Affair Story 『風』まとめ

ツイッター小説(@affair_story_s)の『風』をまとめました。
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#twnovel あまりに暑いので、『風』を引っ張り込んで抱きかかえる。「あー、やっぱ夏はお前必須だわ」「何勝手なこと言ってるんですか!」抵抗してくる『風』は部屋の隅に視線を向け、「あ、扇風機あるじゃないですか!」「え? あるけど……」動かせばお前、走り回らなきゃいけないんだぞ?

2010-06-11 23:05:34
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#twnovel 「おい抱かせろ」「いきなり何言ってますか貴方は。嫌ですよ暑苦しい」俺は眉根を寄せ、2メートル先で睨んでくる『風』に一歩近付く。『風』は二歩下がり、「つーかまえたっ」「え? ひゃっ?」後ろから忍び寄っていた『君』の胸に収まる。「ふ、二人掛りなんて卑怯ですよ!?」

2010-06-06 15:50:12
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#twnovel この暑さはいかんなと、俺は足早に土手に向かう。着いて数秒、目的のものを見つけ、「『風』――!」「はい? って、わああ!」「ははは涼しいなお前! 」「何するんですか! やめ、やめてください!」「いーやーだー!」「あらあら、楽しそうね」声に振り替えると『君』がいた。

2010-06-05 23:18:05
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#twnovel 腹が減ったので飯を食おうと自転車に乗って店まで走っていると、何かを轢いた。何だと振り返ってみれば、『風』が道に転がっている。「……何もなかった。うん」「それはさすがに酷くないですか!?」そう言われても、自転車に乗っていて風にぶつかるなんて日常茶飯事だろう。

2010-05-30 23:04:25
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#twnovel 道を歩いていると横から衝撃を受けた。何事だと腰を見下ろせば『風』がいる。「お前は毎度いい度胸だな?」「そちらこそ毎度私の駆ける場所にいて邪魔して、いい迷惑ですよ!?」二回殴った。更にお灸を据えてやろうと襟首掴むが、「言いつけますよ?」……こいつ、姑息になったな。

2010-05-29 22:45:19
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#twnovel 『風』が駆けると、短く生えた草がその軌跡を追うように音をたててなびいていく。それを面白がるように『風』は走る。やがて『風』は両手を浅く広げた『君』の胸に飛び込んだ。さ――、と。余韻を残した草が『君』と『風』の周りで広がりなびく。俺はその光景に、ただ魅入っていた。

2010-05-27 16:19:32
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#twnovel 『君』の周りには、いつも誰かがいた。やんちゃな『風』も『君』の前では大人しく、なかなか素直にならない『雨』も笑みを浮かべ、あの『夏』ですら服を着る。いつも囲まれていた。でも、なぜ気付かなかったんだろう。『君』の周りにはいつも誰かがいて、しかし、人は、いなかった。

2010-05-27 03:44:58
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#twnovel 両手を浅く広げる『君』の周りを、『風』が嬉しそうに駆け回っていた。『君』は『風』を捕まえようとその両手を狭めるが、『風』は隙間を縫ってそれを通り抜ける。その度に『君』の髪は揺られ、口元には笑みが作られる。やがて『君』は俺に気付き、あら、とその両手を広げてくれた。

2010-05-25 21:26:38
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#twnovel 外に出ると風が強く、飛んでくる塵に目を細めていると『風』がポケットに手を突っ込んで肩をいからせながら歩いてきた。『風』はガニ股で歩き、道に落ちていた空き缶を蹴り飛ばす。「こらお前、なにしてんだよ」「はあ? 何ですか? 何か用ですか?」うーむ、えらく荒れてるなぁ。

2010-05-24 21:27:10
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#twnovel 道を歩いているといつものように『風』がタックルしかけてきたので、こちらもいつものように襟首つかんで説教を始める。「あら」という声に振り向けば『君』が笑顔で、「いつも仲良いわね」誤解だ、と弁解する間もなく、『君』は『風』に手を振って去ってしまった。

2010-05-15 23:39:43
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#twnovel 開けると、いきなり『風』が突撃してきた。「よしいい度胸だ。殴り倒す」「うわ、ちょ、不可抗力ですよっ!」弁解を始める『風』の襟首を掴んで歩き出すと、「こんにちは」すれ違いざまに挨拶され、「あ、ども」返事をして三歩。俺は振り返り、「まだ秋じゃないぞお前!」

2010-05-13 21:30:34
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#twnovel 自転車に乗って坂を下っていて、何か物足りないなと考えれば思いつくのは風だ。そう、風がない。探してみると、土手に座り込んで呆けている。「どうしたんだ?」問うと、『風』は一度だけこちらを見て、「いえ、また忙しくなると思うと……」ああ、夏は風が欲しくなるもんなぁ。

