心はどのように支配されるか――洗脳と従属の構造

2012年11月13日のNHK、ニュースウォッチ9の番組内で取り上げられた尼崎事件に関する報道の内容をまとめ、コメントを少しつけました。 洗脳‐従属の関係性がいかに簡単に引き起こされるか、そしてどのようにして人々は無抵抗になってしまうのか、番組ではそれが詳しく紹介されてます。
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qigong_ws @qigong_ws

【心はどのように支配されるか――洗脳と従属の構造】以前、「尼崎スタイル」と称した洗脳の技法について少し解説した。こちらはmedtoolzさんによる分析を基に、カウンセラーの高石さんと会話したことから生まれた概念で、複数いる関係者の間でどのように支配権を握ることができるか(続)

2013-01-05 21:14:59
qigong_ws @qigong_ws

についての構造を少し明らかにしたものだった。下記ブログの記事などをご覧ください。 http://t.co/pOB8yW2r http://t.co/Ap3CQ019

2013-01-05 21:15:32
qigong_ws @qigong_ws

(1)一方、一対一の関係で相手を自分に縛り付ける手法も明らかになっている。昨年(2012年11月13日)のNHKニュースウォッチ9にてとても興味深い特集がなされていた。その内容をまとめて呟く。なお、私個人の意見については、(E:)として記しておく。

2013-01-05 21:16:51
qigong_ws @qigong_ws

(2)番組中では、ある女性に実際に起こった支配的な出来事をモデルケースとして、何が起こっていたのかの詳細を明らかにしている。いかに簡単に人が人に支配され、従属的な関係に堕ちていくのかの報告であり、これは誰にでも起こりうることだと思われる。

2013-01-05 21:17:19
qigong_ws @qigong_ws

(3)ある女性。彼女は何らかの事情で100万円ほどの借金があった。なかなか返せずにおり、非常に困苦していた。とあること(E:詳細は明らかにされてない)で30代後半の男性と知り合い、喫茶店などで会うようになった。

2013-01-05 21:17:59
qigong_ws @qigong_ws

(4)男にもその借金の話を相談するようになった。最初は普通に聞いていた男だが、次第に「これは到底返せる額ではない」「大変なことだ」と彼女の不安をあおるようになった。そう言われ続けた彼女の不安は増大した。

2013-01-05 21:18:51
qigong_ws @qigong_ws

(5)そうなったところで、何度目かにあった時、男は唐突に100万円を彼女に手渡し「これで返済しなさい」と申し出た。この時点で窮地を救われた彼女は相手を信用してしまった。

2013-01-05 21:19:23
qigong_ws @qigong_ws

E:不安の開示/不安の発見→不安の増大→不安の解除(カタルシス)→安堵→解除者への信頼(依存)。この図式が洗脳におけるスタンダードな入り口であろうと考えられる。不安、あるいは悩みを発見したらそれを煽りつつ、その気持ちを安心させる方法によって、こちらを信頼させることに成功する。

2013-01-05 21:19:56
qigong_ws @qigong_ws

E:しかし、この「不安の開示」の時点で大きなアドバンテージを先方に明け渡していることになってしまうのだ。それが故に、この支配‐従属関係から抜け出せなくなる。特集ではそれほど重要視されていなかったが、これは重要なことだと思う。その詳細は後ほど紹介する。

2013-01-05 21:21:00
qigong_ws @qigong_ws

(6)女性は男性に言われるがまま同居を始めた。同居が始まると身の回りのことで金が必要だ、と男は新たな借金を迫った。女性は借金返済の義理もあり、それを断れなかった。次第に不信感を抱くも外出すると「連絡しろ連絡しろ連絡しろ」というメールが何通も届いた。

2013-01-05 21:21:38
qigong_ws @qigong_ws

(7)あまりの異変に距離を置きたいと彼女が言うと、男性は暴力をふるうようになった(E:暴力による支配/メールによる管理)。彼女も逃げようとは考えたが、結果的に捕まった時のことを考えてしまったそうだ。

