喜多野土竜(MANZEMI販売員) @mogura2001 さんによる漫画家を目指す人へのツイート

喜多野土竜(MANZEMI販売員) @mogura2001 さんによるマンガ家を目指す人へのツイートをまとめました。 漫画家でなくとも参考になります。
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上田宏 @UEDAsensei

傭兵によるナイフの殺陣をネームで描いてて思うんだけど、ほんとに沢山映画観ておいて良かったなーと。軍モノの映画だけじゃなくて格闘技もよく観てたので動きの流れや重心の移動からの自然なアクションの繋ぎとか、わざわざ資料映像とか観直さなくても頭の中で動いてくれる。

2013-06-19 15:42:50
上田宏 @UEDAsensei

以前漫画家になりたいと言ってた人に映画たくさん観ておいた方が良いよと言ったら、必要になったら必要な作品だけ観ますと返答されたことがあります。血肉になってないものを自然に出すのは難しいと思うんだけどなー。描ける表現を普段から増やしておくのもネーム表現を厚くするコツだと思うのです。

2013-06-19 15:50:19
上田宏 @UEDAsensei

何をしておけば先の自分の身を助けるのかある程度わかるので、観るもの聴くもの全て貪欲に漫画の肥やしにしようとしてます。ただ楽しみたいという娯楽は僕にとっては時間の無駄に感じてしまうのです。電車に乗っててもずっと外の建物の構造を注視してます。レベルアップを楽しんでる感もあります。

2013-06-19 16:00:56
上田宏 @UEDAsensei

もっと自分の中で熟成させて醗酵させた表現をしないと駄目だなーと自戒します。作家独自の臭いがしないと、替えの効く無味無臭作家だと自分が描く意味がどんどん無くなっていきますし、自分の存在意義が揺らいでいきます。まだまだありふれた表現をそのまま使いすぎてて駄目だな未熟だなと思います。

2013-06-19 16:11:30
上田宏 @UEDAsensei

漫画家になって数年は仕事が終わるとゲームばかりで映画はほぼ観てませんでした。その頃に謝恩会で尊敬する先輩作家さんに「上田君の最近観た映画は?」と尋ねられて直ぐに答えられませんでした。すると「映画も観てないなら漫画家やめちまいな」と言われました。それが僕にとって最高の金言でした。

2013-06-19 16:21:33
上田宏 @UEDAsensei

御本人は酔ってて覚えてらっしゃらないかもしれませんが、僕はあの時にキツく言われた一言で漫画を描く事に対する姿勢を大きく変える事ができました。デビュー前から今でも尊敬してる作家さんです。デビューから数年同じ雑誌でお仕事できて本当に良かった。

2013-06-19 16:24:16
上田宏 @UEDAsensei

アウトプットは既存のモノを混ぜただけの混合物だと誰が描いても良いようなものになりますが、自分の内側で化学反応させた化合物だと他人には描けない独自の作家性が出るんだと思います。まだまだ目指す先は遠いなー、人生って短すぎる。

2013-06-19 16:44:22
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

@UEDAsensei 必要最低限で済ませたいという、攻略本脳の子が多いですね。たぶん、漫画は必要な要素を幾つか押さえれば簡単に書けると思ってるのでしょう。現実には、膨大な作品を見て、その中の1セリフ1シーンを抽出するだけでも、30ページの作品を描くことさえ難しいのに。

2013-06-19 19:21:55
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

@UEDAsensei 別に映画でなくても、小説でも演劇でも落語でもアニメでも、漫画以外の表現の奥深さや引き出しを持っていないと、自分が自然と蓄積したモノだけでは3年で枯渇すると、鴨川先生も小林よしのり先生も断言しておられるんですけどねぇ。特に鴨川先生の忠告は説得力がすごい…。

2013-06-19 22:07:29
上田宏 @UEDAsensei

@mogura2001 「漫画というのはその程度の表現で良い」という考えなのかなーと、その時は思いました。物作りの難しさを知ってると思ってた人だったので、その返答に疑問を感じたのをハッキリ覚えてるんですよ。

2013-06-19 19:27:58
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

さてと、上田先生との話にも関わってくることを、ちょっとまとめてツイートしますか。例えば、分割法。9分割とかやると、2分割から入って3分割を繰り返すから、線はかなりゴチャゴチャになる。そうなった時に、どの補助線が意味があるかを的確に無抜くのが才能。でも、そういう人間はほんの一握り。

2013-06-20 01:14:51
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)そこで、最初の2分割の線は薄めに、次の3分割は少しだけ濃く…と、試行錯誤の中で混乱しないための方法論を自分で見つける人間がいる。一方で、何度繰り返しても同じぶっとい線で分割をし、線がゴチャゴチャになって混乱を繰り返す人間がいる。そこで、青線を交えて引く方法をアドバイスする。

