twnovelまとめ(2012/12-16-2013/2/2)自分用

@zeniqui が書き散らした #twnovel (800-843くらい)と #書き出し ほかのまとめです。 書き出しをご提供いただいた方、ご利用いただいた方、皆さんに感謝、感謝です。 なお、これらの全てお話はフィクションです。
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銭喰 @zeniqui

「蜘蛛さん、見逃してくれたら美味しい花の場所を教えますよ」蜘蛛の巣に引っ掛かった蝶が助けを乞う。「…わかった」 #twnovel 「蜘蛛さん、見逃してくれたら美味しい花の」蝶の言葉に蜘蛛は黙々と巣の手入れをしている。昨日喋った記憶も溶けてしまったのだろう。「くもさん、みのがして…

2013-01-18 07:41:52
銭喰 @zeniqui

「あなたもうやめてっ、手が…手が指先まで紫色になってるじゃない!」「う、うるせぇっ、今日は…今日この日だけはこうしないとすまねぇんだよォ!」「ああ、あああああ…」すがりつく妻を振り払い。夫は再び紫の山に手を掛けた… #twnovel 『大寒巨峰主義』

2013-01-19 15:46:53
銭喰 @zeniqui

「寝て起きてパソコンで資産運用するだけの毎日だと形骸化しちゃって…」「欲しい物を目標にするとか?」「欲しい物かあ」「だいたい今いくらくらい稼いでるの?」「はい通帳」「…なにこの0の数」「言ったじゃない、京垓化したって」 #twnovel 「あ、このアメリカってヤツ下さい」「!?」

2013-01-19 16:38:39
銭喰 @zeniqui

#twnovel もうすぐ節分だ。風習というのは土地土地で変わるもので『鬼は外』を言わなかったり、逆に『うち』が打ち・討ちと音が同じなので『福は内』と言わない地方もあるそうだ。この街も少し変わっている。『鬼のかた、白い線の外側に三列に並んで御待ち下さい。縦列乗車に御協力下さい…』

2013-01-21 07:43:05
銭喰 @zeniqui

#twnovel 「飛び石連休だから旅行は無理って私に言ってたけど、京都に行ったらしいじゃない。どういうこと?」「…ああ、すまない。飛び石連休は勘違いだったんだ」「ハァ? だったら私と…」「飛び石連休じゃなくて、検非違使連休だったんだ」

2013-01-21 07:53:14
銭喰 @zeniqui

#twnovel バスが停車した。消えかけた歩道の白線に藪が侵食している田舎道。信号も対向車もない二車線道路で暫く軽油が燃える音を聞いていると、一歩一歩。タラップを確めて翁が乗り込んだ。運転士は着席をその目で確認してから、発車する。翁が首に掛けたラヂオからは流行歌が流れていた。

2013-01-22 07:31:46
銭喰 @zeniqui

#twnovel わら半紙に木炭で書いた金釘流が並んでいる。一瞥して大きくため息を漏らしたボスは、ぎろりと部下を睨んだ。「こんな紙切れにこれほどの価値が出るとはな」「ボス、いかがでしょう?」「…私は書体を明朝体に直してくれ、と言ったんだ」「ええ、だから書き直しましたよ。備長炭で」

2013-01-22 18:57:15
銭喰 @zeniqui

問題の内容があまりに有名になったためスフィンクスは出題を変えることにした。「朝は赤、昼は青、夜は銀でいずれ灰となる。これ如何に」 #twnovel 間髪入れず旅人が答えを言うと、スフィンクスは努力の甲斐無し、と泣き崩れた。答えを丸暗記してきただけの旅人はそれを怪訝な顔で見ていた。

2013-01-23 07:35:00
銭喰 @zeniqui

#twnovel ある日森の中熊さんに出遭った。「ひえぇ!」「お、落ち着け!し、し死んだふりを」「そそそそりゃ迷信だ、そそそうだ蜂蜜!蜂蜜持ってたろ!」「あああ開かない!蓋かってぇ!」『開けたろか?… はい』「おお、すげえ!」「さすが熊さん、パワーぱねぇ!」『じゃあいただきます』