2013-01-05 21:22:05
qigong_ws @qigong_ws

(8)逃げて捕まってまた暴力を振るわれるくらいなら、男のそばにいて、大 人しくして暴力を振るわれないようにすればいい、と考えてしまった。 その結果、逃げようという意思がなくなっていく。

2013-01-05 21:22:24
qigong_ws @qigong_ws

(9)立正大学の西田公昭先生によると、こうした状況は「学習性無力感」と呼ばれ、「無力であると逃げることができない」ということを学習してしまったことによって起こる心理状態である。

2013-01-05 21:23:04
qigong_ws @qigong_ws

(10)自分が逃げようとして捕まった、あるいは関係者が逃げようとして捕まったことを目撃することにより、もう逃げられないという心理+思い込みが学習されてしまう。それが「学習性無力感」。

2013-01-05 21:23:39
qigong_ws @qigong_ws

E:これに対しても認知行動療法的なフレームチェンジは有効で、それを知って使いこなせれば、こうした思い込みからは脱することができる。フレームチェンジはあらゆる洗脳(マインドコントロール)に対する一種の防衛策になり得るのではないだろうか。

2013-01-05 21:24:07
qigong_ws @qigong_ws

(11)男の支配が進むにつれ、女性は「心理的に孤立」させられるようになった。①携帯のアドレス帳を消すように命じられ、外部との関係を遮断させられた。②男は彼女の前で実家の親に電話をかけ、「借金」という親に「知られたくない事実」を暴露した。

2013-01-05 21:24:37
qigong_ws @qigong_ws

(12)そののち、女性を激しく罵った。暴露された女性は実家に連絡をするのを避けるようになり、結果的に完全に孤立してしまった(今なお実家には連絡ができていない様子)。

2013-01-05 21:25:03
qigong_ws @qigong_ws

E:暴力と恐怖による支配が全体図として描かれているのだが、重要なのはその基礎に「相手に対する負い目」「知られたくない秘密の保持」「無力感」という三点があり、これらの三つがミックスされることで、完全に相手に縛り付けられてしまっている。

2013-01-05 21:25:29
qigong_ws @qigong_ws

E:いずれも直接的な恐怖というより、精神的な恐怖であって、そこが真に恐ろしいところだろうと思う。先ほどの支配の構造でも明らかになったことだが、最初の時点で、不安の開示をしてしまっている。自らの悩みや弱点を相手に握られている時点で、極めて状況は深刻なものになっている。

2013-01-05 21:25:56
qigong_ws @qigong_ws

E:カルトなどにおける縛り付けの原点もこの「不安の開示」にあると言えるだろう。あるいは、友人知人関係であっても支配関係が生じてしまう原因には、この「不安の開示」が存在している。

2013-01-05 21:26:43
qigong_ws @qigong_ws

E:自らの不安や弱さを知っていないと、いつでもこの支配関係の扉が開かれているという のがコミュニケーションにおける怖さなんだろうと思われる。ただし、きちんと自分を知ることでフレームチェンジをし、その支配関係から抜け出せるということも付け加えておこう。

2013-01-05 21:27:08
qigong_ws @qigong_ws

(13)まとめとして、前述の西田先生は尼崎の事件の構造に触れ、「長らく支配を受けていると、何が正しくて、何が間違っているかわからなくなる。被害者が加害者になることが一番恐ろしい」とコメントされていた。

2013-01-05 21:27:37
qigong_ws @qigong_ws

E:付け加えるなら、誰が信じられて、誰が信用できないのか。それがわからなくなる。そのことが一番恐ろしいのではないだろうか。これは特殊な事件ではなく、日常のどこにでも潜んでいる出来事であると思う。そして、そこに問題の根深さが秘められているのではなかろうか。

2013-01-05 21:27:58