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Bunzo @Kominebunzo
プラスネジというものは戦前には無かったことになっているようで、本田宗一郎が持ち込んだなどいう伝説まであるけれど、日本で初めてプラスネジを使用して大量生産された工業製品はおそらく、局地戦闘機「雷電」。沈頭鋲の平山広次さんが戦時中、三菱社内向けにレポートを書いている。
Bunzo @Kominebunzo
雷電では第一工作部がプラスネジ用のドライバーを外注して調達しているけれども、名航がプラスネジを知っていれば技術者が重なる戦後の三菱自工にも当然伝わる。プラスネジのエピソードは数ある「本田宗一郎伝説」の一部なのかもしれない。
Bunzo @Kominebunzo
新設の試作工場を率いて雷電の試作機製作にあたった平山技師は「胴体が太い」「主翼主桁が一本」「翼外鈑が厚い」ので零戦より造りやすく「これはかえって良い飛行機の本当の進み方かもしれない」と造る側からの視点で述べているのが面白い。
Bunzo @Kominebunzo
出版物やネットで雷電二一型の最大速度が611km/hとなっているのは三菱の社内資料が根拠。けれどもその注釈に、この数字は19年に紫電改との比較のため空廠に提出した下駄を履いたデータで信憑性がない、と正直に書かれているのが見落とされている。
A6M232・吉右衛門 @A6M232
@Kominebunzo 戦前の無線機関連でもプラスネジが確認されていますね。
Bunzo @Kominebunzo
@A6M232 無線機にもありますか。秘密じゃないから、入る場所には入ってるはずですね。
Bunzo @Kominebunzo
雷電の性能表で11型の596km/h/5450m、上昇時間6000mまで5分40秒というものは11型22号機の空技廠での実測値。また33型の615km/h/6585m、上昇時間8000mまで9分45秒は19年9月28日、鈴鹿での実測値。操縦者は小福田少佐。11型の上昇力は優秀。
Bunzo @Kominebunzo
平山技師といえば平山鋲(沈頭鋲)。けれども平山技師の発明品ではなく零戦は平山鋲から海軍航空基本部品制式で定める海空式鋲に変わっている。原因は奥山事故。平山技師は抗議しているけれどもこれはリベットの規格統一の一環で仕方が無かった。
Bunzo @Kominebunzo
平山技師は沈頭鋲のように新しい情報を採り入れて自分の工夫と織り交ぜて実用化する才を持ってるエンジニアだった。雷電に使われた十字溝皿小ネジとそれをレポートする平山氏の関係は不明だけれども、沈頭鋲と同じように氏が関与していれば一般にいう「フィリップス型」とは限らない。
Bunzo @Kominebunzo
沈頭鋲の規格化は日本とアメリカ(1940年)はほぼ同時。使われ始めたのはアメリカが先だけれども、爆発的には広まらなかった。それはNACAの実験で単座機における沈頭鋲による速度向上が2.5%程度だったため。工作法を大きく変えるには魅力が今ひとつだった。
Bunzo @Kominebunzo
ネジと縁のある航空発動機はスピットファイアやマスタングが積んだマーリン。これをパッカード社でライセンス生産する際、英国のウィットウォース規格のネジ切りバイトが米国に無く米国製補機が取り付かず結局パッカードは工具を自製した。「インチフィート法とメートル法で困った」というのは誤伝。
Bunzo @Kominebunzo
苦労して量産したマーリンは米軍では使いみちが無かった。余剰品となったマーリンはP-40に搭載される。けれど米国製マーリンで最も助かったのはランカスター。信頼性が向上したから。英国製は忌み嫌われた。ドイツ本土上空でエンジン不調となる恐怖が英国製マーリン装備機を乗員に拒否させた。
Bunzo @Kominebunzo
雷電や紫電は層流翼を採用したが機体の工作が荒く効果が発揮されなかったと言われるけれども、実は層流翼の効果を十分に発揮できた実用機は存在しない。入念にパテと研磨塗装で仕上げられたP-51の翼でさえNACAは乱流の発生が著しく不合格としている。層流翼とはそんな幻の理論だった。
