ももの連載まとめ

黒バスプラス連載のまとめです。
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もも @momomoga

【青峰32】突っ伏した状態のまま、もう一度寝ようと目を閉じると、頭にふわりと温もりが降ってきた。ああ、よかった、また青峰くん来てくれたんだあ、なんて寝ぼけてふわふわした頭で考えていると、「おい、何泣いてんだ。」急に鮮明な声が聞こえて、頭が覚醒すると共に体は硬直した。

2013-03-05 01:53:59
もも @momomoga

【青峰31】目から涙が流れて、目が覚めた。すごく幸せな夢を見た。内容はうろ覚えだけど、青峰くんが近くにいた気がする。もう、諦め悪いな、私。でも本当に幸せな夢だった。鼻をズッと啜って、枕にしていた腕で涙を拭った。もう一回見たいな…。このまま眠ったらまた見れるかな。

2013-03-05 01:53:55
もも @momomoga

【青峰30】夢を見た。私が風になって青峰くんを追いかける夢。彼はずんずん前に進んでいく。私は風になっても彼に追いつけなくて、悲しくて泣いていた。すると彼が戻ってきて、優しく頭を撫でた。それから私の手を取って一緒に歩いてくれた。そんな馬鹿馬鹿しくて幸せな夢。

2013-03-05 01:53:51
もも @momomoga

【青峰29】風邪で体がだるい。もう放課後だけど家に帰るのも億劫で、自分の机に突っ伏した。このまま眠ってしまいたい。そしてそのまま消えてしまいたい。空気の中に溶けてしまいたい。そしたら風になっていつも彼のそばにいられるのにな。なんかそんな歌あったなって、自傷気味に笑った。

2013-03-05 01:53:47
もも @momomoga

【青峰28】ただ、彼のことが好きな気持ちはどうやっても消えてくれなかった。自分の気持ちをどうにかするなんてできる訳がないし、それももう諦めた。別にいいじゃないか。心の中で想ってるだけなんだから。誰にも迷惑かけてないんだから。それぐらいは許してほしい。

2013-03-05 01:53:33
もも @momomoga

【青峰27】あの日からどれくらい経ったんだろう。青峰くんとは会っていない。風邪も治ってない。咳も止まらない。…だけど、涙は止まった。彼のいない日々は容赦なく過ぎていって、彼のことは諦めるしかないのだと、私自身がようやく理解してくれたようだった。本当に物分りの悪い女だ。

2013-03-05 01:53:29
もも @momomoga

【青峰26】彼と私はもう関わることもないんだろう。少しの間でも、彼のそばに置いてもらえたんだから、私はそれで満足だ。幸せだ。だから、辛いなんて思っちゃいけない。廊下で立ち止まって、目に溜まった涙を制服の袖で拭った。嫌味なくらい晴れた空を、意味もなく睨んだ。

2013-03-04 02:16:06
もも @momomoga

【青峰25】これ以上そんな視線を向けられるのも、仲の良い二人を見るのも嫌で、急いで逃げた。彼は知っているだろうか。私がどれだけ彼の表情に振り回されるか。知っているだろうか。私がどれだけ彼を好きか。…きっと知らないだろう。これから知ることもないだろう。でも、それでいいんだ。

2013-03-04 02:16:01
もも @momomoga

【青峰24】「青峰くん、」誰にも聞こえないような声で名前を呼んだ。誰にも聞こえないはずだったのに、なぜか彼はバッと起き上がってこちらを見た。びっくりして硬直していると、私の顔を見た彼は一瞬にして顔を歪めた。まるで汚いものを見るみたいな目。…嫌いな人に向けるような目。

2013-03-04 02:15:56
もも @momomoga

【青峰23】「はは…」乾いた笑いが零れる。こんなの、グラビア雑誌の女の子だって敵いっこない。分かっていたことじゃないか。いつか離れることぐらい。きっと今がその時なんだ。私は十分幸せを与えてもらったから、もう大丈夫。そう言い聞かせても、彼を見つめる視界はじわじわと滲んだ。

2013-03-04 02:15:51
もも @momomoga

【青峰22】「それよりさつき、お前パンツ見えてっぞ。」「え!?…ばかっ!」ああもう、なんて微笑ましい会話。たったこれだけの会話から、二人の仲の良さがこれ以上なく伝わってくる。二人は小さい頃からずっと一緒で、これからもきっとそうなんだ。そこには私の入る隙間なんてどこにもないんだ。

2013-03-04 02:15:46
もも @momomoga

【青峰21】「大ちゃん!」目の前の光景に息することも忘れて魅入っていたから、突然聞こえた声に驚いて肩がビクリと揺れた。寝転ぶ彼に呼びかけた可愛らしい彼女は、彼の幼馴染だ。青峰くんと関わるようになって最近知った。「そろそろ起きて授業出て!」「うるせえ…」「もう!私知らないからね!」

