赤司征十郎の独白

『赤司征十郎の独白』におけるシナリオ部分、及び本編とは直接関係しないもののやや本編の要素を含んでいると思われる部分を抽出したものです。
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赤司征十郎の独白 @aksryouki

…それは、僕に残されたたった一つの希望の欠片だ。…然し信じて確かめて、それが真実で無かった場合…、もう僕は、正気では居られないだろう。僕を赤司征十郎として、辛うじてこの彼岸に結び付けている唯一の可能性。だからこそ真偽を確かめる事は出来ない。…こればかりは、失う訳にはいかない。

2012-12-18 22:46:13
赤司征十郎の独白 @aksryouki

それが真実であろうと、無かろうと。僕が真偽を確かめるまで、その可能性は肯定されないし否定もされない。シュレーディンガーの猫…、そんな存在だ。……だから僕は死にきれない。この歪んだ世界に尚も身を置き続ける。その有り得ない「奇跡」への期待だけが、僕を彼岸に繋ぎ止めてくれる。

2012-12-18 22:47:12
赤司征十郎の独白 @aksryouki

……沈んでしまった闇の底。歪んだ幻覚の世界から抜け出す為に、僕が出来る事は…声を張り上げる事くらいだ。この世界が何かの間違いで、彼らの生きている場所に繋がる事があれば、彼らの耳に声が届くように。そうして彼らの声が僕に届く事があれば、それを聞き洩らさないように、僕は耳を欹てておく。

2012-12-18 22:48:12
赤司征十郎の独白 @aksryouki

彼らに声が届く時、彼らの声が僕に届く時、その時こそ僕はこの世界を捨てる事に何の未練も無くなるだろう。全てが幻覚だったと、心から信じる事が出来る。それまで僕は叫び続けよう、喩えこの喉が嗄れたとしても。夢枕でも幻覚でも何でもいい、この声が、僕のキセキ達に…お前達にどうか届くように。

2012-12-18 22:49:40
赤司征十郎の独白 @aksryouki

何を語りかけよう?淡い夢の中で、誰でも語れる耳触りの良い事を言っても聞き洩らされてしまう。…注意を大いに引き付けるような言葉がいい。神経を逆撫でし、ぞくりと身を粟立たせるような、刺激的な言葉がいい。猟奇的な言葉がいい。夢から覚めても記憶に残る位に、印象的な物語を紡ぎ続けよう。

2012-12-18 22:51:07
赤司征十郎の独白 @aksryouki

死の話、狂気の話、痛みと苦しみの話。血の香りのする危うい言葉。肉の翻る感触を思わせる言葉。思わず「やめろ」と声を張り上げたくなるような。禁忌と知って、手を伸ばしてしまうような甘美な言葉を。この喉が喩え潰れても、心が完全に壊れてしまうまでは、永遠に語り続けよう。嗚呼、喩え……―――

2012-12-18 22:52:44
赤司征十郎の独白 @aksryouki

………僕の語る言葉全てが、取るに足らない、下らない、独り善がりで、永遠に誰の耳にも届かない……………――――唯の、「独白」であったとしても。

2012-12-18 22:53:29
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