【デデ受】ある日起きたら誰もいなかった。城外を探しても誰もおらず、本当に自分しかいないことを悟った。一人の日々、とうとう幻が見え始めた。黒い影のような幻は日に日に形を成していく。自分は近い内に孤独に耐えかねてその影に縋りつくだろう。その影がこの悪夢を見せていると薄々感じつつ。
2011-09-27 00:45:41ヨッカさん:綺麗に飾られたお人形。口も利かず身動きもとらないが、椅子に座り日の当たる暖かいばしょでひがな一日思考する事に全てを費やしているだけで本当は動くし喋る。今は持主の男性に手入れをして貰ってるが、考えに満足がいったら男性をあっさり切り捨て彼女は自分の出した答えを歩く。
2011-10-04 01:00:40剣や魔法の世界の片隅に存在するクソ田舎に招致されたダンジョン作家が、村の発展のため「ダンジョン」を作り始めるがその為に森に住む滅茶苦茶弱いモンスターを1から育てたり、サクラ役の少年勇者や魔法使いを教育するんだけどどいつもこいつも我儘ばかりで苦悩するが……っていう話を書いてみたい。
2011-10-21 22:58:17「紙魚は紙を食べるから紙魚なんだよね」子が、狩りについてきた。「紙が発明されるまで、紙魚は何を食べてたの」 父は答えず獲物に棍棒を叩きつけた。 「紙がない頃、紙魚は何だったの」 無言で肉を取る父は、子の続く質問を恐れている。私たち人食い鬼は、人がいない頃何を食べてたの何だったの。
2011-12-01 20:54:41およそ三万年前の地層から発掘されたという古い懐中時計を、古物商は自慢気に私に見せて言った。今は止まってますがね、この発条を捲くと、一時間だけ針が動きます。つまりね、三万年前に滅んでしまったあの文明が、一時間だけ蘇るのですよ。 #twnovel
2011-12-21 07:32:21一つの言葉が二つに分かれ、四つになり、そのように繰り返し分化し構造化し差異の体系を形成し、心臓と脳と眼球と脊髄を発生させ、分類学的分岐が進行し、広がり蠕動し波打ち悶え雄叫び、やがて天使のものと悪魔のものの混淆である第三の語群たちが現れ──最初の言葉は今ではもう忘れられた。
2011-12-23 21:18:12すばらしいわ、あなたの額を飾るそれ。あの方の胸の銀の花にも勝るとも劣らない。それに比べて私の首飾りなんて……、チープで恥ずかしいの、ありがちな荒縄だし。首吊りなんて手軽な方法に頼ったのが間違いね。次があるなら、ナイフで胸を突いたあの方や、拳銃で額を撃ち抜いたあなたを参考にするわ。
2011-12-30 21:29:34#twnovel 「海が綺麗だね」と教授。「わん」と犬。「空も綺麗だね」「わん」「空と海しか見えないね」「わん」「ボートにもっと食料を積んでおくべきだったね」「わん」「救助が来るといいね」「わん」「思うんだが、私が君を食べたら一生後悔するけど、逆なら良くないかね」犬は答えない。
2012-01-10 19:28:55ゾンビが主食のゾンビハンターがいて、ゾンビを食わないと死ぬ。でもこんなクソ不味いもんを食わないと生けていけない人生ってどうなの…?と思いあまって自殺。したのはいいもののゾンビとして復活、激しい飢餓感に苦しみながらも生きた人間の肉を食える第二の人生に満足したのであった。
2012-01-18 18:56:21主とともに死ねなかった影が危険なのは、それが悪意を持っているからではない。はぐれ影はむしろ人を慕う。人と動きたいのだ。だが、それに憑かれた者は奇妙な踊りを始める。はぐれ影と本来の影が争うためだ。意に沿わぬダンスの末に窓から飛んだり車にひかれたりする者も多い。はぐれ影には用心しろ。
2012-01-20 20:28:28巷で話題の怪奇小説。この独特の世界観は何をヒントに? と問う者もあるが、作者は苦笑するだけだ。奴は答えを知らぬ。もっと読者がほしい私は触腕を伸ばして彼に新たな物語を提供した。奴のおかげで私は多くの者の想像界に足場を築けた――あと少しで現実界にも踏み出せる。そうすれば奴も用済みだ。
2012-02-01 20:35:55息はさいごに吸われて終わる。この世に吐き戻されない。ということは、引きとられた息こそが、肉体を喪う魂にとっての、新たな容れ物を作る材料として使われるのだろう。さいごの息から作られた容器は、どんな形にも色にも馴染むように調整され、魂を入れたあと、この世とあの世の境に紛れ込むのだ。