2013-03-04 02:15:41
もも @momomoga

【青峰20】…私、こんな風な彼に一目惚れしたんだった。ただ単にだるそうなだけに見えるかもしれないけど、空を見つめる横顔はどこか寂しそうで、そんな彼からは壮絶な色気が漂っている。それは眩暈がするほど魅力的で、私の目にはこの世で一番美しいものに見えた。

2013-03-04 02:09:30
もも @momomoga

【青峰19】外に繋がる扉をそっと開く。教室以外に彼がいる場所なんて屋上ぐらいしか思いつかなかった。外を覗くとやっぱりそこには青峰くんがいて、制服のまま地べたに寝転んでいた。一瞬寝ているのかと思ったけど、よく見るとぼんやりと晴れた空を見上げているようだった。

2013-03-04 02:09:25
もも @momomoga

【青峰18】でも、怖くてもなんでも、彼のそばにいたいんだ。私って、なんて強欲。今だけでいいと思っていたはずなのに、それだけじゃ満足できなくなってる。これから先もあわよくば…なんて、本当に傲慢な女だ。それでも好きで好きでどうしようもない。声を聞きたい。会いたい。

2013-03-04 02:09:21
もも @momomoga

【青峰17】まともに歩けるようになってから登校して、すぐに青峰くんのクラスを覗いてみたけど彼はいなかった。寝込んでる間ずっとずっと不安だった。あれ以来彼が電話に出てくれることはなかったし、彼がどんな顔をしてあんな言葉を放ったのか、考えるのも怖かった。

2013-03-04 02:09:17
もも @momomoga

【青峰16】男?そんなの彼以外にいる訳がない。慌てて弁解しようとして電話を掛け直したけど、彼が出てくれることはなかった。…変な勘違いをされてしまった。最後に聞こえたつめたく冷え切った彼の声が耳から離れなくて、目の奥がじりじりと熱くなった。不安でたまらなかった。

2013-03-03 00:30:42
もも @momomoga

【青峰15】「ん?」「だから、息上がって…あー…なんだ、男いんのか。」「え?」「そういうことならもうお前の家行かねえわ。じゃあな。」「え、」ぶつり、と電話が切れた。何が起こったかイマイチ理解できなくて、…理解したくなくて、ただただ呆然とした。彼は何て言った?

2013-03-03 00:30:38
もも @momomoga

【青峰14】「あの、今日はだめなの。」「あ?なんでだよ。」「えっと、ごめんなさい。明日なら多分大丈夫です。」彼に風邪を移す訳にはいかない。折角電話くれたのに、断らなきゃいけないなんて悔しい。なんで風邪なんか引いたんだろう。「…なんかお前、息上がってねえ?」

2013-03-03 00:30:33
もも @momomoga

【青峰13】「今日行くわ。」たった一言。ぶっきらぼうな彼の声を聞いただけで、泣きたくなった。ただの風邪なのにこんなに人恋しくなるなんて、私はなんて弱いんだろう。でも、それでも、彼の一言が嬉しくて嬉しくて仕方なかった。…だからといって、素直に甘えるほど子供じゃない。

2013-03-03 00:30:29
もも @momomoga

【青峰12】次に目覚めたのは夕方頃で、電話の着信音に起こされた。ケータイを見ると青峰くんからの着信で、珍しいな、なんてぼんやりする頭で考えた。普段彼から私に電話することなんて滅多になかったから、私はただ単純に嬉しくて、少しどきどきしながら電話に出た。「…もしもし?」

2013-03-03 00:30:26
もも @momomoga

【青峰11】そこに風邪の常備薬は入っていなくて、かなり絶望した。なんかフラフラするし、外に薬を買いに行くなんて無理だ。今日は大人しく寝てるしかないな、と諦めて布団に潜った。一人で無言でいると思考回路がネガティブになって、このまま死ぬんじゃないかなんてふと思った。

2013-03-03 00:30:23
もも @momomoga

【青峰10】そんな不幸ヅラをした私に、死刑執行の日は難なくやってきた。夜中まで授業の予習に励んでいた私は、そのまま机で寝てしまい、次の日案の定熱を出した。一人暮らしで風邪を引くと本当に最悪で、自分で自分の面倒を見なきゃならない。だるい体を起こして、救急箱を開けた。

2013-03-03 00:30:19
もも @momomoga

【青峰9】自分でも分かっているのだ。こんな関係が長く続くはずがないってことは。彼との未来を想像するなんて馬鹿なことはしない。そこまで自惚れたくはない。きっと私は、彼の一番でも、特別でもない。その他大勢。それでよかった。今だけでもいいから、彼の傍にいたかった。

2013-03-02 02:07:24
もも @momomoga

【青峰8】そういうことを考えた後は罪悪感がすごくて、暫くの間は彼に話しかけることができなかった。こんなに汚い私なんかが話しかけちゃいけないような気がした。そうやって何日か経つと、彼はまた突然家にやってきて私を優しく抱いてくれるのだった。私達はそんなことを繰り返していた。

2013-03-02 02:07:17
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