茂木健一郎氏 @kenichiromogi 【なぜ「体罰」という愚行に走る教師が、ときどき出るのか】連続ツイート

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第８３３回をお送りします。文章は、その場で即興で書いています。今回は、ふりかえり系、考え巡らせ系ツイートです。

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じた（１）体罰を受けていた高校生が亡くなるという痛ましい事件があって以来、どうも胸がざわざわして仕方がない。具体的な指摘があったのにもかかわらず、おざなりな調査で「体罰がない」と結論づけた関係者の熱意のなさ、想像力のなさに、まずは怒りを覚える。仕事って、そんなもんじゃないだろう。

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じた（２）体罰でスポーツが強くなるはずがない。何か、難しいことに取り組むときに一番大切なのは、楽しむこと（have fun）だろう。勘違いバカ教師に殴られるのがこわいからがんばる、なんていうことで最大のパフォーマンスが出るはずがない。チクセントミハイのフロー理論から見ても歴然。

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じた（３）そもそも、体罰は犯罪である。教育現場だから、体罰が許されるはずがない。立派な暴行罪であり、傷害罪であり、違法性阻却事由にはならない。医師が手術のために体にメスを入れるような、刑法３５条に言うところの正当業務行為であるはずがないのだ。まず、ここを確認しよう。

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じた（４）なぜ、「体罰」という愚行に走る教師が、ときどき出るのか。体罰は、一つの「文化」である。自分自身が生徒だったときに、体罰をやる教師がいたのだろう。ここで、一つの分岐点がある。体罰を加えられて、うれしい人がいるはずがない。自分がやられてイヤなことをした時、どうするか。

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じた（５）自分がやられてイヤなことは、他人にしない。つまりは「反面教師」とすれば、「体罰」という愚かな文化は、そこで伝播が止まる。自分が体罰を加えられていかに痛かったか、つらかったか、苦しかったかをふり返れば、それを他人にする、ということを抑制できるはずだ。

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じた（６）ところが、人間には「引き込み」というか、強迫観念のように、自分が加えられたいやなことを他人にもしよう、という衝動もあって、それは押さえないといけない。自分がイヤなことをされたから、他人にもしよう、という愚かな連鎖から、自分自身を断ち切ることが大切なのだ。

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じた（７）中学１年の部活の時、３年の先輩で、「オレは新入りの時にさんざんしごかれたから、自分が３年になったら、その分しごくんだ」と言っているやつがいた。イヤなやつだと思った。「そういうのはよくないよ」と言っている一年の女子がいた。りっぱなやつだと思った。その思いは変わらない。

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じた（８）「反面教師」という文化は、悪い文化が伝播しないための防波堤で、もっと世の中で大切にされてよい。ブラック企業におけるバカ上司によるパワー・ハラスメントもそう。自分がそういうことをやられてイヤだったら、他人には絶対にやらないようにしようと思えば、悪しき文化をストップできる。

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じた（９）もう一度書くけど、体罰を加えられた人がそれで伸びる、なんてことは絶対にない。難しい課題にチャレンジするのはいいけど、それは楽しむ（have fun）ことでやるべき。ボルト選手は世界新で１００走るとき笑っているだろ。体罰は、人間を縮ませる。体罰を加える人間を、堕落させる。

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以上、連続ツイート第８３３回「自分がやられてイヤなことは、他人にしない」でした。