群馬県、よもの話

群馬県、よもの話
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ドブアザ @seeherpee

よも人肌まで温めたカフェオレしか頼まないの。あの人がそうしてくれたから。俺たちの旅路に道しるべはいらねえ、ただ進む道がストーリーとなる

2010-08-09 22:11:21
ドブアザ @seeherpee

よもカピバラさんに包まれてねむるの。勘違いすんな俺たちはそんな目的で歌うわけじゃない

2010-08-09 22:13:47
ドブアザ @seeherpee

よもの生まれるずっと前にロシアで一度時代が変わったが、ごく僅かの人間の中で革命は終わっちゃいなかった!!

2010-08-09 22:18:06
ドブアザ @seeherpee

革命が終わってもままならぬ暮らしは続いた。スターリンの個人崇拝だけが加速する中で誰かが気づいた。本当の敵はロマノフなんかじゃなかった、人間らしさを求めた戦争で最も失ったものは人間らしさだった

2010-08-09 22:22:11
ドブアザ @seeherpee

よも暑さで溶けそうな時はクーラーをつけるアイスたべる地べたに溶ける。西側は赤い旗を見て勝利に酔いしれた。結局のところ人の欲に拍車がかかっただけに過ぎなかった

2010-08-09 22:28:50
ドブアザ @seeherpee

よもの群馬県は世界の終わりみたいな場所、風も吹かない。ゴミが太陽の熱で自然発火して煙だけがそこかしこであがる

2010-08-09 22:31:39
ドブアザ @seeherpee

よもの群馬県では20年前大きな戦争が起こって、村の大人の半分が死んだ。そのあと大陸の人々によって神がくれた大地に長い点線が引かれた。その点線は国境と呼ばれて、よもの国は分断された

2010-08-09 22:40:20
ドブアザ @seeherpee

群馬の人たちは迫害された。女と子供はどこかへ連れ去られ、男は働かされた。群馬の人たちは厳しいくらしを乗り越えるため、壊された神に代わり、新しい神を作り、支配からの解放を願った。よもは思った、人間は祈っている姿がいちばん美しい

2010-08-09 22:43:10
ドブアザ @seeherpee

西群馬の娘たちが街で遊んでいるその時、よもは1人寂しくあの石原の草を刈る。その寂しさでよもは詩を作った歌を歌った。誰もきくことがない歌が、荒れ果てた群馬の廃墟にこだました。希望をなくしただ祈る大人たちにその声は届いただろうか

2010-08-09 22:54:11
ドブアザ @seeherpee

よもは思った、ビートルズを知らない大人が多すぎる。裏で戦争のシナリオを描いていたのは北海道政府だった。日光は搾取され続けた。群馬県はどんよりと曇り続け、煙だけが上がる。人々の心まで、植民地根性が根付いていった。もはや希望などない。よもの持っているラジオから、ビートルズが流れた

2010-08-09 23:03:39
ドブアザ @seeherpee

狂った支配はいつまでも続かない。神に祈りが届いた瞬間だと思った。南関東共栄圏の支配が終わり、国連政府の戦車が秩序の名のもとに、大事を踏みならしていった。結局のところ、天幕の色が変わっただけで、群馬県から太陽が見えなかった。よもは生まれてこのかた一度も星を見たことがないのだ

2010-08-09 23:12:30
ドブアザ @seeherpee

夏だけヒロシマとナガサキとオキナワに人が集まる。ニュースキャスターは毎日棒読みで群馬県の悲惨な暴動の様子を伝える。結局は他人事なのだ、痛みを分け合うことはできない。テレビを観てよもはそんなことを思う。こんな群馬でも、誰かが何かを願った結果なんだろうか。見たことがない星のことを思う

2010-08-09 23:25:28
ドブアザ @seeherpee

国連政府が金目の物を戦車に詰み込み、群馬県から手をひいた。かつて民のヒーローとして悪を破った革命家は、何かを壊すことに長けていたが、国を治める才能は一切なく、彼が配ったプロパガンダ・ポスターに描かれていたブタのような権力者と瓜二つに見えた。よもはそれを拾っては部屋に隠した

2010-08-10 00:08:20
ドブアザ @seeherpee

よもの家はトタンで出来ていた。集落の半分が廃墟なのだ、ゴミの山から物を拾って一生暮らす。雨が降ると、トタンが鳴く。トタンの鳴き声は、人々のすすりなきをかき消してくれる。よもはこの時間が好きだった。拾ってきた雑誌を読む。人類がまだ布で出来た服を着ていた時代のファッション雑誌

