ベラルーシとウクライナの土質は日本とかなり違うという話

「チェルノブイリ事故の被害をうけたベラルーシ、ウクライナ、ロシアの大半の汚染農地はポドゾルおよびピート(泥炭土)からなる低肥沃な土壌。栄養分が少なく腐植質で、酸性pH、砂が多い」 こういうことならたとえセシウムの土壌濃度が同じ場所どうしを選んで比較しても、チェルノブイリ事故後のウクライナ、ベラルーシ、ロシアと福島事故後の日本とでは農産物への影響に大きな差がついて当然です。
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Y S@ミャンマーに平和を @abo_abo

地形の違いの一つは、急峻な高低差。流れやすい。

2017-10-03 08:15:37
nao @parasite2006

@abo_abo 全くですね。チェルノブイリ周辺をGoogleMapの航空写真で見ると、ウクライナ側もベラルーシ側も川が蛇行しまくる平地で、村の家や農地の間に森林が点在している自然豊かな土地なのがよくわかります。こういう所に住んでいた人たちを強制避難させ、首都の郊外の高層アパートの部屋を割り当てた

2017-10-03 12:18:06
nao @parasite2006

福島県内(浜通りと中通り)の土壌中の粘土含有量と雲母由来粘土鉱物の地図(出典こちらmaff.go.jp/j/kanbo/joho/s… のp.11)。粘土が多く、雲母由来粘土鉱物が存在すれば土壌のセシウム結合力は高まります。ヒマワリ除染は飯舘で失敗し南相馬市中部で機能。 pic.twitter.com/Bz0AVNuJdf

2017-10-03 13:53:51
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参考3:放射性セシウムと日本の土壌の結合はとても強く、胃酸くらいではそう簡単にはずれないし、食べたとしても内部被爆線量は外部被爆と比べて桁違いに少ない

ryugo hayano @hayano

論文... Contribution of Soil Ingestion to Radiation Doses in Children 汚染度の高い土を子供がたくさん食べてしまったとしても,その被ばくは外部被ばくに対して無視できる onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ri…

2017-08-12 12:26:07
リンク onlinelibrary.wiley.com Bioaccessibility of Fukushima‐Accident‐Derived Cs in Soils and the Contribution of Soil Ingestion to Radiation Doses in Children Ingestion of contaminated soil is one potential internal exposure pathway in areas contaminated by the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident. Doses from this pathway can be overestimated if the... 2 users 12
T.Saito @tantonp

@hayano @hayano 安心材料のご提示ありがとうございます。 問題は肺から吸い上げたその後ですが、試験管内で、どの様な試薬実験になりますか?実際は鼻毛(鼻毛自体分泌物に覆われ、かつ鼻腔内の湿気分泌物のキャッチ、排泄?二酸化炭素酸素の流れ、肺胞菅の内側、肺胞膜の湿気?分泌物、又は乾燥?

2017-08-12 16:17:32
ryugo hayano @hayano

@tantonp 「吸入にともなう被曝量は“神経質になるほどではない”と言えるだろう。」(今中哲二)rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Fksm/SFme…

2017-08-12 16:57:11
T.Saito @tantonp

@hayano ありがとうございます。意外でした。

2017-08-12 20:48:32
ryugo hayano @hayano

土に固着したセシウムは胃酸にほとんど溶け出さず,土とともに排泄されてしまうので,被ばく線量は極めて低い.twitter.com/hayano/status/…

2017-08-12 12:45:15

(ようやく時間ができたので2ヶ月前にご紹介いただいた論文を読んでみました)

nao @parasite2006

福島県伊達市の土壌の実測結果をもとに、「放射性セシウムを結合した土壌をいじって遊んだこどもが土のついた手を口に突っ込んで土を食べてしまったらどのくらい内部被爆するか?」という疑問に答えた論文onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ri… を読んだのでご紹介します。(続く)

2017-10-26 09:58:11
nao @parasite2006

(続き)この論文(英語、残念ながら有料)onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ri… はJAEAと京大大学院工学研究科(衛生工学専攻)、京大原子炉実験所の共同研究で、英語論文になる前に日本国内で学会発表(抄録はミニ論文並みに充実)jolissrch-inter.tokai-sc.jaea.go.jp/pdfdata/BB2014…

2017-10-26 10:01:57
nao @parasite2006

土壌の採取場所は福島県伊達市東部で相馬市(東隣)、飯舘村(南隣)にも近い霊山こどもの村。キャンプ場を中心とするレクリエーション施設です(2枚目の航空モニタリングによる空間線量率マップ上には赤丸で示しました)。2014年9月11日、未除染の場所6カ所を地表1 cmまで掘って採取 pic.twitter.com/6AcTl6KAR3

2017-10-26 10:13:58
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nao @parasite2006

2014年9月11日、福島県伊達市東部の霊山こどもの村で未除染の場所6カ所から採取した土壌試料の性質。掘った深さは1 cm。ふるいで粒子径100 μm以下の土壌粒子だけを集めているのは、「土遊びしたこどもの手に付着して口に入る土壌粒子は100 μm以下が大半」という論文があるから pic.twitter.com/T7YK9MWTBS

