茂木健一郎の朝post10.08.19 「効率」

茂木健一郎 @kenichiromogi

効率（１）何かの目的を達するための作業を、なるべく短い時間で、少ない手数で実現するという「効率」（efficiency）は、いきいきと生きるためにぜひとも必要なことである。

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効率（２）効率を追求することは、単なる経済性の問題ではない。必要なことを少ない労力で行うことで、他のことをする時間を確保し、エネルギーを得ることができる。効率の追求こそが、創造性にもつながる。幸福の基礎となる。

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効率（３）できるだけ長く仕事場にいるとか、長い時間をかけて作業をすることを尊ぶのは間違っている。むしろ、必要な仕事を済ませたら、さっさと帰ることで、ワークライフバランスを図ることができる。

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効率（４）夏目漱石の『坊っちゃん』には、授業を終えたのに、決まった時間まで学校にいなければならない愚を坊っちゃんが嘆く場面がある。この頃から、長く職場にいること自体を尊ぶ日本のメンタリティは変わっていない。

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効率（５）生物の進化論の発祥の地であるイギリスでは、新聞によくefficiency（効率）やredundancy（冗長性）といった言葉が並ぶ。とりわけ、公共部門の出費や仕事ぶりについて、それを効率化すべきだという社会的圧力は強い。

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効率（６）公共部門の効率を下げる最大の要因となるのは、書類（paper work）であろう。書類を作ること自体は、社会に何らの実質的富も、効用（utility）ももたらさない。書類作成自体が自己目的化するのは、ナンセンスである。

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効率（７）公共部門は、一つひとつの書類について、本当にそれが政策実現のために必要なのか、省略できる書類はないのか、常にチェックすべきであろう。

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効率（８）大学で１−２時間の講演をして、交通費をもらうだけなのに、履歴書を出せと言われて目を白黒させたことがある。なぜ、交通費をもらうのにその人の履歴が必要なのか。これは極端な場合だが、似たような書類偏重主義、意味のない形式主義は至るところに見られる。

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効率（９）民間企業においては、効率を追求するのは当然のことである。一方、公共部門のメンタリティは重い。コンピュータのクロック数で言えば、数倍の差があるのではないかと実感される。

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効率（１０）効率を追求することは、生物としての身のこなしの美しさに通じる。蝶の羽ばたき、チーターの疾走。効率を極めた軌跡は、見る者に快感を与える。

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効率（１１）公共部門の人たちの働きぶりを見て、蝶の羽ばたきやチータの疾走を目の当たりにしているように感じられるか。ここに、日本再生を考える上での重要なポイントがある。

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効率（１２）仕事はとっとと終わらせろ。無駄な書類をつくるな。設定された目的から見て、今自分がやっていることが本当に必要か常に検討せよ。そうして余った時間を、創造的なこと、人生を楽しむことにたっぷりと使え。

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以上、効率についての連続ツイートでした！