unpeu_k #twnovel 2012/10 「学術上の興味だけで私が創り出した彼が」

twnovelまとめ:その⑪(10月分)
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二月大笑 @unpeu_G

#twnovel 研究上の興味だけで私が創り出した彼が自らのことを訊ね始めたらそろそろ崩壊の時である。用途は無い。と正直に言う。「それでは私が生まれた意味は?」「誰の生にも意味なんて無い。でも生まれてくれてありがとう。」その言葉は間に合ったと思う。微かに笑ってぐしゃりと消えた。

2012-10-11 23:02:23
二月大笑 @unpeu_G

#twnovel 柴犬が前を歩いている。白くてふさふさの後ろ脚。歩く度もさもさ揺れる。薄れた記憶の中からあなたが「かわいいね」と言ったのが聞こえた。「うん、かわいいね」と私も思う。「かわいいね」「かわいいね」とだけ言い合いながら柴犬の後から二人で歩いて行く、記憶と私は歩き続ける。

2012-10-13 11:28:03
二月大笑 @unpeu_G

#twnovel 皿屋敷?一枚足りない?所詮ナンマイダってギャグっしょ。 \ガシャン!/ おやこんな時間にキッチンに誰か・・・?

2012-10-17 23:17:15
二月大笑 @unpeu_G

#twnovel 風もない静かな夜だ。ただ空のオーロラだけが音もなく激しく揺れる。「太陽風は強いんだね。」隣に出てきた母親が言う。「父ちゃんは大丈夫だろうか」思わず口にしてしまう。「荒れた時には荒れたなりの航海の仕方があるものさ。」父親の乗る宇宙船はどこかをしっかりと飛んでいる。

2012-10-19 22:44:43
二月大笑 @unpeu_G

#twnovel 駆け込み乗車のシンデレラはカボチャの電車に飛び乗って自分で自分に魔法をかける。きらきら光るコンパクト。まゆ毛、マスカラ、チークにリップ。みるみるうちにパーティー顔。乗客のネズミやロバたちは眉をひそめて目を逸らすが彼女は全然気にしない。電車には馬も御者もいらない。

2012-10-20 00:25:23
二月大笑 @unpeu_G

#twnovel 「かわいそうに」という台詞とまっすぐ目を見る微笑が私の目から頭を抜けて串刺しにされたのがわかった。思わず後ろを振り返ると無数の私が驚いている。え、私かわいそうだったの?あの時もあの時もずっと?私を貫いた微笑みが次々に私を刺していき揺れる私が連なっていく。

2012-10-23 00:42:16
二月大笑 @unpeu_G

#twnovel 王に楯突く愚民どもめ、あいつ等に渡すくらいならいっそ諸共滅ぼしてやる。「バルス!」あれ、「バルス!」・・・\ビーッ/『パスワード一致』\ビーッ/『静脈認証"王族"一致』\ビーッ/『静脈認証"その他"不一致』\ビーッ/『王族ではない人との詠唱が必要です』\ビーッ/

2012-10-26 00:17:11
二月大笑 @unpeu_G

#twnovel 無機質に作られた部屋で彼女と初めて対面する。彼女は何と言うだろう。ここから出せと泣く?脅す?「十年、」彼女は話し始める。「十年ずっと一人きりの食事を続けて来たのです。私は誰かと食事がしたい。あなたとならばとても嬉しい。」彼女の手を取って部屋を出た。

2012-10-29 00:03:19
二月大笑 @unpeu_G

#twnovel 九月の末に出会った彼女と初めて夜まで過ごしたが12時を過ぎて振り返ったら跡形もなく消えていた。そういえば甘いものが好きでいたずら好きの彼女だった。突拍子もないことをされては笑い転げた一ヶ月。こんなサプライズはいらなかった。お菓子ならいくらでもあげたのに。

2012-11-01 01:19:35