「シー・アスクス・ワット・ザ・ブレイジン」#3、エピローグ ――『ニンジャスレイヤー』二次創作小説
- USAGI_koTENGU
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ソウカイ・シンジケートの崩壊、ザイバツ・シャドーギルドの台頭、そしてアマクダリ・セクトの出現……これらの時間をソウスケイルは生き延びた。もちろんカラテの研鑽は欠かさない。ザイバツニンジャとの逃走とイクサで、彼のカラテは格段の上達を遂げた。すべては……仇敵を倒すため! 13
2013-01-24 23:58:35しかし、この仇敵のなんと恐るべき佇まいか。バイオススキを背に、月に照らされ立つ自然体めいた赤黒の影からは全く油断のないアトモスフィア。全身から発せられる熱波のごとき殺気は、こちらがアイサツを終えると同時に発火、恐るべきジゴクの業火めいてこちらに襲いかかるであろう。だが……。 14
2013-01-25 00:01:42「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。ソウスケイルです」それでもソウスケイルはアイサツした。敵がアイサツした以上、アイサツを返さずイクサを開始するのはシツレイ……ニンジャのイクサの禁忌だ。そして、敵がアイサツをした以上、アンブッシュの機会は失われているのだ。 15
2013-01-25 00:05:27「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。バグラーラビットです」背後のアイサツにソウスケイルは震えを感じ取った。それは彼の震えでもあった。((だが……やるしかない))ソウスケイルはカラテを構えた。全身のスリケン装束がカラテによって変化、必殺のデッドリースリケンを形成する。 16
2013-01-25 00:07:27「ほう、スリケン使いか」赤黒の殺戮者は無限の殺意を噴きだす井戸めいた目で彼を見た。「お手玉遊びがしたいと見える。付き合ってやろう」「ほざけ、ニンジャスレイヤー=サン」ソウスケイルは言った。「俺のデッドリースリケンと、コッカトリス=サンのドク・ジツがお前をジゴクへ送る!」 17
2013-01-25 00:10:20「コッカトリス……そのようなものもいたか」禍々しい「忍」「殺」レリーフメンポの奥から響く声に、ソウスケイルは微かな嘲笑を感じ取った気がした。胸に怒りが渦巻く!「忘れたとは言わさぬぞ!」両手をクロスする……その動きでデッドリースリケンを投擲!「イヤーッ!」 18
2013-01-25 00:13:25襲来するデッドリースリケンを前に、赤黒の殺戮者はようやくカラテを構える!「イヤーッ!」その腕がムチめいてしなる!挟み取られるデッドリースリケン!更に!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはデッドリースリケンをカウンター投擲!スリケンは投擲者の元へ逆襲来!だが!「イヤーッ!」 19
2013-01-25 00:16:26ソウスケイルはその場でムーンサルト回転!両足のデッドリースリケンを投擲!二者の放つスリケンは空中で打ち合い……ゴ、ゴウランガ!その半数が軌道を変え、雲霞のごときスリケン集合となってニンジャスレイヤーへ飛来!「ムウッ!」ニンジャスレイヤーはこれを回避すべく側転! 20
2013-01-25 00:19:12そこへ!「イヤーッ!」着地したソウスケイルは更に両腕を振るう!ムーンサルト投擲の間に生成した両腕のデッドリースリケン追い打ち!一手目、二手目のスリケンを上回る速度で飛来したスリケンは、飛び去るはずだったデッドリースリケン群に追いつき、打ち合い、軌道を変える!その先には……! 21
2013-01-25 00:22:15「ヌウッ!?」ニンジャスレイヤーは咄嗟に防御姿勢!襲いくるデッドリースリケン集合!「見たか!」ソウスケイルは叫び、更なるムーンサルト回転!スリケン投擲!ニンジャスレイヤーはこれを挟み取るべくムチめいて腕を振るうが……「グワーッ!毒!」その動きは精彩を欠き、捌ききれぬ! 22
