茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第797回「良い知ったかぶり、悪い知ったかぶり」
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よわ(1)メルマガ『樹下の微睡み』には、最近、新しい動きが二つ起こった。一つは、「私塾化」。英語塾を皮切りに、私塾的要素を強めていくつもり。もう一つは、弟子、植田工の漫画の連載が始まったこと。毎回日本載っている。例えば、先日の号は、こちら。http://t.co/JOxzvGut
2012-12-07 06:58:46よわ(2)今紹介した5コマ漫画の中で、植田工(@onototo)は、私と新宿にに向かって歩いていた時のある出来事を書いている。新宿二丁目の少し手前に、「円朝住居跡」の表示があった。「ここに円朝が住んでいたのか!」と驚き、感激して立っていると、隣の植田が、ぽかんとしている。
2012-12-07 07:00:32よわ(3)「お前、ひょっとして、まさか、円朝を知らないのか?」と私が言うと、植田は、「え〜と、その、なんか話を聞いたことがあるような気がするのですが、落語家さんですよね。。録音か何かで。。」とかごにょごにょ言っているので、その時点で、植田が円朝を知らないことがわかった。
2012-12-07 07:01:36よわ(4)それで、私は植田に言った。「お前さ、円朝知らないと、マジでやばいよ。円朝は、明治の大文化人じゃないか。近代落語を確立した人。あまりにも偉大なので、その名跡は、長島茂雄の背番号と同じで、永久欠番。それを継ぐ人はいないから、お前が録音を聞いたはずがない!」
2012-12-07 07:03:08よわ(5)それで、植田は、ごにょごにょ言って、そのまま一緒にカルチャーセンターまで歩いていったのだが、植田が偉かったのは、その後、良い知ったかぶりをしたことである。さっそく円朝について調べて、その後、友人などに会う度に、「あのさ、円朝っているじゃない」と吹かしていたらしい。
2012-12-07 07:04:13よわ(6)良い知ったかぶりとは、自分が何かを知らなかった時、それをきっかけに自分を変えたり、伸ばそうとすることである。出会っていない、ということはあるんだから、知らないこと自体は恥ずかしくない。問題は、その後、どれだけ自分で補い、自分のものとすることができるかということだ。
2012-12-07 07:05:21よわ(7)かくなる私も、知ったかぶりをしたことがある。数年前、池上高志(@alltbl)が、「三島由紀夫の豊饒の海を読んでいないやつはダメだよなあ」と言うから、「そうだそうだ」と口を合わせていたが、実は読んでいないでその後慌てて読んだ。高志の言うように良かった。春の雪から天人五衰
2012-12-07 07:07:46よわ(8)悪い知ったかぶりとは、適当にお茶を濁しておいて、放置することである。良い知ったかぶりが背伸びをするのに対して、悪い知ったかぶりは、今の自分で良いと開き直る。まだ出会っていないものに出会った時、良い知ったかぶりをするか、悪い知ったかぶりをするかで、伸びしろが決まる。
2012-12-07 07:08:55よわ(9)どんな人だって、すべてのことに出会っているなんてあり得ない。問題は、何かに出会って、自分の至らなさを知った時、それをつかもうと、ぐっと背伸びすることじゃないかな。そんな大切なことを、例えば子どもたちに教えてあげればいいと思う。学びは態度(attitude)である。
2012-12-07 07:09:55