後進国から中進国、中進国から先進国への経済成長についての考察

中進国になって久しい韓国が先進国になることなく低成長を迎えようとしていることに端を発する考察。
1
長野テル @naganoteru

「政界は韓国経済が以前とは違う構造的な危機状況にあるという事実を直視し、非常な覚悟でこれを克服するビジョンを出す必要がある」。韓国中央日報「【社説】“低成長の沼”に落ちた韓国経済」より http://t.co/MMzlnzqL

2012-10-28 00:35:25
長野テル @naganoteru

「任期末の政府は低成長の流れを変えるほどの政策に踏み切る能力を失い、次期政府を率いる大統領候補は新しい成長動力を見いだすよりも、むしろ成長潜在力を落とすような公約ばかり競争的に出している」。同記事。

2012-10-28 00:36:16
長野テル @naganoteru

要約すると、「これまで大企業有利な政策によって経済成長をしてきた韓国が構造的な低成長時代に入るこのタイミングで、次期大統領候補たちは、大企業有利な政策の見直しばかりを喧伝している。新政権は、国民受けのいい反大企業的な政策を取ってはならない」ということ。

2012-10-28 00:38:46
長野テル @naganoteru

けれど、この社説は、韓国経済の本当の「構造的課題」を理解していない。なぜなら、韓国が1人当たりGDPで日本の半分にすぎないにもかかわらず、低成長の局面に入った本当の理由は、韓国経済がなんら付加価値を創出していないことにあるからである。

2012-10-28 00:42:30
長野テル @naganoteru

後進国から中進国への移行は、工業化さえすれば比較的簡単に実現できる。後進国と先進国の間には、十分すぎるほどの人件費格差があるため、「同じ」製品をよりやすく作り、輸出することで、利益を稼ぐことができるからである。

2012-10-28 00:44:46
長野テル @naganoteru

ところが、中進国から先進国への移行はそう簡単ではない。1人当たりGDPの上昇とともに人件費が上昇することで、価格優位性が失われるからである。「同じ」製品である限り、輸送費や関税などの輸出コスト分だけ、輸入国で製造するよりも安く製造しなければ、輸入国でその製品が買われることはない。

2012-10-28 00:48:36
長野テル @naganoteru

先進国が作るものと「同じ」製品を作っている限り、先進国よりも安い人件費に抑え込み続けるか、人件費の上昇によって成長スピードを抑制するかしかない。韓国人が日本人の半分の所得のまま、低成長のサイクルに突入しつつあるのは、彼らがただ「同じ」製品を作っているからにほかならない。

2012-10-28 00:51:22
長野テル @naganoteru

日本は、幸いにして中進国から先進国になることができたわけだが、それは、日本が付加価値を創出したからにほかならない。単に「同じ」ものではなく、先進国すら創り出せていないものを創らない限り、中心国が先進国になることはできない。

2012-10-28 00:58:02
長野テル @naganoteru

80年代には、日本車の内装的装備が過剰であるという批判が、日本国内にあった。いわく、日本車よりも「進んでいるはず」の外車の内装は至ってシンプルである、と。いまや、その外車に、当時の日本車が装備していた機能が装備されるようになっている。日本車は、当時すでに「進んでいた」のである。

2012-10-28 01:02:32
長野テル @naganoteru

世界に先駆けてポータブル音楽デバイスを開発したのも日本人だし、ビデオゲーム機を開発したのも日本人である。中進国であった日本は、先進国と「同じではない」ものを創ることによって、先進国水準の所得を得ることができるようになったのである。

2012-10-28 01:07:49
長野テル @naganoteru

先進国と「同じ」ものを作ることを仮にイミテーションと呼ぶとすれば、後進国から中進国へはイミテーションで成長することができるが、中進国から先進国へはイノベーションが不可欠。韓国は、日本に倣おうとする姿勢が顕著だけれど、日本と違うことをしない限り、韓国にはこれ以上の成長はないと思う。

2012-10-28 01:14:35
長野テル @naganoteru

アジアの新興国は、日本の経済成長の源を文明開化や西洋化に見出しているのだけど、それは、ものごとの本質を見誤らせていると思う。日本が今の地位を築くことができたのは、欧米を「真似た」からではなく、欧米とは「異なる」ことをしたからだから。

2012-10-28 01:21:24
長野テル @naganoteru

ちなみに、ぼくは、イノベーションをクリエイティブとプログレッシブに分けて考えています。クリエイティブとは、V1.0をV2.0にするイノベーションで、プログレッシブはV1.0をV1.1にするイノベーション。言うまでもなくクリエイティブは意味の系、プログレッシブは論理の系に属します。

2012-10-28 01:25:44
長野テル @naganoteru

日本人は、プログレッシブにむちゃくちゃ長けた民族だと思う。トヨタのカイゼンしかり、茶道や華道の発展しかり、日本料理の洗練プロセスしかり、コンビニでの新商品競争しかり、日本人は、とにかくあらゆるものを磨きに磨く。こんな国民性、ほかの民族には見当たらない。

2012-10-28 01:28:58
長野テル @naganoteru

対するアメリカは、クリエイティブに長けた社会。もっとも、アメリカに限らず、欧米は全般的にクリエイティブ。日本もそうだけど、クリエイティブであるためには、大前提として豊かさが必要なので、中進国がクリエイティブなイノベーションで先進国入りするのは、実は簡単ではない。

2012-10-28 01:30:48
長野テル @naganoteru

「クリエイティブであるためには豊かでなければならない」という点については、過去、韓流とバンド文化を例にとって語っております。http://t.co/P6bmlf8z

2012-10-28 01:39:22