2017-10-26 10:24:55
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ここで参考にされた論文はこちらです。
米田 稔, 辻 貴史, 坂 内 修, 森澤眞輔. 子供を対象にした公園土壌直接摂取のリスク評価における粒径の影響. 環境工学研究論文集 2005;42:29-38
https://www.jstage.jst.go.jp/article/proes1992/42/0/42_0_29/_pdf

nao @parasite2006

採取した土壌試料全体と粒子径100 μm以下の土壌粒子(0.1 mmメッシュのふるいでふるい分けた)で単位重量あたりのCs137の測定値がどれだけ違うかを見たのが表II。粒子径100 μm以下の粒子中には土壌試料全体と比較してCs137が2.58倍(6検体の平均)濃縮されています pic.twitter.com/U0kL2vs8Rb

2017-10-26 10:32:05
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nao @parasite2006

この論文では採取した土壌試料全体を使って2通りの条件で放射性セシウムの抽出実験を行いました。1つめは「1 N塩酸法」。実施しやすい従来法ですが、食べた土による内部被曝量の計算にはより生体内の消化器系に近い条件での抽出率が必要なため、「PBET法」による抽出をさらに実施。 pic.twitter.com/ngWTVJ5kmm

2017-10-26 10:41:16
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nao @parasite2006

抽出実験の結果が表III。赤枠内が標準条件(1 N塩酸法は環境省告示、PBET法は原論文の通り)での結果で、伊達市の土壌に結合したCs137のバイオアクセシビリティは5.3%(6検体の平均)となりました。この値は1 N塩酸法による抽出率の約1/3(ただしこの比は土質により変わる) pic.twitter.com/o7xF2t97gl

2017-10-26 10:50:16
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実際には1 N塩酸法による抽出率とPBET法によるバイオアクセシビリティの間には非常にきれいな相関関係が成立しており、実験がやりやすい1N塩酸法で求めた抽出率からバイオアクセシビリティの値を推定することが理屈の上では可能なことを示しています。ただし相関係数の値は土質(すなわちその土壌のセシウム保持力。主にpH、雲母由来粘土鉱物の量、有機物の量で決まる)により変わりますので、この方式を実用化するにはいろいろな土質についてさらに実験を重ねる必要があることは著者らも指摘しています。

nao @parasite2006

東京電力福島第一原発事故の影響を受けた福島県東部・中部の土質は、放射性セシウムを強く結合する黒雲母を含む阿武隈花崗岩が主であることが分かっていますjstage.jst.go.jp/article/geoche… 雲母由来の粘土鉱物の分布図pic.twitter.com/Bz0AVNuJdf

2017-10-26 10:59:08
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nao @parasite2006

こども(1歳児と5歳児)が食べた土による内部被曝線量の計算方法。食べた放射性セシウム量(単位Bq)を被曝線量(Sv)に換算する線量変換係数の値は、実測バイオアクセシビリティの平均値を使って図4から読みとりました(通常の食品の場合小腸での吸収率100%と想定しますが土壌は違う) pic.twitter.com/UvA8pdd8Km

2017-10-26 11:20:52
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ここで土遊びしたこどもの手に付着する土の量の分布の根拠として使われた論文はこちらです。
池上麻衣子, 米田稔, 森澤眞輔. 子供の手指に付着する土壌量から見た土壌摂食量のデフォルト値の妥当性. 環境工学研究論文集 2007; 44:653-659.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/proes1992/44/0/44_0_653/_pdf
京都市内の保育園1カ所の園庭で園児69人が30分間遊んだ後、両手の平と指を市販のコットンパッド(精製水をしみ込ませ個別包装したもの)で拭き取り、拭き取り後のコットンパッドに付着した金属元素の量から付着した土壌の量を推定した結果です。
その結果、子供の手指に付着している土壌量は50mg(対数正規分布の95パーセンタイル値=全体の95%がこれ以下に収まる値)、大気経由の土壌粒子摂取量は0.5mgと推定され、両方合わせても土壌汚染対策法で有害金属に汚染された土壌の直接曝露にかかわる土壌含有量基準を決める際に使われている1日あたりの土壌摂取量200 mg/日(成人の値は100 mg/日)の約1/4にとどまることがわかりました。

(この論文ではこどもが1日に土いじりをして遊ぶ時間を30分と想定して、上で求めた付着量を1日の土壌摂取量としていますが、実際にはこれより長いこと土遊びをしているこどもがいる可能性も否定できません。)

nao @parasite2006

twitter.com/parasite2006/s… こども(1歳児と5歳児)が食べた土による内部被曝線量の計算方法続き。土壌摂取量(単位がお笑い草なのは著者の見落としか)は別の論文の実測結果、土壌中Cs濃度は航空機モニタリング地図から求めた伊達市内の値(2013年11月現在)を採用。

2017-10-26 11:29:06
nao @parasite2006

土を食べた内部被曝線量の計算で伊達市内の土壌のCs137濃度分布を出すのに使われた2013年11月時点の航空機モニタリングによる空間線量率マップ。伊達市境界線のトレース下手ですみません。論文onlinelibrary.wiley.com/wol1/doi/10.11… の試料採取場所、霊山子どもの村の位置は赤丸 pic.twitter.com/VyhjULbKio

2017-10-27 10:16:01
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