アブストメモ(2012年8・9月)

2012年8月・9月に読んだ心理学系論文アブストなどなどのまとめです(ここに載せても怒られなさそうな人のツイートも含めました)。 オレンジは個人的ヒット,ピンクは自分の研究に関連しそうなもの,紺色は授業で使えそうなもの。
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Yuuko Morimoto @myuuko

α = .33の尺度など、使用は許さーん!

2012-08-01 17:11:06
Yuuko Morimoto @myuuko

高卒以下の父親ではテストステロンと子どもの数に正の、大卒以上の父親では負の相関があるよという研究。なにやらややこしい。/ Testosterone levels correlate with the number of children… http://t.co/n8qEL4zd

2012-08-09 21:44:02
Yuuko Morimoto @myuuko

さて、必読と言われた Whelan et al. 2012 Nat Neuro を読む。衝動性は多元的だよという論文。ドラッグ使用とADHDでは脳の異なるネットワークが関連することを、14歳の大規模サンプルで示しているようだ。 http://t.co/pipc6OuE

2012-08-23 15:48:43
Yuuko Morimoto @myuuko

衝動的・リスキーな行動は、発達上普通のことで、哺乳類では共通して見られる。おそらく、依存状態から独立状態へと移行するのに必要なスキルを獲得するための淘汰圧の結果だろう。ただ、その結果、望ましくない帰結をもたらすことがある。 Whelan et al. 2012

2012-08-23 15:54:03
Yuuko Morimoto @myuuko

実際、思春期は、ドラッグ使用率や死亡率が高い。こうした衝動的・リスキーな行動は、脳部位と密接にかかわっていることが分かっている。つまり、衝動性コントロールにかかわる脳機能について明らかにすることは、思春期の公衆衛生上重要である。 Whelan et al. 2012

2012-08-23 15:56:32
Yuuko Morimoto @myuuko

衝動性をはかるとき、ストップシグナル課題(Go-Nogo 課題)がよく使われる。実際、ADHDの人、コカイン使用者、アル中患者では課題成績が悪い。関連部位は右下前頭回と大脳基底核と言われているが、細かいところはまだよくわかっていない。 Whelan et al. 2012

2012-08-23 16:07:07
Yuuko Morimoto @myuuko

思春期の脳、特に前頭葉はまだ成熟途中ではあるが、抑制課題では大人参加者よりも思春期参加者の方が高いレベルの活動が見られ、必ずしも思春期の方が衝動コントロールネットワークが劣っているとは言えない。 Whelan et al. 2012

2012-08-23 16:09:32
Yuuko Morimoto @myuuko

衝動性は、待つことの困難、ネガティヴな結果への無関心、破壊性を含む多元的な構成概念である。それぞれの側面は高い確率で共起するが、完全ではない。よって、衝動性の認知的・臨床的・行動的要素には、それぞれ異なる脳部位がかかわることが示唆される。 Whelan et al. 2012

2012-08-23 16:23:50
Yuuko Morimoto @myuuko

本研究では、初期思春期の抑制コントロールに係る脳ネットワークを特定する。さらに、ストップシグナル課題、ADHD、薬物使用、遺伝的性質における個人差が、どの程度それらのネットワークと関連するかも検討する。特にADHDと薬物使用の違いを見たい。 Whelan et al. 2012

2012-08-23 16:27:49
Yuuko Morimoto @myuuko

ストップシグナル課題中のデータを因子分析してみたら、課題成功にかかわる7つのネットワークと、課題失敗にかかわる6つのネットワークが検出された。皮質下、前頭、頭頂、運動ネットワークが分かれているので、解剖学的に妥当であろう。 Whelan et al. 2012/ここで因子分析!

2012-08-23 16:32:43
Yuuko Morimoto @myuuko

重回帰法を使って計算した因子得点を、因子負荷に応じて参加者ごとのROI得点で重みづけしたところ、因子間の相関の平均は低かった。つまりそれぞれの脳ネットワークは独立であると考えられる。 Whelan et al. 2012/やばい、統計と脳のダブルパンチであやふや度MAX。

2012-08-23 16:38:26
Yuuko Morimoto @myuuko

ストップシグナル課題成績上位群と下位群では、失敗時の両側前頭ネットワーク、成功時の右前頭ネットワーク、大脳基底核ネットワークが異なる。また、成績上位群の方が脳賦活が高い。(ここからしばらく先行研究との比較などなど) Whelan et al. 2012

