」「…なんで…おまえが、そんなこと」あくまで楽しげな口調に、恐れと不快感が入り混じった声が口を衝いて出る。気がついて見下ろせば、眼下の男は既に息をしていなかった。]

2011-12-26 16:59:13
微糖 @cEzE_LYAarhou

[助けられなかったと嘆く虎徹の横でジェイクが動いた。死んだ男の胸の辺りに派手な手袋の嵌まった手をかざす。すると男の胸元がぼうっと光り、やがてゆっくりと光の球が浮きあがってきた。「…それは?」「何だろうなァ?」ジェイクは嗤う。男の胸元から現れた球は、あまりに暖かい光を放っている。]

2011-12-26 17:04:51
微糖 @cEzE_LYAarhou

[ジェイクは現れた光の球を無造作に掴み、ポケットへ突っ込んで。──次の瞬間、目映いばかりに光る純白の翼を、両の肩からめいっぱいに広げていた。]

2011-12-26 17:08:45
微糖 @cEzE_LYAarhou

[「年末は魂の数の帳尻合わせに天界のお偉いサン達も必死なんだと。んで、人手が足りねェとか何とかでこの優秀な俺サマが駆り出されたって話だ」茫然と見つめる虎徹にジェイクは流暢な口調で説明する。「今年死ぬはずだったヤツをしっかり死なせて、魂を回収してこいってワケよ」]

2011-12-26 17:12:10
微糖 @cEzE_LYAarhou

[「…おまえが、天国に行けたなんてな」「ハハハハハッ! 俺サマの力はどこへ行っても必要らしいなァ!」高らかに笑い声をあげたジェイクは部屋を横切り、割れた窓へと足を掛ける。「んじゃ、ノルマもこなしたんで上へ戻るぜ。テメェも燃えちまわねェうちに帰れよ」]

2011-12-26 17:19:09
微糖 @cEzE_LYAarhou

[慌てて窓際へ駆け寄った虎徹に、今や宙へと浮いたジェイクがにやりと笑いかけた。片手で遥か地上を指す。「下でまだ死ぬ運命じゃねェやつがケガしてるぜ。行けよ、クソヒーロー」その台詞を聞くや否や、虎徹は地を蹴って窓の外へと飛び出した。]

2011-12-26 17:22:33
微糖 @cEzE_LYAarhou

[「虎徹さん!」地上に戻り、相棒を追って傷ついた人々を安全な場所へ避難させる。一通り現場が落ち着いたところでようやく一息つくことができた。「虎徹さん、上に人はいましたか?」バニーが尋ねてくる。虎徹はしばし考え込んだ後、深く溜息をついて。「…助けられるやつは、一人もいなかったよ」]

2011-12-26 17:29:09
微糖 @cEzE_LYAarhou

[全く、死んだ後にまで自分たちヒーローの邪魔をするような役回りを買って出ているのか。先程の楽しそうな高笑いがふと脳裏によみがえり、虎徹はようやく火の消えたポートレスタワーに向かってもう一度溜息をついた。(ジェイクと虎徹・年の瀬のある日)]

2011-12-26 17:31:20
微糖 @cEzE_LYAarhou

[─やり直し、と書類を突き返す上司の手から渋々薄っぺらい紙切れを受け取る。手を伸ばした瞬間、指先が男の掌に触れた。「ロイズさん、手ェ冷たいんスね」思わず目を見開くと上司はしかめっ面を崩すこともなく。「冷え性なんだよ」何気なく呟かれた台詞に、無意識に脳が昨夜の記憶を遡って。→]

2012-02-12 00:14:38
微糖 @cEzE_LYAarhou

[頬に這わされる指先。唇をなぞった後に、ゆっくりと胸元へ降りてくる。浮き出た鎖骨から、その下で震えるピンク色の突起へと。無意識に唾を呑む。(でもこの人の手はいつも)不可解に思い顔を上げると目が合う。男の手がいつも熱かった理由に思い当ったとき、虎徹は思わず赤面していた。(ロイ虎)]

2012-02-12 00:18:13

志方あきこ「シャラノワールの森」より苗床ネタ

微糖 @cEzE_LYAarhou

[─花を吐く男と、男に恋をした青年の話。]

2012-03-05 15:31:07
微糖 @cEzE_LYAarhou

[朝露射し込む深い森の奥。鬱蒼とした緑に囲まれて、唇から花を吐き出し、鮮やかに森を彩る男がいました。]

2012-03-05 15:34:19
微糖 @cEzE_LYAarhou

[男は近くの村に住む人間の女性と結ばれ、自らを包み込む深い森の中。色とりどりの花を吐き出して妻を楽しませながら、何不自由なく暮らしていました。]

2012-03-05 15:37:15
微糖 @cEzE_LYAarhou

[何年経っても、何十年経っても、男の妻が変わらず美しい姿を見せ続けていることから、やがて男の吐く花は不老不死をもたらす秘薬と呼ばれ、村の皆は男を花神として崇めました。深い森の奥深くへ、花を求めて訪れる村人が後を絶たなくなりました。]

2012-03-05 15:40:13
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