Affair Story 『風』まとめ

ツイッター小説(@affair_story_s)の『風』をまとめました。
0
Affair Story @affair_story_s

#twnovel 外に出た俺を襲ってくるのは熱気だ。クーラーで冷えた部屋に戻りたくなる俺を、他のものが襲ってきた。腰を見れば『風』が眉根を寄せて見上げてきている。「何だ、どうしたんだ?」「別に。ただ、最近私を大事にしてませんよね……」どうやら今夜は、扇風機で過ごす事になりそうだ。

2010-08-05 17:08:07
Affair Story @affair_story_s

#twnovel 外に出ると『風』が走り回っていた。横を走り抜けられる毎に暑さが和らぐ。「お前さあ、走り回るなら昼にしろよな」「え? 何言ってるんですか」まったく、と。『風』は両手を広げて空を切りながら、「人のいない夜だから駆け回れるんです。自由に駆け回ってこそ、私なんですよ?」

2010-08-05 03:41:35
Affair Story @affair_story_s

俺は『風』の肩に手を置き、「いいか?今日は、今日だけはアレが認められる日なんだ。でも俺一人ではそれを成す事が出来ない。だから、力を貸してほしい」「はぁ……で、何をすればいいんですか?」「スカートめくりだ!今日はパンツの日だからな!」 #twnovel その日、町から風が消えた。

2010-08-02 23:08:38
Affair Story @affair_story_s

#twnovel うーんと唸りながら歩いていると、『風』が俺の髪を揺らしながら肩に乗って来た。「何か悩んでますね」「まあなー」俺は肩にかかる僅かな重みにバランスを取りながら、なあ、と前置き、「お前の呼び方、風ちゃん、風っち、かっちゃん、どれがいいと思う?」肩から重みが消えた。

2010-08-02 01:23:47
Affair Story @affair_story_s

#twnovel 話を聞いていると欠伸が出て、横を見れば『睡魔』がいた。「あー、今は止めてくれない?」言うが、『睡魔』は笑顔で近付いてくる。うわあ、と思った瞬間身震い一つ。何かと思えば『風』で、「今はダメです」眠気がなくなり、俺は『風』に礼を一つ。でもクーラーは弱めてもらおう。

2010-07-31 10:10:59
Affair Story @affair_story_s

#twnovel 「俺とひと夏の恋をしないか?」俺の告白に怪訝な表情が返ってきた。「おいおい、告白してんだから何か言ってくれよ」「いえ、あの、嬉しくはありますが、ひと夏って……」「だって冬はお前寒いじゃん――って、ん? ひと夏じゃなければオッケーなの?」『風』が俺を突き飛ばした。

2010-07-30 06:25:49
Affair Story @affair_story_s

#twnovel 「一ついいですか?」「ん?」俺は『風』の問いに耳を傾ける。「暑いから私が必要なのは分かります。でも」「でも?」「私の風は、接してないとダメって訳じゃないですよ?」膝の上、『風』は不満そうに顔だけ向けてくる。俺はふむ、と頷き、「アイス食うか?」「離れてください!」

2010-07-30 06:19:00
Affair Story @affair_story_s

外に出ると地面が濡れていた。俺は空を見上げ、ふむ、と頷く。前を見れば『風』が走っており、俺はその後を追うように同じ方向へ走り出す。 #twnovel 「あ、いた」声に振り返った『雨』が驚いた顔をする。俺は少し考え、「久しぶり」「……ええ、そうね」俺の走って来た空に、虹が架かった。

2010-07-27 17:33:24
Affair Story @affair_story_s

#twnovel 暑さに肩を落として歩いていると同じようにだるそうな後姿を見付けた。俺は駆け寄り手を広げ、「捕まえた――!」叫び抱き上げるのは『風』だ。俺は抵抗を予想して強き抱きしめるが、返ってくるのは生暖かい空気。落ち着いて腕の中を見れば、元気をなくした『風』が目を回していた。

2010-07-26 11:44:14
Affair Story @affair_story_s

#twnovel 「髪を切ってあげる」と言う『君』に甘えて土手に椅子を置き頭を任せていると、『風』が飛んできた。「何してるんです?」「髪切ってもらってるんだよ。ちょうどいいや、暑いしこっち来いよ」『風』が笑顔で駆け寄ろうとするが、「あら、ダメよ? 髪がなびいて切りにくいじゃない」

2010-07-25 20:13:42
Affair Story @affair_story_s

#twnovel 寝起きは暑さによる不快感だった。俺は布団から起き上がることなく手を伸ばし、目も開けず手探りで扇風機を探し当てそのスイッチをオンにする。来るのは風による快適な睡眠のはずだった。俺は不審に思い、目を開け扇風機の方向を見やれば『風』が俺にたどり着くことなく倒れていた。

2010-07-24 21:04:13
Affair Story @affair_story_s

#twnovel 土手を歩いていると『風』が寝転がっていた。「寝転がるなんて珍しいな」声に疲れた顔がこちらを向く。「忙しすぎて寝転びたくもなりますよ」そうだな、と頷き俺は『風』を拾い上げ肩車。「うわ、な、何するんですか!」「これで歩けば俺は涼しいし、お前も動けて一石二鳥だろ?」