Bunzo @Kominebunzo
層流翼を持つ有名大戦機としてはP51よりむしろ4発機ながら最大の量産機数を誇るB24。このデイビス翼はNACA2035に近い事実上の層流翼そのものだった。けれども設計者は独自の仮説でその翼型を考案したものの層流翼理論を知らなかった。理論に気がつくのは1945年になってから。
ウチューじん・ささき @uchujin17
@Kominebunzo 要求工作精度1/1000インチですもんねぇ…。
Bunzo @Kominebunzo
層流翼をめぐる世界中の流行病的な動きの中で東大航空研の谷一郎博士が層流翼理論を完成していたことは日本の航空技術が少なくとも理論面では世界水準にあったことを示す証拠の一つ。しかしながら、現実には呪わしい迷惑理論として機能したのは皮肉な事実。
ウチューじん・ささき @uchujin17
@Kominebunzo ただ、この「工作精度±1/1000インチ」というのは「理論上最低抵抗値を維持するため」に必要なものとされていて、最適値を外れたときにどのくらい急峻に抗力係数が悪化したのかは私にはわからないです。
Bunzo @Kominebunzo
@uchujin17 デイビス翼も層流翼も人材と予算を注ぎ込んだ大騒動の果てに「別に良くも悪くもない」と結論されてしまいます。先進技術の多くはこんな中で育つものですが、1930年代後半から航空技術分野に寄せられた期待と無理難題の大きさを感じる動きですね。
ウチューじん・ささき @uchujin17
@Kominebunzo やっぱりそうなりますか…抗力係数が多少下がっても、揚力係数も一緒に下がったら意味がないですからねぇ。
イキリ・カッパ @67MajorMinor
@Kominebunzo: @uchujin17 デイビス翼も層流翼も人材と予算を注ぎ込んだ大騒動の果てに「別に良くも悪くもない」と結論されてしまいます。” 横から失礼します。この結論に至ったのは、ラングレーの戦闘機をすっぽり入れられる大風洞での解析によるものでしょうか?。
イキリ・カッパ @67MajorMinor
@Kominebunzo: このデイビス翼はNACA2035に近い事実上の層流翼そのものだった。けれども設計者は独自の仮説でその翼型を考案したものの層流翼理論を知らなかった。理論に気がつくのは1945年になってから。” へぇボタン連打したい!。
Bunzo @Kominebunzo
@67MajorMinor @uchujin17 詳細な報告を読んでいる訳ではないんですが、戦時量産中の実機を使っているようですね。
イキリ・カッパ @67MajorMinor
@Kominebunzo: @67MajorMinor @uchujin17 詳細な報告を読んでいる訳ではないんですが、戦時量産中の実機を使っているようですね。” 日本には実大風洞は無かったんでしたっけ?。
ウチューじん・ささき @uchujin17
@67MajorMinor @Kominebunzo アメリカでは1939年にラングレイの大型風洞にXP-39の実機を入れて性能不振の解析をやってますね。
Bunzo @Kominebunzo
層流翼とそれに近似する非層流翼の断面は殆ど差が無い。容積的なメリットも層流翼の採用だけでは得られない。一式陸攻22型は層流翼なので燃料搭載量を増やせたのではなく、翼型に関わりなくやや厚翼に改めたことで若干の余裕を作った。そこに層流翼のメリットはない。当然、性能も向上しなかった。
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コメント

kurotal @N♂MAD @kurotal 2013年1月19日
しかし、ウイットウォースねじ でパッカードが苦労したっていうのは意外でしたね。 むしろ明治以来のイギリスとの付き合いの関係上、日本の方がよほど ウイットウォースねじ に親しんでいたかも……
まおゆうの虫 @eC2hbJHNs4ubOyG 2017年6月8日
Bunzo様、まとめありがとうございます。とても詳しく大変勉強になりました。
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