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2012年12月28日

小豆川先生による、検出限界は下がるよ~ど~こまでも♪

検出限界を下げるための職人技、こだわり。今回もわかりやすく5ツィートでまとめてくださいました。
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まとめ 小豆川先生による「検出限界」の簡単な説明 検出限界値が示されないと、NDでもしっかり測ったのかわからないということ。 検出限界をできる限り下げて測るためにはどうすればいいのか、小豆川先生による簡潔なわかりやすい説明です。 昨日(8月27日)話題になっていた、富山の玄米の表示についても追加しました。 19645 pv 251 4 users 13

ただのK. Shozugawaです @sunbaiman

検出限界についてよくご質問をいただくので、もう一度簡単に5ツイートで。

2012-08-27 20:52:39
ただのK. Shozugawaです @sunbaiman

1.検出限界値は機械が「これより小さな値は多分無いなぁ」と判断している値。検出限界を下げるためには、長い時間とたくさんの試料が必須です。

2012-08-27 20:53:07
ただのK. Shozugawaです @sunbaiman

2.長い時間かければかけるほど、スペクトルのギザギザが小さくなり滑らかになってきます。そうすると検出限界は小さくなります。

2012-08-27 20:53:18
ただのK. Shozugawaです @sunbaiman

3.たくさんの試料があると検出限界は小さくなります。容器に入りきなければ、水分を飛ばしてカッサカサにすればもっと試料を突っ込めます。この作業を「灰化」と言います。

2012-08-27 20:53:36
ただのK. Shozugawaです @sunbaiman

4.灰化は検出限界を落とす非常に効率の良い方法です。前処理に時間はかかってしまいますが、長時間測るよりも効率がいいのでその価値は十分あります。

2012-08-27 20:53:49
ただのK. Shozugawaです @sunbaiman

5.なぜ灰にするのか。低線量の試料はできるだけ濃縮したほうが、放射能を正確に測れます。灰にすると体積が小さくなり水分が飛ぶので測りやすくなります。その過程は焼却炉の灰での濃縮と同じ理屈です。

2012-08-27 20:54:14
ただのK. Shozugawaです @sunbaiman

補足ツイートも。この画像はブルーベリーを灰化している途中の画像です。「灰」にまでしてしまうと、飛んで行ってしまうので、炭のような状態に仕上げるのがコツです。 http://t.co/ANxo4lVs

2012-08-27 20:57:36
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ただのK. Shozugawaです @sunbaiman

「検出限界」は簡単に操作できるということが意外に知られていないです。最高の分析感度を誇るGe半導体検出器を使っても、いい加減に測れば自ずと検出限界は跳ね上がります。

2012-08-27 20:57:59
ただのK. Shozugawaです @sunbaiman

検出限界値以下の値は不検出(ND)と表記されることが多いのです。でも、もしNDとだけ表記されてしまうと、「きっちり測ってND」なのか、「いい加減に測ってND」なのか判断がつきません。

2012-08-27 20:58:20
ただのK. Shozugawaです @sunbaiman

そのため、本来はNDの脇には検出限界値も同時に示されなければいけないのです。検出限界が分かれば、きちんと測ったのか、いい加減に測ったのか簡単にわかります。

2012-08-27 20:58:48
ただのK. Shozugawaです @sunbaiman

(意図的かどうかはともかく)検出限界を上げた状態にして測って、「ND」とだけ表記する方法があちこちで見受けられています。高線量の試料ならあんまり関係ありませんが...うーむ。

2012-08-27 21:00:06

ここまでが、以前のまとめにある説明。
ここからが今回のお話です。

ただのK. Shozugawaです @sunbaiman

市民測定所などで、「検出限界はxx Bq/kg」という文言をよく見かけますが、研究者が本気で検出限界を下げるとどこまでいくのかについて、5ツイートでちょろっと紹介。(研究者は本来こういう仕事が得意)。

2012-12-28 17:51:54
ただのK. Shozugawaです @sunbaiman

1.検出限界を下げるためには、バックを下げることが最優先課題です。まず、宇宙線の影響を抑えるために、坑道内にゲルマを設置します(今回紹介する例は地下1400mの坑道内)。これに厚さ70mm以上の銅を内部遮蔽をかけて、元のバックの1/100くらい。

