アトレイデス氏のフランスSFについてのツイート

1
アトレイデス @atoreides

押入れから出てきたフランスのSF作家ピエール・クリスタンの短編集「着飾った補食家たち」再読。クリスタンは、アンキ・ビラルのフレンチコミック「罠の女」三部作の原作者なのだけど、小説もまさに「罠の女」的。全体主義の陰鬱な圧力とアナーキーな暴力の錯乱、そのどちらかに常に振り切れた世界。

2010-08-18 11:53:11
アトレイデス @atoreides

「着飾った補食家たち」 テクノロジー上の仮説が外挿されるというよりは、テクノロジー上のガジェットが詩的言語として用いられていて、シュルレアリスム文学に近い触感。作中でディルケーム「自殺論」が引用されるのだが、自殺についての論理的考察も他の言葉との乱反射のために召喚されている印象。

2010-08-18 12:02:56
アトレイデス @atoreides

ピエール・クリスタン作品、小説でもっと読んでみたくなったのだが・・・他に特に翻訳出ていないよう。 「着飾った補食家たち」、サンリオSF文庫刊なのだけど、ああいう文庫サイズでフランスや東欧のSFを紹介してくれるシリーズがまた出てきてくれないものか?

2010-08-18 12:09:46
アトレイデス @atoreides

フランスSF、ジュール・ヴェルヌという巨人がいながら、以降の系譜がほとんど知られていないのは何故なのだろう。自分などは、メルル「イルカの日」やプール「猿の惑星」などといった映画の原作作品くらいしか読んでいなくて。紹介自体がほとんどなされていない?

2010-08-18 12:15:34
アトレイデス @atoreides

「蝿男の恐怖」の原作「蝿」を書いたジョルジュ・ランジュランはその名前からフランス人と思っていたのだが、今検索かけたら、パリ生まれではあるものの、両親はともにイギリス人だった。

2010-08-18 12:18:22
アトレイデス @atoreides

ピエール・クリスタン「着飾った補食家たち」の林芳隆解説を読むと、70年代後半のフランスでは、「政治SF」ヌーヴェルSFフランセーズと呼ばれる運動、ブームあったようなのだが・・・これはどのような作品産み出したものだったのか? 短編作品でもいいから触れてみたいもの。

2010-08-18 12:23:34
アトレイデス @atoreides

成程!「着飾った補食家たち」なども、サンリオSF文庫という出版枠がなかったら、幻想文学として紹介されるしかなかったかもしれません。  RT @serpentinaga: 「幻想文学」カテゴリーに姿を隠してますよね。ジェラール・クランの「怪物」とか。

2010-08-18 12:31:04
アトレイデス @atoreides

クランの「怪物」、読んでみたのですが、いいですねぇ。「宇宙の痰だ」という台詞にはゾクリとさせられました。  RT @serpentinaga: ジェラール・クランの「怪物」とか。

2010-08-18 21:19:18
アトレイデス @atoreides

押入れから80年代に買っていたSFファンジン「イスカーチェリ」のフランスSF特集号ひっぱり出す。 J・P・ムーモンの「フランスSF史」が掲載されているのだが、残念なことに、ムーモンのフランスSF現代史の記述は、70年代後半の「政治的SF」のムーブメントの前までで終わっていた。

2010-08-18 21:41:18
アトレイデス @atoreides

ムーモンのSFの規定付け、「18世紀にヨーロッパで開始された産業革命の落とし子」というスタンスに立ったもので、結果、フランスSF史の記述から、啓蒙主義期の著作がはじかれている。ヴォルテール「ミクロメガス」もまた。

2010-08-18 21:58:05
岡和田晃_Akira OKAWADA @orionaveugle

啓蒙期の著作を抜かれると、まるでSFじゃないみたいな気がしてしまうなあ。うーん。

2010-08-18 22:02:50
岡和田晃_Akira OKAWADA @orionaveugle

@atoreides フランスの政治的SFって、『五月革命1986』のような作品でしょうか? それとも『ニューヨーク革命計画』みたいなお話?

