茂木健一郎氏 @kenichiromogi 第９７９回【いい本を読まないと、文章は書けない】連続ツイート

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート９７９回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日の連ツイは、昨日思ったこと。

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いぶ（１）以前からお誘いを受けていた、平塚駅前の升水記念市民図書館におじゃまして、読書の話をした。本は、読んだだけ足もとに重なって、その上から世界が見える。十冊読んだ人は十冊、１００冊の人は１００冊の高さから、その分遠くまで世界を見晴るかすことができる。

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いぶ（２）それで、子どもの頃の私の特徴は二つあった、という話をした。一つは、日本鱗翅学会に入って蝶の研究をしていたということで、もう一つは多読。図書館から本を借りてきて、一日で５冊読んじゃう、みたいなことをしばしばやっていた。会場に鈴木芳雄さん（@fukuhen ）がいたから、

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いぶ（３）よっしー鈴木さん、文章を書くためにも、やはり読書体験必要ですよね、と言った。そしたら、帰りの電車の中で、よっしーが言った。結局、人は、自分の読んだ文章の範囲でしか、文章を書くことはできないのだと。たとえば会田誠さん（@makotoaida）は文章がうまいが

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いぶ’（４）その会田誠さんは、小林秀雄や三島由紀夫を愛読していると。小林秀雄に到っては、崇拝する余り鎌倉の旧邸にまで行ったことがあると。会田さんは現代的かつポップな作風のイメージだが、読むべきものを読んでいるから、その文章には何とも言えない味わいがある。さぼっちゃダメだ。

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いぶ（５）さぼっちゃダメだ、と言ったのは、弟子の植田工（@onototo）に対してであって、先日、こんなことがあった。植田が一年お世話になったギャラリーの総括の文章を、書いて送ってのだけだどダメだ、と不採用。読んでみると、確かにひどい。それで、植田が目の前でぐだぐだ１時間

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いぶ（６）書いても、まだまともなものが書けない。ぼくは業を煮やして、「こうやって書くんだよ」と言って、植田の見て居るまえで、そのギャラリーの文章、書いちまった。１０分くらいで書いて送った。それが採用になった。だから、ぼくは、植田工のゴーストライターをしたことになる。

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いぶ（７）それで、昨日、植田工が、剛力彩芽の髪型をマネして喜んでいたから、 http://t.co/xIYiCnlz76　そんなことよりも本を読めとオレは言った。いっしょに日本テレビ『世界一受けたい授業』の収録に行き、本番前のトイレ、ｉＰｈｏｎｅで２０回目くらいの『三四郎』読了。

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いぶ（８）植田に言った。お前なあ、いい画家は、いい文章を書く。会田誠さんだって、大竹伸朗さんだって。だから、お前も、『三四郎』くらい読まなくちゃダメだぞ。だいたいお前はまともな恋愛ができない。美禰子と三四郎のあわいに触れろ、お前には文学的感性が足りないんだよ。

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いぶ（９）そしたら、最近ｉＰｈｏｎｅ５にしてうれしくてやたらと見せびらかしている植田工は、神妙な顔をして青空文庫のアプリで『三四郎』を落として読み始めた。いい本を読まないと、文章は書けない。果たして植田工はおもしろい文章を書くまともな画家に、なれるのでしょうか。

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以上、連続ツイート９７９回「いい本を読まないと、文章は書けない」でした。