2010-08-10 00:16:39
ドブアザ @seeherpee

群馬県には風が吹かない。よもは走ったり、山肌から滑りおちる時だけ風を感じた。疲れた大人は風など知らないという。あなぐら団は人々の心に入り込み、勢力を広げた。風の吹かないこの国で逆風に向かってどうだとかいう教義によもはナンセンスを感じていたが、人々はそんなこと構わないようだった

2010-08-10 00:56:59
ドブアザ @seeherpee

群馬県は自治権を取り戻し、平和が訪れ、復興の兆しが見え始めた。ニュースがそう伝えたので、他国の人間にとっては、もはやそうなのだ。歴史の教科書の上で、群馬県は平和な国になった。今日もよもは目の前で倒れた老人を見た。破られるガラスを見た。その光景に慣れ始めている自分に気付いた

2010-08-10 00:38:57
ドブアザ @seeherpee

何かを思う、考えることは大切なことだ、そう教えてくれた近所のじいさまは酔っ払って赤の広場でくたばった所をあなぐら団に殺された。よもはじいさまの教えを守って、祈るフリをして思索にふけった。考えれば考えるほど、よもと幸せの間に孤独が入り込んだ。群馬県に平和が訪れたとニュースが伝えた

2010-08-10 00:29:20
ドブアザ @seeherpee

国連政府は戦災復興と称して、軍服の教師を群馬県に送った。数学、歴史、戦争のこと、平和とは何か、悪い奴は誰か。そんなことよりよもは、見たことがない星空や、ミルキーウェイや、海の向こうのことが聞きたかった。軍服の教師の腰には銃剣が光っていた。戦争はやめよう、戦争反対。銃剣が光っていた

2010-08-10 01:15:51
ドブアザ @seeherpee

週に一度開かれる軍服の教室でよもに初めて友人が出来た。栃木の子供で、肌の色が群馬県民より少し浅黒かった。故に彼はよく嫌がらせを受けたが、全く気に留めずよもと歌を歌って帰った。よもは彼に、よもの作った歌を教えた。彼は笑った。そんなの歌じゃない。よもは泣いた。彼は次の週から姿を消した

2010-08-10 01:30:11
ドブアザ @seeherpee

「成し遂げた後も痛みは無くならない。理想の楽園を作ったとしよう、やがて楽園の外の人々に打ち崩される。痛みは無くならない」それが世紀の極悪人が最期に残した言葉だった。彼はかつて革命軍の英雄だった。人々は配給のパンについて、いつしか味ではなく量や日持ちのことしか考えなくなっていた

2010-08-10 01:47:14
ドブアザ @seeherpee

人が歳をとるのと同じスピードで速く遅く時代は変わる。よもは逆立ちが出来るようになった。逆立ちして見渡した群馬県は、煙が下へ降ってゆき、普段雪のように降る灰やゴミがまるで見たこともない星空のように鈍く光って見えた。人が歳をとるのと同じスピードで速く遅く、煙を吐き、灰が降る

2010-08-10 01:52:03
ドブアザ @seeherpee

群馬の国旗の赤色は民衆の血を、鎌とハンマーは美しい労働を意味するが、それに絡まるヘビはこの国の中枢部に巣食う権力の腐敗を表していると民衆は皆思っていた。だがいずれ民衆はいともたやすく痛みに慣れ、テレビの言葉を信じはじめた。愚かなのではない。人間はそんな生き物なのだとよもは思う

2010-08-10 16:34:14
ドブアザ @seeherpee

革命戦争の後、群馬県にはおよそ30の宗教が誕生した。それぞれの神はそれぞれ異なる教義を唱えたが、他の神に容赦しないという点では全て一致した。神の名のもとに違う神の子を迫害した。それを見た別の神は失意のうちに一晩でおよそ30000トンの涙を流し、それが多数の沼となった

2010-08-10 16:39:49
ドブアザ @seeherpee

革命の直後、秩父山の奥地にとある収容所が建設された。前時代の権力者どもは皆処刑されるかそこへぶち込まれた、はずだった。実態は革命軍が権力者へ与えたリゾート地に過ぎなかった。民衆は自らの血を流し、滑稽で大掛かりな猿芝居を見せられていたのだ。シナリオを書いたのは北海道政府だった

2010-08-10 16:53:42
ドブアザ @seeherpee

おおよそ予想しうる最悪のシナリオはすべて辿ったが、群馬県はゆるやかに回復を始めた。このシナリオ考えた者がいるとすればそいつが悪魔かもしれないが、間違いなくその悪魔は今人間の姿をしてこの世にいるのだ。ビートルズは解散し、よものラジオからイマジンが流れた。悪魔にイマジンは届かない

2010-08-10 17:11:42