2012-12-28 17:52:46
ただのK. Shozugawaです @sunbaiman

2.次に、遮蔽材に放射性物質が含まれていないものに変えること。日本の場合、戦艦陸奥を引き上げて作った遮蔽用の鉄が有名です。今回の例では400年以上前に沈没したスペインの軍艦から回収された鉛を使用。これで元のバックの1/1000くらい。

2012-12-28 17:53:20
ただのK. Shozugawaです @sunbaiman

3.さらに、半田の中に含まれているごくごく僅かな115Inを除く処理をして、元のバックの1/10000くらい。

2012-12-28 17:54:02
ただのK. Shozugawaです @sunbaiman

4.さらにさらに、Ge結晶中にごくごくわずかに含まれる68Geを除く。これをやるためには、鉱山でGe鉱石を採掘するときからインゴットを作るまでに、宇宙線に当たらないように、つまり地上に出しちゃいけないし、飛行機にも載せちゃいけない。これをやって元のノイズの1/100000くらい。

2012-12-28 17:54:30
ただのK. Shozugawaです @sunbaiman

5.ここで紹介した以外にも、複数のゲルマを使って同時計測したり、コンプトンを差し引いたりして余計な情報を落とす技術がありますが、遮蔽はすべての基本です。

2012-12-28 17:55:04

コメント

雑草スレイヤー@通勤/在宅 @gc_cic 2012年12月28日
もしかして放射性同位体を取り除いた原料で作った、放射線測定器専用のハンダとかがあるのでしょうか?
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あのに増田 @hermatype 2012年12月28日
ちょっと興味が湧いたので調べてみました。そもそもインジウムの同位体分離が3年前でhttp://bit.ly/U5wF3xという状態なので、あるかないかといえばあるんでしょうが、まあ自動車におけるF1みたいな位置づけなんじゃないでしょうか。
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雑草スレイヤー@通勤/在宅 @gc_cic 2012年12月28日
同位体を分離したハンダが実現できる技術的なメドが立ったのはごく最近なんですね。割と古くからそのようなハンダが放射線測定器向けに供給されているのかと思ってしまっていました。
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Susanna Yukari Oseki @niigatamama 2012年12月30日
実際にどこまでお金と労力をかけてやるのかは、個々の選択肢でよいと思います。ただ、今持っている機器を最大限に活かすために、窓際に置いておくなどということはせずに、可能な範囲内での遮蔽をしてくださればよいのだと思います。バックグラウンドの低い部屋に移すだけでも違うのではないでしょうか?
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あのに増田 @hermatype 2012年12月30日
おっしゃるとおり、プレハブ建屋と遮蔽室では測定精度が大きく変わります。昨年こういう議論がありました(http://bit.ly/10ysx1y)。が、測定精度の向上は職人技とかこだわりによって実現できるものではなく、人手、予算、時間が必要であることをご理解ください。そして、本当にその精度で測定する必要があるのかについても気をつけていきたいものですね。
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Susanna Yukari Oseki @niigatamama 2012年12月30日
小豆川先生をはじめとした、TL上にいらっしゃる多くの方々にご相談しつつ、検体作りをしています。測定をお願いしに行く側からもできる、検出限界を下げるためのさまざまな試行錯誤をしてきております。 http://togetter.com/li/273721
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Susanna Yukari Oseki @niigatamama 2012年12月30日
@hermatype さま。ご紹介のまとめを作られた @parasite2006 様と早野先生には、測定者の方々とのやりとりにあたって、スペクトルを見ていただき多くのご助言もくださり、ほんとうに助かったのです。
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hiroharu.minami @hiroharu_minami 2012年12月31日
「放射能の高感度測定にはコストのかかった高度な機材と、それを安定して運用し得る技量を持った人手が必要で、手間のかかる前処理も重要、コンタミ厳禁……」と色々困難で高コストである事が分かるまとめじゃないかなー とは思うんだけどね。
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