ももの連載まとめ

もも @momomoga

黄瀬[16]練習が一区切りついて、外の空気を吸いにふらっと体育館を出ると、すぐそこで笠松先輩とあの女が話しているのを見つけた。なにやってんだあいつ…今度は笠松先輩狙いか？俺から興味が逸れてくれたのは喜ばしいが、よりによって先輩かよ。ほんと面食いだな。 #黒バスプラス #桃缶

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黄瀬[15]見上げた先の顔は、私の顔を本当に心配そうに伺っている。その視線があまりに暖かくて、凍りついていた私の心が溶けだしたのかもしれない。「…おい？」何も言えずに突っ立っているだけなのに、私の目からは訳がわからないぐらいの水が零れ落ちていた。 #黒バスプラス #桃缶

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黄瀬[14]「寧ろ好きな奴にあんなに言われて、…辛くないのか？」ここまで言われてようやく気が付いた。先輩は私を心配してくれている。自分の後輩に付き纏っている私なんかのために、声を掛けてくれた。しかも、初対面。…いい人すぎますよ、先輩。 #黒バスプラス #桃缶

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黄瀬[13]「…お見苦しい所をお見せしてごめんなさい。」「謝ることなんてない、と俺は思うけどな…。別に黄瀬のことストーカーしてる訳ではないんだろ？」「はいっそれは勿論です。」「だから、あー…す、好きなだけなんだからお前は全く悪くない。」先輩の顔が微かに赤い #黒バスプラス #桃缶

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黄瀬[12]話してたっていうか、一方的に罵られてたっていうか…、「たぶん、私です…。」あれ、聞かれちゃってたんだ。思い出すと恥ずかしくて、自分が情けなくて、目に涙が溜まった。「え！？あ、えーと、泣くなって！他には誰も知らねえから！」やっぱり、優しいひとだ。 #黒バスプラス #桃缶

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黄瀬[11]「え！？ち、違います！」「…？」「えと、あの、私の片想いで、私が勝手に追い回してるだけなんです…。」自分で言ってて悲しくなる…。「そうだったのか…いや、あのな、この間体育館の外で黄瀬と話してたのって、お前で合ってるか？」…話してた？「…あ、」 #黒バスプラス #桃缶

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黄瀬[10]いつも見てるなんて言われたら気持ち悪いかな。また怒られるかな。恐る恐る先輩の顔を覗き込むと、予想外にも笑っていて、「なんだ、そうか。いきなり呼び止めて悪いな。」「あ、いえ…」いい人だな。「あのな、ちょっと確認したいんだが…お前、黄瀬の彼女か？」 #黒バスプラス #桃缶

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黄瀬⑨ファンの子達に向けられる彼の笑顔、見たいけど見たくなくて、胸が締め付けられた。その場にいるのが辛くてそっと体育館を出る。「お前、」急に腕を掴まれ、振り返ると、「…え、笠松、先輩…？」「あ、俺のこと知ってるのか？」「…はい、いつも練習見ているので…。」 #黒バスプラス #桃缶

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黄瀬⑧ズキン、と胸が痛む。黄瀬くんはファンの子にはとても優しい。彼に優しくされない子の方が稀。だから、自分は彼にとって特別な人間なのだ。数少ない、優しくしない人間。でもこんな特別、全然嬉しくない。本当は私にも笑ってほしい。黄瀬くんが優しすぎて、苦しい。 #黒バスプラス #桃缶

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黄瀬⑦あんなに怒られたはずなのに。どうして私はまた体育館にいるのか…。ほんと、懲りないなあ。今度は見つからないように、上の通路からこっそり眺めた。…うん、やっぱり格好いい。バスケしてるときの黄瀬くんは、本当にキラキラしてて、黄色い声援に、笑顔で手を振った。 #黒バスプラス #桃缶

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黄瀬⑥黄瀬くんに帰れと言われてしまったから、今日はもう帰ろう。体育館から校門へ、早足に向かう。校外に出たところで足を止めて、体育館の方を一瞬だけ振り返る。それからまた前を向いて、でも俯きがちに、帰路についた。喉の奥が痛くて、うまく息ができなかった。 #黒バスプラス #桃缶

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黄瀬⑤今の黄瀬くんには、バスケがあって、モデルの仕事があって、それらで彼の世界は満たされている。私には、少しもその世界に入る余地なんて残されていないのだ。それでも、黄瀬くんに少しでも、ほんの一粒だけでも私のことを好きになってほしいと思う私は本当の大バカだ。 #黒バスプラス #桃缶

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黄瀬④自分でも早く諦めろ、とは思ってみるもののやっぱり黄瀬でないとだめで、話しかけては何度も罵られるというのを繰り返している。なぜ黄瀬くんでないとだめなのか、自分でもよく分からない、というのが本音で、こんなに罵倒されてもなお私は黄瀬くんが好きだった。 #黒バスプラス #桃缶

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黄瀬③黄瀬くんが好き、ただそれだけ。今までは普通に接してくれていたから、告白後の態度の急変には驚いた。どうやら告白したことで、私は心底嫌われてしまったらしい。なんでも、告白を断られたくせにいつまでも喋りかけにきているのが気持ち悪いみたいだ。 #黒バスプラス #桃缶

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黄瀬②告白してからあからさまに私を避けるようになった黄瀬くん。少しだけ、ちょっとだけでも姿が見たくて体育館を覗いてみた。だけど、それがいけなかったみたい。怒られてしまっま。私は決して格好いいだけの彼氏が欲しくて黄瀬くんに告白した訳じゃない。 #黒バスプラス #桃缶

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黄瀬①「どうせ、アンタも俺の顔が目当てでしょ？別にそれを非難する訳じゃないっスけど、正直そんな女に興味ないんスよねぇ。あとさ、バスケの邪魔されんのだけは許せねぇんスよ俺。次邪魔したらもうアンタと口きくのやめるから。じゃ、そういうことで。早く帰れブス。」 #黒バスプラス #桃缶