2013-01-24 07:41:24
銭喰 @zeniqui

#twnovel ある日森の中熊さんに出逢った。『まてよ』「……」『イヤリング……落ちてたぞ。大事な思い出なんだろ、アイツとの』「あなたがもし、そのイヤリングを捨ててしまってくれたら……私は」『森の落とし物を届けるのが俺の仕事だ』「……そう」『ああ』「……さよなら」『……ああ』

2013-01-24 07:46:31
銭喰 @zeniqui

#twnovel ある日森の中。「はあっはあっ、…クソッ単なる熊だと思ったのになんて強さだ!我がチュパカブラ隊が一瞬で壊滅とは…」『あと何匹いる?』「なっ…喋った…だと…?」『お前らは歴史に存在してはならんのだ』「そうか、貴様が噂のKiller of UMA…K.UMAかっ!」

2013-01-24 08:13:53
銭喰 @zeniqui

#twnovel 恨み骨髄の果て憤死した侍某の墓は幽霊が出ることで有名だった。地震で墓石が将棋倒しになると祟りを恐れられたが、建て直された折に死人桶と場所がずれたことには誰も気づかなかった。その後空襲で土地ごと抉られ再建され区画整理で移動を重ねたが、今でも幽霊が出ることで有名だ。

2013-01-25 07:27:19
銭喰 @zeniqui

優柔不断に育つものではない。ゲームがしたい。創作もしたい。DVDを観てもいい。あれこれ考えているうち夜になった。十面ダイスを手にする。これで出た数字で決めよう。でも10じゃ数が合わないな。そうだ、あまりの1つは #twnovel にしよう。一本書いたらもう一回振るのだ。ころころ…

2013-01-27 20:46:03
銭喰 @zeniqui

#twnovel 「またサボったな」朝風に舞う粉雪を見て空にぼやいた。寒い冬の夜は神さまがよくサボる。天気のキャンバスに雨の夜空を描くべきところ、面倒臭くて雨ヨ降レと縦に書き殴って済ませてしまう。白い粉雪は翌朝の曇天に使われるはずだった白えのぐだ。

2013-01-28 07:41:53
銭喰 @zeniqui

いつも黙って読書ばかり。お喋りな私と正反対。言葉を頭に入れてばかりだと、いつか頭が割れるんじゃない?と呆れると「お金も言葉も、必要なときは躊躇わず出すよ」だって。でも。 #twnovel 「私が出そうか?」「いや」必要なときに躊躇して。やっと搾り出した短い言葉に私は黙って頷いた。

2013-01-28 19:56:26
銭喰 @zeniqui

屋敷に小さな女の子の幽霊が出ると聞いたメイドは普段気にならないものが気になり始めた。レースのカーテン、風に鳴る飾り窓、当主の肖像画。「ゆうれいさーん、…いますかー?」「…はーい」 #twnovel 「!?!」声にならない悲鳴と慌て者の足音が遠ざかって、お嬢さまはクスリと笑った。

2013-01-29 08:36:22
銭喰 @zeniqui

#twnovel 雪山で遭難していると、ボルゾイが救助にやってきた。「ав-гав!」酒樽の中身はロシアンティー。底にイチゴジャムが固まっている。「ав-гав!」続いて雪まみれの毛をブラシでとかせと言う。精魂尽き果て倒れそうになったが、毛の中に値札を見つけた私は全力で下山した。

2013-01-30 08:33:17
銭喰 @zeniqui

#twnovel 大きなボンタンを前にすると桜島小みかんはあまりに小さい存在ですが、彼らには巣を守る知恵と勇気があります。ボンタンが巣に現れると一斉に飛び掛かって包み込み、自らの体温でボンタンを蒸し殺しまうのです。そして農家のジイ様がそれを巣ごと採取してボンタンは出荷されます。

2013-02-01 07:26:27
銭喰 @zeniqui

#twnovel 駅員はまず、電車と目を合わせてはいけないと習う。運転士とではない。日常続く業務のなか、安全確認のため立ったホームで、踏切が木霊して、車体がレールを叩き、ホームを揺らして、電車が進入してくる、刹那。ホームに立つ駅員は。電車と目を合わせてはならない。目を合わせれば

2013-02-02 11:10:45