ICRPタスクグループ84 要約レポート:日本の原子力発電所事故で明らかになったことと、放射線防護システムの改善への提言(訳)
提言
【ICRPレポート】 提言 ここで当タスクグループ(TG)が示した事項に取り組む際には助けとなる国際的なガイドラインが十分手に入るが、今回の事故の経験から学ぶべきことも数多くある。当TGは、以下に示す目的のためにICRPが行動を起こすことを提案する。
2012-12-15 17:15:26【ICRPレポート】 ・放射性物質を体内に取り込むことによる潜在的な危険(訳注:~を過度に恐れる必要のないこと)が適切に翻訳されること
2012-12-15 17:15:55【ICRPレポート】 ・公衆の防護レベル(子供、幼児、妊婦及び胎児を含む)や関連事項(公衆被曝のカテゴリー、緊急時被曝状況から現存被曝状況への移行、非難地域の居住再開など)に対する推奨案が整合性を持ち、正しく理解されること
2012-12-15 17:16:15【ICRPレポート】 ・放射線事故によって引き起こされた深刻な精神的影響について、緩和するための戦略が模索されること
2012-12-15 17:16:35【ICRPレポート】 ・事故後における放射線防護方針に関する情報共有促進の失敗を真摯に受け止め、推奨案を示してこうしたコミュニケーションの失敗を最小化するよう取り組むこと
2012-12-15 17:23:14【参考】
責任者のゴンザレス委員の見解を紹介した業界情報誌の記事内容抜粋
参考として、責任者のゴンザレス委員の見解を紹介した業界情報誌の記事内容を抜粋して紹介しておきます。所見の一つは、「汚染」の概念が日本国民にとって明確でなく、そのため実際にはごく一部しか汚染されていない土砂やがれきを全て汚染されているとして処理しているとの指摘です。
2012-12-09 10:58:40また、日本の当局が食品の規制に関する国際的な体系の複雑さに困惑し、制限の指標を時につれて変更したことで人々の間に混乱を引き起こしたことも指摘しています。
2012-12-09 10:59:23ICRP勧告にはチェルノブイリでの教訓が既に取り込まれていたにもかかわらず、緊急時計画や対応などの対策が日本の基準に取り入れられていなかったとも述べられています。
2012-12-09 11:01:05ただし、放射線リスクを公衆に説明することの難しさは認めており、実効線量と等価線量のような防護体系における量や単位の違いは専門家ですら必ずしも理解しているとは限らない、と述べています。
2012-12-09 11:01:31日本では、特定臓器に対する影響の等価線量と、全身への影響の尺度である実効線量が同じ単位を持つため発表の中で混同されている、と指摘しています。日本国民はICRPが勧告した取り組みの根拠を誤解し、メディアは「残念ながらこの誤解に寄与した」と指摘しています。
2012-12-09 11:01:57子供への影響について、日本では当局が定めた参照レベルである20mSv/年が小児にとって高すぎるという懸念が多くあったことも指摘しています。ICRPは、小児および幼児に限定した勧告を出したことはありません。全人口と成人に対するリスクの差が約30%と「比較的小さい」ことが理由です。
2012-12-09 11:02:31既に訳した部分にもありますが、「事故後であれ、予防的であれ、放射線被曝状況を健康影響の原因と見なすために少量の特定個人線量が集積された集団線量を用いてはならない」ことの科学的理由を公衆に説明することが「極めて重要である」と指摘しています。ここは解説が必要な所でしょう。
2012-12-09 11:04:23ゴンザレス委員は、ICRPの指針の変更は約10年ごとに作成される次回の勧告に取り入れられることになる、と述べています。しかし、同委員は主勧告を変更せずに解決できる問題もあるとも述べています。
2012-12-09 11:04:44その例として、リスク因子、健康影響の原因を低線量によるものとしないことの必要性、および事故時の救助者やボランティアに関する指標の明確化を挙げています。
2012-12-09 11:05:24的確な指摘と多くの示唆に富んだレポートですが、ICRPを原発村の手先の悪の組織と信じている人にとってはその信念を補強することにしかならず、一番届くべき人達の心には届かないんだろうな、というのが歯がゆいところです。
2012-12-09 11:07:58