2012-08-23 16:46:26
Yuuko Morimoto @myuuko

前述の通り、思春期の衝動性は薬物使用とかかわっている可能性が高い。薬物使用者と非使用者を比較(ADHD症状得点を共変量に)すると、使用者では課題成功時の眼窩ネットワークの活動が低い。アルコール、タバコ、不法薬物でももう少し詳しく分析(省略)。 Whelan et al. 2012

2012-08-23 16:52:34
Yuuko Morimoto @myuuko

いろいろまとめると、眼窩ネットワークの抑制がアルコール使用の潜在的リスクファクターっぽい。右前頭ネットワークは不法薬物の使用およびその重症度と関連している。 Whelan et al. 2012

2012-08-23 16:57:10
Yuuko Morimoto @myuuko

ではADHDではどうか。ADHD症状はタバコ・不法薬物使用と関連していたので、共変量として除外した。症状あり群と統制群で、ストップシグナル課題成績に差はなかった。課題成功試行でも賦活に差はなかった。ただし、課題失敗試行では差が見られた。 Whelan et al. 2012

2012-08-23 17:11:15
Yuuko Morimoto @myuuko

ADHD症状あり群は、課題失敗時の両側前頭ネットワーク、大脳基底核ネットワークで活動が低下。これは臨床群のADHD患者を対象にした研究と一致。さらに、課題失敗時でのみ差があるという結果から、障害の要素として遂行モニタリングの困難が示唆される。 Whelan et al. 2012

2012-08-23 17:17:06
Yuuko Morimoto @myuuko

続いて遺伝の話。先行研究によれば、薬物依存の人およびそのきょうだい(依存なし)は、健康な参加者にくらべてストップシグナル課題の成績が低い(つまり遺伝の影響がある)。ノルエピネフリンとドパミンが抑制コントロールに重要だと示されている。 Whelan et al. 2012

2012-08-23 17:24:42
Yuuko Morimoto @myuuko

本研究では、ノルエピネフリントランスポーターをコードする遺伝子のrs36024というSNPが、課題成功時の右前頭ネットワークの活動とかかわっていることを発見した。同じ遺伝子の別SNP群も同様の関連をみせている。 Whelan et al. 2012/遺伝子超あやふや!

2012-08-23 17:29:14
Yuuko Morimoto @myuuko

まとめ。行動指標では同じように見えても、脳活動によって異なる衝動性フェノタイプに分けることができる。ADHDと薬物使用では異なる脳内ネットワークが関連している。(このあといろいろ細かいディスカッションがあって、終わり!) Whelan et al. 2012

2012-08-23 17:42:35
Yuuko Morimoto @myuuko

.@itokimio 見ていただいてありがとうございます。詳しくない分野ということもあって、実はさっきミスに気付いたので(課題成功試行ではなく、ストップ成功試行が正解でした)、ちょっと割り引いて読んでいただけると幸いです(笑)

2012-08-23 17:49:46
Yuuko Morimoto @myuuko

@itokimio 実をいうとほとんど論文そのままなのです!とまれ、最近は専門とは違う分野の文献に触れる機会が増えて、勉強不足を痛感しています。せっかくなので、どんどん吸収したいものです。

2012-08-23 18:04:39
Yuuko Morimoto @myuuko

King-Casas et al. 2008 Sci ボーダーライン障害(BPD)の人を繰り返し信頼ゲームの分配役にすると,後半ラウンドでは預託される金額が下がる。相手からの信頼を失いオファーが小さくなったときに,信頼を回復しようとする(多く分配する)行動がBPDでは見られない。

2012-08-27 16:31:32
Yuuko Morimoto @myuuko

King-Casas et al. 2008 相手からのオファーが小さくなったことへの反応が鈍いのでは?と予測を立てて調べてみると,大当たり。健常参加者では相手からのオファー額と両側前島の活動がきれいに負の相関。BPDでは相関なし。

2012-08-27 16:32:06
Yuuko Morimoto @myuuko

King-Casas et al. 2008 一方,先行研究をもとに分配時の脳活動を見てみると,両群ともに分配額と両側前島の活動に負の相関。ということから,おそらくBPDでは相手からの低額オファーを社会的規範からの逸脱だと認知しない(元々信頼が低いから)のだろうと推測される。

2012-08-27 16:32:38
Yuuko Morimoto @myuuko

最後通牒ゲームで,平等な立場の参加者は平等なオファーをする傾向にあるけど,力のある参加者はたくさんの分配を要求する (Burnham 2007; Zak et al. 2009)。テストステロンの話みたいだけど,タイトル見るに,前者はリジェクト増加,後者は分配減少の研究かな?

2012-08-27 16:52:56