2013-01-25 00:25:56((勝てる……!))ソウスケイルは敵の確かに鈍った動きを目に、ニューロンに喝采を響かせる。((カラテもドク・ジツも、俺は師を超えた!))そして更なるデッドリースリケン追撃のために回転ジャンプしながら、後方にちらりと目をやる……怯えて立ちすくむバグラーラビットと視線が交差! 23
2013-01-25 00:28:20((コッカトリス=サンの仇敵を討ち……その後は貴様だ、バグラーラビット=サン!))邪悪なメンポの下でニヤリと笑い、ソウスケイルはニンジャスレイヤーめがけデッドリースリケン投擲!「イヤーッ!」 24
2013-01-25 00:31:46目前に繰り広げられる、めまぐるしいスリケン攻防にバグラーラビットは怯えた。とても己のカラテの及ぶ所ではない。手の中のショットガン銃把が汗にぬめる。……と、その視線にソウスケイルの黄色い視線が交差。殺戮の喜悦に光るその瞳の輝きに、バグラーラビットは静かに失禁した。 26
2013-01-25 00:35:38((殺される……))バグラーラビットは死を覚悟した。それは本能的な恐怖であった。己のジツへの信頼も、手の中の武器の力強さもニューロンから失せた。己がニンジャであることも忘れた。甘ったれたカチグミ子弟の思考が甦った。((逃げるなら……今しかない……よね?)) 27
2013-01-25 00:38:22だが……逃げてどうなる?もしソウスケイルがニンジャスレイヤーに勝てば、今度の標的は自分だ。どこまでも追ってくるだろう。反対にニンジャスレイヤーが勝てば?彼のニューロンに、ニンジャスレイヤーの恐るべき殺意の放射が甦った。このニンジャも、自分を虫めいて無慈悲に殺すだろう。 28
2013-01-25 00:41:35((どうしよう……))逡巡するバグラーラビット。しかし答えは出ない……否、決めきれない。答えは決まっている。ただ、それをする勇気がないのだ。((死にたくないよう……))バグラーラビットは泣きだした。再生した片目と、再生し切らないもう片方の目から、はらはらと涙が落ちた。 30
2013-01-25 00:44:16その時……((オイ、オイ))彼のニューロンに声が響いた。バグラーラビットはハッと顔を上げた。「誰?」見えるのはデッドリースリケンを無限投擲するソウスケイルと、僅かにズレた動きでこれを捌くニンジャスレイヤー……二者が発するのはカラテシャウトのみ。では……この声は? 31
2013-01-25 00:47:45((聞けよバグラーラビット=サン))声は言った。((俺に体を貸せ))((君は誰?))((俺は……ええい、時間がない!早くしないとニンジャスレイヤー=サンがやられッちまう))((一緒だよ……二人とも僕が勝てる相手じゃない))((じゃあ、ブレイズ=サンはどうすンだ!?)) 32
2013-01-25 00:50:24その名前を聞いた瞬間、バグラーラビットのニューロンにソーマト・リコールめいて甦ったのは……遠い昔の光景!初めて出会ったあの時!スパーン!フスマを開け飛び込んできた姿!燃える炎のような美しい女!((ブレイズ……イグナイト=サン!)) 33
2013-01-25 00:54:34「ヘル-オー!イグナイトです!」女がアイサツ!瞳に宿る炎のように!ソウルが発する命の閃きのように!力強く誇り高いアイサツ!「バグラーラビット=サンだな?ワイルドハント=サンの言ッてたとおりだ、メソメソしやがって気分悪ィ!」女が言った!「アタシが……鍛え直してやるし!」 34
2013-01-25 00:57:26その姿!その声!そのアトモスフィア!女の瞳に閃く、生きた炎のようなソウルが、バグラーラビットのニューロンを覆う自虐の雨雲を一瞬で燃やし尽くした!更にその炎がバグラーラビットの胸に点火!「ウオーッ!」泣きべそをかきながら突進!「イヤーッ!」女が両手を突き出す!火球が生まれる! 35
2013-01-25 01:00:10KABOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOMM!ドージョーに響く爆音が、バグラーラビットのニューロン内コトダマ空間に再現される!バグラーラビットの視界は真っ白になり……彼は意識を失った。 36
2013-01-25 01:04:08