『花鏡』なう

世阿弥『花鏡』の全文訳です。
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世阿弥なう @zeaminow

若手役者は今後の上達のために現状をよくわきまえて、今の拙い芸を忘れないように心がけなさい。下手だった頃のことを忘れてしまうと、どのくらい上達したのかもよく分からない。そうなれば芸はそこで止まってしまう。だから若手は初心を忘れてはならないのだ。『花鏡』奥の段⑦

2012-11-12 20:17:42
世阿弥なう @zeaminow

「節目節目の初心」とは、入門から引退までそれぞれの年齢や段階で新たに身につけていく芸のことをいう。つまり修行の節目節目で学んだ芸を持ち続けられれば、レパートリーは無数に増え、あらゆる演技を備えた完璧な役者になれるはず。だから「節目節目の初心を忘れるな」というのだ。『花鏡』奥の段⑧

2012-11-12 20:29:30
世阿弥なう @zeaminow

人間の一生にはいつか終わりがくるが、能には限界などあってはならない。だから引退した後であっても新たに発見し、学ぶべきことがあるはずだ。50歳を過ぎたら現役引退すべきだと言ったが、その困難な境地を克服することこそ「引退後の初心」なのである。『花鏡』奥の段⑨

2012-11-12 22:47:27
世阿弥なう @zeaminow

生涯初心を貫いた生き方をすれば、芸は上達を続けたまま一生を終えることができる。つまりゴールを求めない生き方こそ、私たちが代々守るべき大切な教えなのである。初心を忘れれば、芸は後世に残らない。初心を忘れず、代々伝えていかなければならない。『花鏡』奥の段⑩

2012-11-12 22:57:54
世阿弥なう @zeaminow

かつて記した『風姿花伝』は、能の芸を花に例えて説明したもので、亡父の教えを約20年かけてまとめたものである。一方この『花鏡』は、40代以後の20年間に色々と気がついたことを、子孫のための形見として残すものである。応永31年6月1日 世阿弥 『花鏡』拔文

2012-11-13 21:25:14
世阿弥なう @zeaminow

本書は世阿弥先生が子孫のために残したもので本来は見られないものだけど、私の努力が天に通じたのか幸運にも手にすることができた。私の子孫にも能の真髄を知ってほしいので、ここに書き写す。決して他人に見せてはならない。永享9年8月 貫氏 『花鏡』金春本拔文

2012-11-13 21:40:00
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