PSYCHO-PASS×伊藤計劃「ハーモニー」2次創作「常守朱と御冷ミァハが出会ってしまったら」 （その2）

現場猫教授 @Dr_crowfake

「シビュラシステムってのは、変わらない日常を作り出すためのシステム。前を永遠に固定しようってシステム。だけど人間は変わろうとするし、そうでなくても日々変わっていく。でもそれをシビュラシステムは「悪」って検知しちゃう。変わることはアタリマエのことなのに、そのアタリマエを悪にする」

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「世界はね、今の形でずっと続いていくべきだって、シビュラシステムは強制してる。そしてその価値観をみんなに内面化させていく。みんなの中には変わろうとする力が内在しているのに、それを抑えこんじゃう。そんなの、「善」であっても「間違い」だよ」そう、御冷さんはわたしにいった。

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「でもそれがあるから、今の社会は成り立ってるんです。シビュラシステムが指し示すただしさがあるからこそ、人は迷わずに生きていける。こうすればいいんだって納得できる」「フロムって人が書いてた。自由であること、変わろうとすることから人間は逃げたがるんだって。でも、それは逃げだよ」

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「逃げ、ですか……」「そう。実際に必要なのは、自分の中の変わろうとする力を意識し、それを使いこなすこと。それが時に正しさから逸脱するとしても、変わろうとする力がそれを必然として求めているなら、それを受け入れていかなくちゃ」「でも、そんなことになったら、この社会は」

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「うん、ぐちゃぐちゃになるだろうね。でも、枠にはめられて、自分を檻に閉じ込めて、社会の正しさのために生きるのより、そゆ変わろうとする力、欲望が渦巻く中でみんながそれぞれに自分を突き詰めていくことで、新しい世界が生まれる。それはとてもアナーキーだけど、自然なことなんだよ」

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「世界はそうして進歩してきたし、人間はそうやって変わろうとする力を自身と世界のために役立ててきたんだよ。だから、それを否定して、人間を枠にはめ込んじゃうのは、とても不自然なんだ」御冷さんはそう云って微笑み「常守さんは、どっちがいい？　自然な混沌と、不自然な秩序と」そう質問した。

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「わたしは、法の番人ですから」曖昧な答えを返したわたしに御冷さんは困ったような笑顔を向けた。「常守さんは本当に面白いね。自分で自分を律するのって、ある種のSM行為だと思ってるんだけど、その伝でいえば常守さんは筋金入りのマゾヒスト。そゆの、嫌いじゃないな」御冷さんはくすくす笑った。

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「だってマゾヒストって、自分が怖いとか痛いとか思うことに快楽を感じるってことじゃない？　常守さんは自分の中にいる「変わろうとする力」を怖がってる。だけど、常守さんはマゾヒストだから、それが開放された時の恐ろしさにも十分快楽を覚えられる。こっち側に来る資格、十分あるよ」

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「そんなことありえません！」わたしは反論した。だけど御冷さんは優しい笑みを浮かべ。「いつか一緒に、この世界が燃え尽きるのを見よう。この世界が壊れていく恐怖に絶頂してる常守さんの姿を見たら、あたしはとても幸せになれると思うよ」と云った。

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PSYCO-PASS世界、普通にベンヤミンとかフロムとかフーコーとか禁書っぽくてすてき。

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PSYCO-PASS世界の御冷ミァハはDSSチョーカー常時着用でレッドリムの拡現眼鏡をかけた女の子、いつも少し気だるそうにしゃべるCV：田村ゆかりというイメージで。シビュラシステムが定めた禁書をサミズダートというデッドメディアで読みふけってる読書少女。

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ちなみにチェチェン生まれで「赤いバラの屋敷」＞キンダーハイム511を経て日本にやってきたガチの狂人「名前のない怪物」なので、常守さんに御せる相手ではないと思われる。

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自殺未遂及び自殺教唆、ならびに大量殺人計画を立てたため、本来ならリーサルモードで執行されるはずだったのだが、シビュラシステムが彼女の執行官としての可能性に着目し、執行官に任命された。という。