2012-02-24 07:34:40吸血鬼と餌として飼われてる少女の話で、少女が生理の時「勿体無い!!」って言って太ももから垂れる血を吸血鬼がペロペロする話とか前どうよと思ったけど改めて考えると吸血鬼がケチ臭すぎて威厳もあったもんじゃなかった
2012-03-05 00:35:28アルマンディンは今まで二人の子供を産んでいる。一人は人間の男と、もう一人は人間ではない男との間の子だ。しかし二人とも捨て置いて来た。なぜなら二人とも男の子だからで、そしてアルマンディンの胎からは男しか産まれないのだ。
2012-03-14 19:13:13子供の掌におさまるくらいの大きさの青い宝石。所有者は幸運に恵まれるが、この宝石を所持したまま他の宝石を愛でると、所有者は破滅する。 RT @hasu77: 心変わりのスファリア #架空の名前を呟くと誰かが素敵な設定をつけてくれるタグ
2012-03-20 01:17:12「君も例の病気か」 「ああ。背中にしこりができて大きくなる。摘出すれば治るけど、再発率も高い」 「な、最近話題の宝石を知ってるか。産地は謎に包まれた魅惑の石」 「ん?」 「病気が出始めた頃からあの宝石も出てきた。……真珠ってさ、貝の中に芯を入れて作らせるんだよな?」 「んんん?」
2012-03-22 20:58:29樵の作業を眺めながら、老人は巨木との別れを惜しんだ。木は老人がかくれんぼで遊ぶ頃から森にあった。幹のうろはいい隠れ場だったものだ。――ふと叫び声。何事かと目をあげれば、倒れた木の中に少女のミイラがあった。どうやら、老人が老人になれたのは、木に愛される美しい子ではなかった為らしい。
2012-03-26 21:53:43結婚を発表した友人の隣にいた女性はこだまだった。友人は自分の言葉を否定されるのが嫌いな男だ。こだまは同じ台詞を返してくれるのだから理想的だろう。だが友人は新婚早々自殺した。遺された日記には、妻が酷いことばかり言う、と。酷いことを言っていたのは誰なのか。こだまはもうどこにもいない。
2012-03-28 20:43:38時々見かける彼女はいつも青い服だ。話をしたこともなければ何をしているのかも知らない。ただ時に彼女と僕の行動周期が重なるのだろう。今度見かけたら、うっかりを装ってぶつかってみよう。そして謝りながら自己紹介するのだ。僕はハレー彗星です。周りの奴に聞いたところ、彼女は地球というらしい。
2012-04-10 21:11:14常春の民族は雪深い山奥に暮らしている。余所者とはけして交わらないけれど不便などない。彼らがそこにいるだけで雪は溶け、木は萌え、花が競うように咲き誇る。遠くから見ると、一面が真っ白のなか、そこだけが色鮮やかで美しい。 #創作都市
2012-04-20 22:03:53#創作都市 いつも両手を差し伸べた男がいた。着替えも食事も他人に世話されていた。手が不自由なのかと思えば、綺麗に両手を揃えて掌を上に向けていられるのだから、疑問がある。そうしているために彼は何もできないのだ。何様なのかと問うと、彼は答えた。王だ。掌の上の都市の。 #twnovel
2012-04-20 23:01:21架空の書物、見えない書物のみを収集した図書館がある。図書館そのものもまた実空間および実時間を占有しないため、遍在性があり、設立や維持に資本は必要ない。ついでにいえば紙本もない。図書館は未だ完成せず、無限に分裂し増殖を続けているが、その大きさは既に宇宙と同等に達している。
2012-04-24 06:35:08#twnovel 火星が土星に恋をした。相談された木星、「土星はお揃いのわっかをつけたいみたい」とアドバイス。わっかは粒でできている。手近なものを砕いて粒にしよう。こんな事情を知らない地球は、月が消えて大混乱。火星の輪にも気がつかず。
2012-04-27 19:59:13三途とは、三つの渡河の途。善人は橋、軽い罪人は浅瀬、重罪人は深い急流を渡る方途がある。舟で渡るとばかり思っていたが、それはカロンの渡し守のイメージが混ざったのか。
2012-04-30 01:40:09