2010-07-23 16:14:51
Affair Story @affair_story_s

#twnovel 空にまばらに浮かぶ雲は、動いている。という事は、と。俺は確信をもって走り出す。走り、向かうのは高台。町で一番高い所に着いた俺は、そこに立つ後姿を見つけて、は、と荒い息を吐き出す。「やーっと見つけた」声に振り返った『風』が驚いて逃げ出す前に、俺はその身を包みこむ。

2010-07-20 00:27:46
Affair Story @affair_story_s

#twnovel いつにも増して暑いと思って外に出てみれば、得るのは違和感だ。何かが足りない。何だろう、と首を回して周りを見て、それでも分からず、暑さに服をつまんで身体との隙間に空気を送り込む。そこでふと。「ああ、今日は風がないのか」いつも走り回っている元気な姿は、どこにもない。

2010-07-19 22:29:28
Affair Story @affair_story_s

#twnovel 俺は『君』を見かけて近寄ろうとして、しかし足を止めて腕を振る。おこした『風』を捕まえて問うのは、「髪型おかしくないよな?」「……ええ、はいはい、おかしくないですよ」よし、と俺は小走りで近付き声をかける。『君』があら、と振り向いた直後、ふいた風に髪をかき乱された。

2010-07-11 22:46:22
Affair Story @affair_story_s

#twnovel 窓を開けるとカーテンが持ち上がった。強風だなと思っていると、飛んでくるのは『風』だ。その視線に捉えられ、げ、と思い閉めるのは網戸。『風』は網戸にぶつかると、その顔に網目を作りながら仰け反る。「あー、すり抜けるんじゃないんだな」「感心してないで謝ってくださいよ!」

2010-07-11 14:20:54
Affair Story @affair_story_s

#twnovel 天高く掲げた傘に降るのは大量の雨。「はは、無駄だよ!」『雨』は眉を歪ませながらも腕を振り、「まだよ!」同時、背中を雨が打つ。驚き振り返れば『風』だ。「ふふふ、油断しましたね?」「二人掛り、だと!?」遠く、『君』が呆れた顔で、「何やってるの?」三人で顔を赤らめた。

2010-07-10 23:30:01
Affair Story @affair_story_s

#twnovel 額にうっすらと浮かんだ汗を服の裾で拭い扇風機を動かせば汗がひいていく。しかし、引いてしまえば、後に来るのは寒さだ。扇風機の強さは弱。切れば暑く、つければ寒い。「どうにかならんか?」俺の周りを走る『風』に聞くが、返ってくるのは呆れた声で、「私に聞かないでください」

2010-07-08 21:41:09
Affair Story @affair_story_s

#twnovel 用意した笹に短冊を括りつけようとしていると、『風』がやって来て笹にしがみつく。何だと見つめるが、見つめ返してくるだけ。まあいいかと括りつけようにも、『風』が笹を揺らして上手くいかない。見つめるが、見つめ返される。「あー、お前も書くか?」やっと笑顔が返ってきた。

2010-07-07 22:37:06
Affair Story @affair_story_s

#twnovel 俺はふむ、と腕を組む。俺の座っている椅子の裏には『闇』がいて、前方には『光』がいる。上を見上げれば『風』が漂っていて、周りを見回せば『暇』や『夢』、『睡魔』が遠くにいる。あー、と。見えるようになって初めて来て分かったが、映画館ってのは結構いろんなのがいるもんだ。

2010-07-04 22:54:22
Affair Story @affair_story_s

#twnovel 目の前で風船が昇っていく。その下には、空に両手を伸ばす少女。表情は歪んでいて、目からは涙が、大きく開かれた口からは、あ、という声が長く響く。俺はふむ、と頷き腕を振って『風』を捕まえ空を指差す。『風』は見上げ、ああ、と。少女の手に風船が戻り、俺は『風』に礼を言う。

2010-06-30 22:43:17
Affair Story @affair_story_s

#twnovel 確かに『見える』前は雨嫌いだったかなー、と俺は傘の端から空を見上げ唸る。でも今では『雨』との付き合いもあり嫌いではない。むしろ今嫌いなのは、「やー!」そんな声と共に腰に衝撃。見遣れば濡れた『風』が抱きついていて、「ふふふ、傘では防ぎきれませんよ?」殴り飛ばした。

2010-06-28 23:37:01
Affair Story @affair_story_s

#twnovel 鼻歌交じりに歩いていると、横に『風』がやってきた。『風』は俺を押しつつ、「何にやけてるんです? 病気ですか?」「ははは、お前は相変わらず口悪いなー」「うわ、本当に上機嫌ですね。気持ち悪い」笑って『風』の頭をグリグリと。そんな俺の後ろを、『幸福』がついてくる。

2010-06-25 03:25:33
Affair Story @affair_story_s

#twnovel 土手まで行くと『君』がいた。しかしその目は閉じていて、呼吸は静かだ。寝ている。俺は少し考え『風』に『君』の周りを走らせ、『夢』を『君』の横に座らせる。一息つくと、「おや? 何をしているんだい!?」『夏』が寄って来て『君』の眉が八の字になったので殴って追い返した。

2010-06-21 21:23:45
Affair Story @affair_story_s

#twnovel 仁王立ちする俺と『風』の目には力があり、「いよいよだな。これにはお前の力が必要だ。協力してくれるな?」「ええ、この名にかけて!」いい返事だ。俺は頷き、巨大な凧を背負う。「行くぞ!」「はい!」――「あらあら」通りかかった『君』が、地面にめり込んだ俺を見て笑った。

2010-06-15 23:21:49