2010-05-08 23:42:34
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#twnovel 土手を歩いていると『君』がいた。話しかけようとしたが周りには『春』や『風』もいて、楽しそうに談笑している。見た目女の子ばかりなのでどうも近付き難い。悩んでいると『君』がこちらを見て、「あら」と声を上げる。俺は小さく手を挙げて、その手で髪を掻き、側へと足を進める。

2010-05-01 22:40:46
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#twnovel 突進してきた『風』の襟首を掴んで押し問答していると、後ろから「あら」という声が聞こえてきた。誰だろうと振り返ってみると、「ん?」誰だろう。知らない人だ。しかしその人は俺を見て、そして横を見て、「貴方、見えてるのね」「君も……?」問うと、彼女は笑みの表情を作った。

2010-05-01 21:55:58
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#twnovel 洗濯物を干していてふと目を向けると、『風』が勢いよく走ってきた。「あ、こら、ちょっと待て!」慌てて前に出て両手を広げるが、『風』は俺の腰を撫でるように通り過ぎる。うわ、という思いとともに後ろから聞こえるのは小さな音。振り返れば想像通り洗濯物が飛ばされ落ちていた。

2010-04-29 21:38:07
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#twnovel 窓から覗く外は雨だった。うわ、と思いつつ見るのは後ろには洗濯済みの服が濡れたまま。しかしこの雨では干せず、『雨』に文句を言っても無駄だろう。悩んでいると『風』がいた。俺は『風』を家に引っ張り込むと、濡れた服の前に立たせ、「よろしく」服も家具も吹き飛ばされた。

2010-04-21 00:20:48
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#twnovel テレビを見ていると画面が砂嵐に変わった。何事だと叩くが直る気配はない。大分古いし寿命かなと思っていると、呼鈴が鳴る。誰だと開ければ、『風』だ。後ろに何かを抱えた『風』は、「あの、その、悪気はないんです。引っ掛かっちゃって……」覗けば後ろにあるのはアンテナだった。

2010-04-20 22:57:06
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#twnovel 足がもつれた。転びそうになった体勢を立て直し、俺は足に力を入れなおす。しかし先程までの速度は出ない。くそ、と歯を食い縛り、それでも走る。ふいに速度が上がった。背中を押す感覚に振り替えれば『風』がいて、眉根を下げて見上げて来る。俺は頷き、「ああ、まだ走れる……!」

2010-04-17 23:19:50
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#twnovel 土手を歩いていると『春』がいた。横には『風』もいて、二人は笑いながら何かを話している。「よう、何話してんだ?」声を掛けると『春』が振り向き、「ええ、最近寒いですねって」それはお前が働かないからだろう。

2010-04-16 15:48:38
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#twnovel 家を出ると急に『風』が絡まってきた。「おいおいお前、今日は止めろよな」「私に止めろと言われましてもー」頬を膨らまして言う『風』にイラっとして、俺は襟首つかむと家の中に押し込む。よし、風が止んだ。――しかし帰ってきて家に入ると、中は滅茶苦茶にされていた。

2010-04-14 23:58:09
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#twnovel 寝転がっていると風が窓を打つ音と同時に何かが落ちる音がした。何事かと窓を見るとその向こうに干した筈の洗濯物が竿ごとなくなっている。「お、落ちたのか!?」慌てて窓を開いて下を見ると、確かに洗濯物も落ちているが、「いったー……」俺の服の上には『風』も落ちていた。

2010-04-13 22:18:58
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#twnovel 外へ出ると、傘をさした『雨』が横切った。まっすぐ進む『雨』を目で追っていると、十字路で横から飛び出して来た『風』が『雨』にタックルを仕掛ける。『風』は困惑する『雨』に構わずその手を引き、無理やり進行方向を変えさせる。「風向きが変わったかな」もうすぐ晴れるだろう。

2010-04-09 23:10:35
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#twnovel 屋外へ出ると寒さに身が震えた。今の季節いつだよと思うが近くを『春』が漂っていたので春なのだろう。唸っていると、身体に『風』が絡まってきた。「おいおいお前、今日寒いんだから勘弁しろよな」言うと『風』は頬を膨らまし、「夏は絡めと言ってくる癖に、都合良すぎません?」

2010-04-09 18:36:49
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#twnovel 声に振り向くが、そこには誰もいない。誰だ、と周りを見回すが、俺以外の姿が見当たらない。もう一度声をかけられる。今度は方向も分かり、振り向くのは上だ。マンションの一角。ブルーシートのような物を干すベランダからのもので、「た、助けてくださいっ」『風』が絡まっていた。

2010-04-07 23:50:05
Affair Story @affair_story_s

#twnovel 急に吹いた風に目を細めて横を見ると、桜に『風』が絡まっていた。桜の花弁を千切っては投げ捨てているその姿に、「……お前、何してんだ?」問うと、『風』は一瞥を向けてすぐに作業に戻り、「忙しいので話しかけないでください。今週中に散らせないといけないんですからっ」

2010-04-07 22:47:09