2013-06-20 01:17:46
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)そこで、ようやく線を生理する意義に気づく人間もいる。ところが、そこを教えてもやっぱり青線をぶっとくしたり、2分割の補助線は青で3分割の補助線は鉛筆とか、自分なりのルールを見つけられない人間がいる。けっきょく、ほんとうに重要なのは分割法でも線の引き分けのコツでもないのだ。

2013-06-20 01:20:07
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)物事の本質を理解し、捉える部分。それを、天性の勘で捉える人間、イメージで捉える人間、ロジックで捉える人間、そこは千差万別。それゆえに、あるていど試行錯誤や方法論が蓄積した人間は、枝葉ではなく本質を捉えるための、もっとも肝になる部分を教えようとする。

2013-06-20 01:23:04
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)以前にも書いたが、ある先生が大学でシナリオの講座をとった時、その先生に教えられたのは「1日に14人以上と話せ」ということ。シナリオを書くための段落分けや脚注の入れ方、箱書きといった上っ面の技術よりも、そこが本質だから。物語は人間を描く以上、人間を知らなければならない。

2013-06-20 01:25:08
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)実際にやってみたら、14人というのはかなりきつい。自分から話しかけようとすれば話題なんて共通項は少ないし、すぐにネタ枯れする。そこで重要になるのが、聞く姿勢・聞く態度。そこがちゃんとある人間には、やっぱり何人かに一人は向き合ってくれる。そうやって少しずつ高めた人間力は大事。

2013-06-20 01:28:29
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)ところが、本質がわからない人間は、そんなことより具体的な技術を教えろという。申し訳ないが、具体的な技術は自分で試行錯誤すればある程度は気づくものであり、そこに気づかず教えを請うてる時点で、才能がない。向いていないから諦めろ、という話。描きたい意欲があれば技術はついてくる。

2013-06-20 01:30:51
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)立川談春師匠がラジオで落語について、上手い奴は最初から上手い、下手な奴は努力してもダメ、と。身も蓋もないが、それが現実。ただ談春師匠、才能について非常に解りやすい喩えをしていた。才能とはチェックポイントの数だと。談春師匠、最初に教わった演目を覚えるのに3ヶ月かかったそうな。

2013-06-20 01:33:14
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)落語の場合は、最初の話は師匠からマンツーマンで教えられ、3回聞いて覚える三べん稽古が伝統。で、早い弟子なら3日で覚える噺を3ヶ月かかった。自分には才能がないと思ったそうな。でも違うんだなぁ。「オレのやるとおりに覚えろ」と談志師匠に言われた談春師匠、完コピしようとした。

2013-06-20 01:36:08
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)毀誉褒貶はあっても、その巧さには誰もが一目置く立川談志の落語を、抑揚からブレスの位置まで入門したての16歳が完全コピーしようしたら、それはそうなる。ギターを初めて持った人間がクラプトンの完コピをしようってのと同然だから。逆説的に、談春師匠にはチェックポイントが見えていた。

2013-06-20 01:39:19
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)逆に、談春師匠の弟子は教えられたら3日で覚えてくるけれど、チェックポイントが3つぐらいしかない。セリフを間違わないこと、大きな声で話すこと、上下を切ることぐらいだろうか。チェックポイントが200ある人間と比較すれば、その差は歴然。けっきょく、上達しない人間は概ね同じなのだ。

2013-06-20 01:42:25
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)自分はシナリオの描き方を教わりに来たのに、1日14人と話せとは、馬鹿にしているのか……と怒る人、馬鹿にしてるのはアナタです。書き方という技工を学べば書けると思ってる時点で、チェックポイントが3つしかないようなものです。だいたい、書こうという意欲に欠けていませんか?

2013-06-20 01:44:43
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)シナリオを書いてみたいと思ったら、まずは入門書なんか読まずとも書けばいいんです。そこで、他人がイメージをしやすい書き方とは何か、読む人が混乱しない書き方とは何か、書く中で試行錯誤し、発見し、それを忘れないように蓄積していけばいいんです。それで、だいたいのことはクリア可能。

2013-06-20 01:46:57
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)自分の場合も独学というか、相手の立場に立った書き方を工夫したら、デビューした後に読んだその手の入門書の指南する書き方と、まったく同じになっていた。でもそれは特別なことではなく、読みやすさを追求したら必然的に収斂していく、オーソドックスなスタイルでしかないのだから。

2013-06-20 01:49:47
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前)そこを教えられないとわからない時点で、才能以前に情熱が足りない。試行錯誤する情熱が。もちろん、手品の種明かしみたいなもんで、言われないと気づかないコツみたいなものとか、間違った思い込みで自分でカバーを掛けてしまったコツとか、あるにはある。でもそれは、あんがい少数。

2013-06-20 01:52:17