漫画原作者・喜多野土竜(mogura2001)氏:『作劇を俯瞰する重要性』について

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喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

あまりのダサさに泣こうごたぁるね。野球が分かっていない有名デザイナーに任せると、奇を衒ってダメだね。 : ダイエーの鳥ヘルメットよりださいユニってあるの? http://t.co/Pbv5h6rb

2013-01-12 07:30:58
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

けっきょく、ダイエーは有名デザイナーではない、球団の人間が知恵を出し合って作ったFDHユニフォームの方が断然良かったもんなぁ。コレはかなり示唆的な話で、そのジャンルへの理解や愛情がない人間だと、例え超がつく一流でも容易に失敗してしまうということ。

2013-01-12 07:41:28
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

千葉ロッテも、当初はピンクのユニフォームだったけれど、男の戦闘服ではない、ということでバレンタイン監督が黒基調のモノに変えさせた。けっきょく、そのジャンルへの理解や愛情がない人間がクチバシを突っ込むと必ず「コアなファン以外にも観客を増やさないとダメ」とか言い出す。

2013-01-12 07:47:22
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

で、みんなに親しみやすいデザインとか、女性ファンの獲得とか言い出してファニーなデザインやピンクとか持ち出す。そして、コアなファン層に呆れられ新規の顧客開拓にも失敗してするという愚を繰り返す。「デートムービーならカップルが来るから観客2倍だ、デートムービーじゃないとダメ」と同じ。

2013-01-12 07:51:28
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

翻って編集の現場も、同じ愚をやらかす人間が多過ぎないか? 作家は読者の審査をくぐり抜けていても、編集はただのサラリーマンでしかない。作劇を学んだわけでもなければ読者のジャッジを受けた訳でもなく、適性もわからぬまま仕事をし、ピンクのユニフォームを作家に押し付けていないか?

2013-01-12 07:56:09
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

昨夜、大川隊長とプロレスの組み立てとかレストムーブの話になったけれど、プロレスに限らず物語性のある表現には、必ずダレ場がある。ダレるとは「惰れる」で、怠惰の惰。落語の用語だけれど、作品の中でどうしてもテンションが下がる場所。で、ダメ編集とかこのダレ場を嫌って排除しがち。

2013-01-12 09:11:56
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

連載作品で、主人公が追い込まれたり敗北すると、アンケートの人気が下がるからと、勝って勝って勝ちまくる展開にしちゃう。作劇をちゃんと学んでいない人間が、浅はかな考えでそう言う事をやってしまう。しかし、ダレ場とは単にテンションが下がる場所ではなく、最終的な爆発のための溜めのシーン。

2013-01-12 09:14:34
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

この事を、モンティパイソンが始めての映画作りで経験している。完成前の試写で、観客は最初ドカンドカン笑っていたのに、途中でまったく笑いが起きなくなり、後半またドッカンと笑いが起きた。どこで、受けの悪かった部分をカットして再編集し、再び試写をしたら、奇妙なことが起きたのだ。

2013-01-12 09:18:02
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

最初ドカンドカンと笑いが起きたのは同じだったが、受けが悪かった部分はカットしたはずなのに、再び同じ時間帯で観客の笑いが止まってしまった。映画という長丁場では、人間は笑いっぱなしとはいかず、内容に関係なく構造的に笑いが中断される時間帯が存在するのだ。無理に笑わせようとしてもダメ。

2013-01-12 09:22:33
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

このことが理解できれば、作品作りを俯瞰的に見られるのだが、それができないダメ編集多過ぎ。アンケートが落ちたのでこういう内容はやめましょう…なんてのはバカでも言えること。そうではなくて、作品全体の構造や状況を見抜き、必要なダレ場をむしろ意図的に加えていくぐらいの視点が必要。

2013-01-12 09:25:41
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

そういう作品論以前の、もっと底が浅い部分で、思いつきで物を言ってる編集が多過ぎ。最初の話に戻るけれど、一流デザイナーですら、野球への理解や愛情や経験がないと、機能美を無視した奇を衒ったデザインをしがち。いわんや、デザインの勉強すらしていない素人が思いつきでデザインしたら…。

2013-01-12 09:33:07
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

そりゃあ、早稲田や慶応とか卒業してるから地頭はいいんだけれど、作劇ってのは付け焼刃で身につく物ではないし、勉強すれば身につくかといえば、実はこれも問題がある。学問として作劇方法を学んだり分析すると、理論が先行して作品を素直に見ることができなくなる。

2013-01-12 09:38:05
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

落語が大好きで入門した立川談志師匠が、入門して稽古で聞く落語はひとつも面白く感じられなくなったように、分析的な姿勢で作品に対峙すると、素直な心で接することが難しくなる。コレは自分もそうで、映画も落語も漫画も、ちっとも楽しめていない。編集になる前にどれだけ作品に接しているかが重要。

2013-01-12 09:42:08
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

自分が昔みた作品を、その感動の理由や疑問の理由を解説されて初めて、作劇論は血肉になるのであって、理論を先に入れて作品に接しても、バイアスがかかってしまって消化されない。よほどの才能に恵まれない限り、若い頃にこなした作品の絶対数が、多面的な作品理解の原資になるのだから。

2013-01-12 09:46:55
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

残念ながら若い編集の場合は、娯楽に占めるゲームの比重が多い分、映画や小説や漫画などに割いた時間が短く、しかもジャンル的に偏っているため、例えに挙げた作品を知らないことが多い。シド・フィールドのシナリオ術とか読んで勉強はしているのだけれど、原資となる体験不足で受売りに留まっている。

2013-01-12 09:55:21

余談:タイトル変更

喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

まとめには口出ししない主義なので、ご自由にどうぞ。ただ、ダレ場についてだけの話でもないので、タイトルにちと違和感が…。RT @wsplus: ツイートを使わせていただきました。問題ありましたら対応しますのでご連絡ください。 http://t.co/QlP9DEa4

2013-01-12 10:41:19
ワス @wsplus

@mogura2001 一番興味が沸いた話題でしたので、タイトルに使わせて頂きました。オススメありましたら変更いたします。

2013-01-12 10:43:47
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

@wsplus 近視眼的な物の見方への異議申し立てですから、ユニフォームの問題から解き起こしてるのも、そのためですし。『作劇を俯瞰する重要性』ぐらいですかね?

2013-01-12 11:10:46
ワス @wsplus

@mogura2001 ありがとうございます。タイトルを変更しました。 http://t.co/463mWwj7

2013-01-12 11:12:28