八重代かりす「中二病」文化の社会との関わりと変遷

八重代かりすさんが、『中二病でも恋がしたい!』『AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~』を通じて、「中二病」文化の変遷や現実社会との関わりなどについて語りました。 リストのタイトル間違ってる気がする…。
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八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 今さらですが、「中二病でも恋がしたい!」を視聴中です。うむ。さすが京アニという出来。超面白い。ただどうしても『AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~』を髣髴としてしまうなあ。あれも超面白かったからなあ。→ http://t.co/oT7qlV50 #chu2koi

2012-10-19 17:56:24
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 なお、無理矢理見出した『AURA』の短所は主人公に感情移入できない点――と、この際、それを題材に某サイトに投稿したエッセイを修正連続投下する。最近三流経済ネタ続きな上、ここ数日はツイッター離れもしてたし。ラノベ分補充である。以前読んだ事のあるフォロワ―の皆さんは流して欲しい。

2012-10-19 17:58:41
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 あ、あとこれから『AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~(ISBN-13: 978-4094510805)』を読まれる方は注意。微妙にネタバレします(でも、『AURA』は凄い面白いので、お薦めです)。

2012-10-19 17:59:55
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 80年代、日本では異世界ファンタジーが流行っていた。主人公たちは選ばれた勇者だったり、伝説の戦士だったりして、消費者はそこに己を投影していた。言わば、『凡愚ではない俺カッコイイ!』という文化だった。

2012-10-19 18:00:17
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 が、人間とは常に過去の文化を否定したがるものである。

2012-10-19 18:00:34
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 90年代、反動で『異世界に憧れるやつなんざ、現実逃避に耽っている駄目人間なのさ』という意見が頻出した。あの神坂一も『闇の宿命を背負うもの〈エピソード2〉』で、この意見を取り扱っている。言わば、『凡愚ではない俺カッコイイという凡愚ではない俺カッコイイ!』という文化だった。

2012-10-19 18:01:42
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 が、人間とは常に過去の文化を否定したがるものである。  

2012-10-19 18:03:18
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 ご存じの通り、私は神坂一が大好きだ。神坂一を入り口とし、ライトノベルというものを知った。逆に言えば、80年代を経由せず、初めから90年代の文化に触れたのだった。故に私は『凡愚ではない俺カッコイイという凡愚ではない俺カッコイイという凡愚ではない俺カッコイイ!』という位置にいる。

2012-10-19 18:03:48
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 さて、『AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~(ISBN-13: 978-4094510805)』というライトノベルがある。ややオタク向けではあるものの、秀作であり、私は何度も読み直した。作者の力量に嫉妬した。それだけに気になる個所も出てくる。というか、無理矢理あらを探した。

2012-10-19 18:04:58
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 主人公《佐藤》は基本的には平凡な高校生なのだが、中学時代はそうではなかった。作中用語でいう『戦士症候群』、今でいう『中二病』――その極めて深刻な段階に達していたのだ。

2012-10-19 18:05:24
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 表題にある『魔竜院光牙』とは彼が自分に付けた真名(笑)というべきもので、これをおおっぴらにしていたものだから、さあ、大変。学校では酷いイジメにあい、家庭も崩壊……そんな悪夢のような三年間を過ごした後、高校では心機一転、過去の自分と訣別し、普通の高校生として過ごそうとする。

2012-10-19 18:05:40
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 ところが、その高校で出会った少女は『自分は異世界から来た魔女だ』と主張するかつての主人公のような重傷患者だった。それどころか、担任教師の思惑で宇宙刑事やら退魔剣士やらの重傷患者ばかりが主人公の周りに集められる。

2012-10-19 18:06:09
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 主人公は勘弁してくれという状態だ。これらの描写はコメディでもあるが、主人公の内心は嫌よ嫌よも好きのうち――とは一線を画している。作中では「これはツンデレではない」と断言されている。容姿においては美少女であるヒロインですらも主人公は明確に嫌悪している。

2012-10-19 18:06:21
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 作中で「『普通』でいるのは難しい」と主人公は何度か吐露している。口外する時もあれば、しない時もある。だが、『普通』であり続けるためには大変な努力を必要とするのだという認識は一貫している。

2012-10-19 18:06:31
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 私もまったく同感である。普通であるというのは、簡単なことではない。実際、作中の主人公は、右に気を使い、左に気を使い、一生懸命頑張って『普通』になろうと努力している。

2012-10-19 18:06:45
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 だから、その努力を嘲笑うかのように「自分は特別だ」という幼稚な自意識を隠そうともしない連中を主人公は嫌悪しているのだ。これもわからないでもない。ところが、その後に来るべき主人公の心理というのがよくわからない。

2012-10-19 18:06:56
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 その奇妙な感情をあえて言語化すれば『普通でいるために頑張っている俺カッコイイ!』である。これがわからない。そこは『普通でいるために頑張っている俺ガッポガッポ!』ではないのか?

2012-10-19 18:07:45
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 以下、だらだらとオタクっぽい事を書いていく――と、某サイトに投下した時は、GDPとか収穫逓減とか最適機構を話したのだが、今回は『AURA』と『中二病でも恋がしたい!』に話を絞る。

2012-10-19 18:08:01
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 人間が努力するのは幸福になるためだ。そして、努力しても幸福になれないのなら、当然努力の方向性を疑うべきだ(勿論、その上で同じ努力を継続するという結論に至る事もある)。『普通になる』努力もその一つだ。故に『普通でいるために頑張っている俺ガッポガッポ!』であるべきだ。

2012-10-19 18:08:14
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 繰り返すが、『AURA』の主人公は普通になるために努力をしていた。それこそ、あんな努力をしているなら、素敵な美少女にモテモテになってしかるべきだと思った。ところが、現実には相変わらず、スクールカースト低めで、電波ヒロインにまとわりつかれる。その努力は正しいのか?――首を捻った。

2012-10-19 18:08:56
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 別に『戦士症候群』に戻る必要はないが、『普通になる』努力に多大なリソースをつぎ込むのは不毛ではないのか? 『普通になる』努力そのものが楽しいとか、『普通になる』努力が大したことないとかなら話は別だが、主人公の場合はそのリソースは他に回すべきでは?――とひっかかったのだ。

2012-10-19 18:09:15
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 以上が『AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~(ISBN-13: 978-4094510805)』の数少ない瑕疵だった。いや、本当に『AURA』は秀作だったのだ。だからこそ、わずかに気になる点をここまでつらつら書いたと言える。

2012-10-19 18:09:30
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 さて「中二病でも恋がしたい!」はどういう結末を迎えるのか? 一つはっきりしているのは、スタッフコメントにあるように、この物語は大人向けだろうという事だ。実際、主人公の「闇の炎に抱かれて眠れ」という第一話終盤の台詞は、実に大人びて見えた。ならば、魔竜院光牙とは別の結末を期待する。

2012-10-19 18:10:01
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 二日前の連続ツイートだが、あの内容をブログに書いて、ブログの内容をツイートすればよかったかもと今さら後悔。でも、それを繰り返すと、ブログ閲覧者の検索ワードが「中二病でも恋がしたい!」等ばかりになるんだよなあ。今でもアクセス解析すると、岸田メル先生の画像検索で来る人多数なのに

2012-10-21 12:14:07