2010-08-18 21:47:24
アトレイデス @atoreides

@orionaveugle  フランス「政治SF」の運動、昨日読んでいたピエール・クリスタンの「着飾った補食家たち」の解説で触れられていたの見て自分も気になっているんですが、どうにも調べる手立てがなくて。ムーモンのフランスSF史が期待だったんですが、やはり記述ありませんでした。

2010-08-18 22:08:16
アトレイデス @atoreides

@orionaveugle 「着飾った補食家たち」解説には、仏共産党支持のクリスタンは「1977-79年の政治的SF(ヌーヴェルSFフランセーズ)の運動に近い立場にあったが、そのペシミズム的すぎる性格には批判的」とありました。何らかの運動が起こっていたのは間違いないようです。

2010-08-18 22:20:22
岡和田晃_Akira OKAWADA @orionaveugle

@atoreides 貴重な情報をいただきまして、ありがとうございました。知り合いのフランス人のSF研究者に会った時にでも聞いてみます。確か彼もフィリップ・キュルヴァルは面白いと言っていました。

2010-08-18 22:14:14
アトレイデス @atoreides

@orionaveugle  キュルヴァル「愛しき人類」 面白そうですね。サンリオSF文庫の英米圏以外のSFの翻訳活動、どこかが引き継いでくれればありがたいのですが。

2010-08-18 22:29:57
岡和田晃_Akira OKAWADA @orionaveugle

キュルヴァルは良いです。ゴダールのある時期の映像が読んでいて浮かんできます。これこそがSFだと思うのですが。 RT @atoreides キュルヴァル「愛しき人類」 面白そうですね。サンリオSF文庫の英米圏以外のSFの翻訳活動、どこかが引き継いでくれればありがたいのですが。

2010-08-18 22:40:50
アトレイデス @atoreides

ムーモンの「フランスSF史 現代篇」 翻訳がほとんどなく、しかし、ブラッドベリやステープルドン、ディックと比較されてくる作品群の紹介読むと猛烈に好奇心引き起こされる。 「未来についての描写は未来語を持って行われるべき」というトロード作品についてムーモンは批判しているのだが・・・

2010-08-18 22:42:12
アトレイデス @atoreides

・・・しかし、何よりもまず、トロードの「未来語による未来の描写」という試み自体への関心がかき立てられてしまった。

2010-08-18 22:47:34
アトレイデス @atoreides

「1984」ニュースピークや「時計仕掛けのオレンジ」ロシア語交じりスラングなど、SFには言語変容の命題が抜き差しがたく在り、ドロードや、ムーモンが「言葉の意味論的技巧」とやはり批判的に語るキュルヴァルなどの、仏SFの言語変容のアプローチが日本でも紹介されてくるのを期待してしまう。

2010-08-18 23:05:07
アトレイデス @atoreides

言及ありませんでした。フランスSF「1941-76」の現代編は、20ページで通史を追いかけるだけになってしまってましたね。  RT @orionaveugle: ムーモンはヌーヴェル・クリティークについては言及していないのでしょうか?

2010-08-18 23:22:20
岡和田晃_Akira OKAWADA @orionaveugle

やはりそうでしたか。ありがとうございます。 RT @atoreides 言及ありませんでした。フランスSF「1941-76」の現代編は、20ページで通史を追いかけるだけになってしまってましたね。  RT @orionaveugle: ムーモンはヌーヴェル・クリティークについては/

2010-08-18 23:25:17
こかだじぇい @kokada_jnet

.@atoreides さんのフランスSFについての一連のツイートが興味深い。一の日会の林芳隆氏は、非英米SFの研究をされていたと最近知ったが。サンリオ文庫のピエール・クリスタン「着飾った補食家たち」の解説を書いていたのか。

2010-08-18 23:31:27
岡和田晃_Akira OKAWADA @orionaveugle

@kokada_jnet 林芳隆さんとはお話させていただいたことがありますが、フィリップ・キュルヴァルについてもお詳しい方であると認識しております。クリスタンについては不勉強ながら知りませんでした。

2010-08-18 23:35:09
アトレイデス @atoreides

林芳隆さん、「イスカーチェリ」フランスSF特集号では、ミシェル・ドミュート「「ガンマ・南」の翻訳に解説もなされていました。一の日会の方だというのは今回初めて知りました。 RT @kokada_jnet: 一の日会の林芳隆氏は、非英米SFの研究をされていたと最近知ったが。

2010-08-19 12:13:05