「作品をつくる」とは

「作品をつくる」とはどういうことなのか, 写真による作品制作の話を中心に 心に残った言葉や本の一節を, 個人的なログ代わりにまとめました. 続きを読む
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Hiroshi Sasaki @popeetheclown

逆説的だが,科学をやっていて良いなと思うことの1つは,解くべき謎が増えていくこと.わかればわかるほど,より広大な未知の領域へとアクセスできるようになる.

2011-10-04 23:41:33
Hiroshi Sasaki @popeetheclown

@hideo_iwasaki 穿った見方まで含めて,僕もその通りだと思います.謎を解き明かすことを目的としながら,謎を生み出し続ける,しかもそれが継続されなければ科学自体が続かない,こういった多面性を持っている点ゆえに,僕は科学がアートと非常に近しいものに感じています.

2011-10-05 00:23:07
Hiroshi Sasaki @popeetheclown

「いちど物語が浮かんでしまったら,そんなことを意図していなかった写真であっても,物語の中で見るようになる.物語を拒むことは僕にはできない.そういうファンタジーを思いつくことが,とても楽しいし,良いと思っている.」

2011-10-07 21:38:27
Hiroshi Sasaki @popeetheclown

「展覧会において,意図していないものはひとつもありません.全てには意図があります.そして『彼は偶然こうしたのだろうか?それとも意図的だったのだろうか?』とあなたが考えたなら,そ意図的だったと考えてください.それがあなたの『感想』です.」

2011-10-07 21:40:55
Hiroshi Sasaki @popeetheclown

「すべての写真がコンセプチュアルに撮られているわけじゃない.もっとふわふわしたもの.そもそも人生はそんなにコンセプチュアルじゃない.『人生の目的を持つべきだ』という人がいるけれど,歯磨きしている時に人生の目的なんて考えないでしょう.コンセプトがなくても日々の生活はある.」

2011-10-07 21:50:05
Hiroshi Sasaki @popeetheclown

「作品の一貫性や作家性の観点から,陸前高田の写真を撮り,展示したことについて批判もあるだろう.ただ,もし撮ること自体について,一貫性や作家性から否定されるなら,それはひどいことだよ.その背後にあるアートの考えや雰囲気の方をおかしいと思って疑わなければならない.」

2011-10-07 21:58:47
Hiroshi Sasaki @popeetheclown

とある写真家のトークショーにて:Q「デジカメでは1枚を撮る緊張感が失われているのではないか?だから私はフィルムにこだわりたい」A「僕がニコンのデザイナーだとします.来シーズンの新製品は,シャッターを押してから画が出てくるまでに1週間かかるデジカメ.どうです,買いますか?」

2011-10-29 01:35:54
Hiroshi Sasaki @popeetheclown

畠山直哉×池澤夏樹トークショーのメモを眺めつつ,思いついたものを抜粋します.意訳が含まれているのでご注意を.

2011-10-29 15:00:58
Hiroshi Sasaki @popeetheclown

「楽しい終末・池澤夏樹著.終末論は矛盾を内包している.自分たちがいなくなることを語っているから.『楽しい』と『終末』は二律背反の同時生起性とでも呼べる」

2011-10-29 15:01:16
Hiroshi Sasaki @popeetheclown

「美しいということを普段あまり気にしない.撮影の時に美しいと思うことはない.出来上がったプリントを美しいと思うことはたまにある.自分が学んだ80年代には既に古典的な美は相対化されていた.『美』という言葉には警戒しなければならない」

2011-10-29 15:02:59
Hiroshi Sasaki @popeetheclown

「『美』は僕らと外界をつなぐ回路のような働きを持っている言葉.しかし,美しいと思っていないのに,僕達の心を動かすモノがある.苦痛と同時に生まれる快感のような.全く異なるものが2つあることによって生まれる.『楽しい終末』のように」

2011-10-29 15:06:30
Hiroshi Sasaki @popeetheclown

「すでに18世紀の欧州では,美とは呼べないが心を動かすモノについて考えられていた.アルプスの山々,嵐,巨大な動物.これらは『崇高』とも呼べる.美とは言えないけれど美学的に扱われるモノたちの存在によって,美という言葉の持つ意味が拡がってきている」

2011-10-29 15:08:52
Hiroshi Sasaki @popeetheclown

「陸前高田の瓦礫の写真を美しいと思うことへの倫理的抵抗も,すでに18世紀に議論されている」「しかしあの写真は美しい」「それはもはや自分の能力の問題を超えてしまっていると思う.しかし,もしそうならば,それは『作品』ではなくなっている」

2011-10-29 15:11:04
Hiroshi Sasaki @popeetheclown

「写真を撮った後のことを考えなくても,写真を撮ることができる/撮影自体は大変ではない.プリント・セレクトはもっと大変.シャッターを切ることはできる.地面から30cm浮いた気持ちで.フィルムカメラだから先送りできる.すぐに画の出てくるデジカメなら,こうはいかないかもしれない」

2011-10-29 15:13:24
Hiroshi Sasaki @popeetheclown

「自然の無関心.これは二人の間で合意ができていた.悪意ではなく無関心.ただ,悪意と無関心どちらが悪いかは難しい」

2011-10-29 15:14:44
Hiroshi Sasaki @popeetheclown

「普段カメラを持ち歩く人間ではないから,しまったと思うことはよくある.持って撮ることが少ない.67で撮る時も三脚に立てて撮る.魚を釣っているような感じかもしれない.決定的瞬間,といえるような写真は最近撮っていない」

2011-10-29 15:16:56
Hiroshi Sasaki @popeetheclown

「自分は3.11以降怒りっぽくなった.センチメンタルというより,フェアではないという気持ち.『どうしてあの人がいなくなったのに,お前がいるの』という悪魔的な考え/出来事があったという事実を僕達は理解できる.理解できるからこそ,重たい」

2011-10-29 15:22:15
Hiroshi Sasaki @popeetheclown

「フィルムかデジタルか.これは大きな問題で同時に瑣末な問題.像を写す,写ったものを眺めるという時,デジタルか銀塩かは些末.しかし,80年代から,写っているものだけでなくmedium自体を語ることができるようになった(続)」

2011-10-29 15:24:43
Hiroshi Sasaki @popeetheclown

「(承前)それを議論できる人たちにとって,mediumを議論することのできないデジタルは扱えない.フィルムでもデジタルでも続いていく写真の価値,が上位の考え方としてある.教養人は20世紀の写真が身体化されている.だからこそ,すぐに移行できない(続)」

2011-10-29 15:26:20
Hiroshi Sasaki @popeetheclown

「(承前)僕の意見では,写真から離れていく,諦めるという選択もあると思っている」

2011-10-29 15:26:54
Hiroshi Sasaki @popeetheclown

「『美しい』ものを撮った写真,『美しい』と提示されたもの,これらが耐えられないほど醜悪に見えるようになった.まあいいじゃないかと思っていたものを,囲って向こう側にやってしまいたい.アートでも写真でも,意識のある人達は集まって,アートに足りないものをどうするか話し合ってほしい」

2011-10-29 15:30:31
Hiroshi Sasaki @popeetheclown

というわけで,トークショーメモからの抜粋でした.メモ化した時に,一部表現を変えてしまった(意訳した)ところがあるので,その点をご了承ください.

2011-10-29 15:32:06